エピローグ
井戸でライラの体に付いた血を洗い流し、自分が浴びた返り血も流した。きれいになった体を布きれで拭き、再びライラを抱き上げる。そしてトルネの窓枠に行くと、ライラの体を横たわらせた。
そしてネルはライラを埋葬し、自分の地下室に戻った。彼は果物を剥くための短刀を取り出し、自分の喉元にあてがった。切りやすいようにと上を向くと、天井の割れ目から月がのぞいていた。そして、月の傍にある大きな星がネルのことを見ていた。
『人ってね、死んじゃうとお星さまになるんだって』
いつかのライラの言葉が脳裏をよぎる。ネルはその星を見上げたまま、静かに短刀を首から外した。そして優しい声で呟いた。
「ライラ、俺達はずっと一緒だ。空から見てて、俺のこと。俺は俺なりに、精いっぱい生きてみる。君の分も。俺は消えない罪とともに、歩んでいく。心に君を宿しながら」
ネルはその頬に一筋の涙を流し、星に見守られながら短い眠りに就いた。
小説を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回作はTRUMP2になる予定ですので、アップしました際にはそちらも読んでいただけると幸いです。