王としての試練
俺はリュビと車に乗り、ルーベル王の屋敷に向かった。
俺は歴代ルーベル王に比べたらかなり劣っている...こんな俺が王としてやっていけるのか…。
窓から景色を眺めていると大きな白い屋敷に入っていった。
げっ…めっちゃ広い…、ルーベル王が築き上げてきた功績だもんな、これは…。
屋敷の出入口に着くと執事が待ち構えていた。
豪邸には執事がいるんだな…やっぱり豪邸には付き物だな。
執事は車の扉を開け、俺とリュビを降ろしてくれた。
「今日から此処があなたの邸宅になります。この屋敷は歴代ルーベル王が功績を重ね上げ作り上げてきた邸宅になります。貴方様も功績を残せば、歴代ルーベル王の名を刻むことが出来ますよ。」
「…はい。」
俺はリュビに邸内を案内された。
屋敷には大きな書庫に大きな客間に庭にと富豪が持っているような場所がたくさんあった。
「…そして此処があなたの部屋です。」
部屋に入ると天蓋付きベッドに大きめのデスクとふかふかなチェアと本棚とよくある書斎ってやつだ。
「それでここから本題です。」
本題…?本題って何?
何か試練的なものでもあるのか?
「歴代王も受けてきた試練をあなたにも受けて頂きたいのです。」
「どんな試練なんですか?」
「ルビーの力を持つ者は人々を災難から守り、困難に打ち勝ち勝利へと導く者と呼ばれています。試練ではあなたの勇気を試して頂きます。さあこちらへ。」
俺はリュビに連れられ、大きな鏡が置かれた白い部屋に連れてこられた。
にしてもかなり古い鏡だ…しかも傷が一つもない。
「この鏡はルーベル王のみが立ち入ることが出来ます。入ればその先は試練になります。」
「その先の試練に入ったらどうなるんですか?」
「歴代ルーベル王によると様々な困難を感じる試練だったそうですよ。私は、王に仕えるべき侍従なのでただ王が帰ってくるのをただ待つことしか出来ないのです。」
「……。」
弱い俺が試練に打ち勝つことが出来るのか…。
でもルビーの力を受け継いだからには王として頑張らないといけない。
ルビーの力があれば、きっとなんとかなるはず…。
「俺…やりますよ。」
「……では明日、儀式を行った上で試練に入りましょう。頑張りましょう。」
「はい…。」
自信はないけど…今は俺は王に選ばれた。
試練を乗り越えないと…夢であった王たちの仲間入りは出来ない。
なんとか乗り越えなければ……。
――――――――――――
俺は夕食を食べた後書庫に向かい、試練に対する本を探した。
誰か歴代ルーベル王書いてないのか…。
探せど探せど試練に対する本は見つからなかった。
絶対歴代王も俺と同じ様になっていたやついただろ...。
俺は諦めて部屋に戻り、そのままベッドに倒れた。
やるっきゃない…か。
俺はそのまま目を閉じ、夢の中に入った。
するとまた灼熱の大地の扉の前にいる夢を見た。
またか…とため息をつきながら扉を開けた。
「出来損ないの新ルーベル王ではないか。即位おめでとう。」
相変わらず口の悪い王がいるな…。
「どうした新ルーベル王、何か悩みがあるから此処に来たのだろう?」
「明日の試練のことですよ。」
「ああ、あの試練か。弱いお前さんにあの過酷な試練耐えれるのか?」
口が悪い王については放っておこう。
「試練はとても過酷だ。だが己の勇気を貫けば乗り越えることは出来る。試練を乗り切れば、己の中にあるルビーの力を思う存分に扱うことが出来る。試練中は己の中のルビーの力を信じよ、力になってくれるはずだ。」
「己の勇気…。ルビーの力。」
俺は自分の手を見つめると赤い光のモヤが見えてきた。
おそらく俺の中にあるルビーの力が出ているのかもしれない。
「乗り切れた暁には、お前は我々と同じように民から崇めたたえられるだろう。」
「まあ精々頑張るんだね、俺たちは助けてやれないからね。」
そこで俺の夢は途切れた。
目を覚ますと朝日が登っていた。
とりあえず俺の中にあるルビーの力を信じよう…信じれば試練は乗り切ることが出来るはずだ…。
すると扉を叩く音がした。
「失礼します、ルーベル王。」と入ってきたのは何かを布で包んで持ってきたリュビだった。
手に持っているのは服か?
「おはようございます。ルーベル王。」
「お…おはようございます。」
「これは歴代ルーベル王が試練をする際に着る衣服でございます。」
リュビは布を取り払うと赤を基調とした着物風戦闘服だった。
ルビーン国の象徴とされている赤にピッタリだ。
まさか俺がこんなものを着るなんてな…想像していなかった。
「この服に着替えましたら、僧官による祈祷があります。王が試練から無事に帰れるようにお祈りする祈祷です。」
リュビは衣装をベッドに置いた。
「では着せていきますね。」
えっ?着せられるの?
結果衣装がめちゃくちゃ複雑だった。
というよりこれから着る王としての服はこんな複雑ばかりなのが多いのか?
「……さて出来ましたよ。いかがです?」
部屋にある等身大の鏡で自身を見つめた。
えっ、俺なんか凄い凛々しい…。
無気力人間だった俺がこんな服を着て、見た目が変わるなんてな…。
「いや…とても良いです。」
「なら良かったです。では行きましょうか。」
俺はリュビについていき、神殿に向かった。
神殿に入ると複数の僧官が待っていた。
「ただいまより試練から無事にご帰還されるように祈祷をさせていただきます、陛下。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
俺は僧官からの安全祈祷を受けた。
僧官の祈祷で少し勇気が湧いたような気がした。
祈祷が終わった後、試練の鏡に向かった。
「では最後に…。」
リュビは再び布に包んだ長い物を持ってきた。
剣か?
リュビが布を取り除くと剣が入っていた。
「これは歴代ルーベル王が使ってきた剣です。これと共に試練をくぐり抜けてください。」
俺はリュビから剣を受け取り、腰につけていたソードベルトに直した。
試練を乗り越えないと…俺の中にあるルビーの力を信じて、立ち向かわないと。
俺が鏡に触れると夢で見る灼熱の大地が姿を見せた。
俺はリュビの方に振り返った。
「行ってきます。」
「気をつけて行ってらっしゃいませ。無事にご帰還されることを願っております。」
リュビは俺に深々とお辞儀をした。
俺は深呼吸をして、鏡の中に入った。
振り返ると後ろは先程の鏡の部屋ではなく、灼熱の大地が広がっていた。
来てしまった以上、なんとか試練を乗り越えないと…ルーベル王の名を継いだからには。
俺は手を強く握りしめて、灼熱の大地を道なりに進んでいった。




