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嘆きの森  作者: 遠野沙子
序章
1/9

黒い森で

ざく、ざく―――


私は草を踏みしめて歩いていた。

黒い森の中を。

手には小さなランタンを持っている。それだけでは、暗くて、暗くて不安な気持ちになる。

頭上を見上げると、森の木々がおおいかぶさってくるようだけど、でもそのすきまから、ぽっかりと月が出ている。


森が深くて、月の光も届かないわ・・・


私は焦った。

これでは家につかない。

夜までに森を抜けなければ、ならなかったのだ。


私はこの森を切り開いた村に生まれた。

貧しい農家の長女として。

私の家は、小さいけれど、豊かな畑を耕している。


でも、家が貧しいから、長女の私が働かなければならない。

だから、山を3つ越えた町まで出稼ぎに出ている。

ただの皿洗いや掃除が仕事だけど、住み込みで食事ももらえる。


今日はひさしぶりの帰宅が許されて、ためておいたお金を持って帰れる日だ。

家には小さい弟妹がおなかをすかせて待っているのだから、急がなくちゃ、急がなくちゃ。

私はエプロンのポケットの中のお金を確かめた。


だいじょうぶ、ちゃんと入ってる。



鳥がホゥホゥ鳴きはじめた。

木々がざわざわする。

さっきから湿っぽい、もしかしたらひと雨来るのかも・・・





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