友との別れ
「さあ帰ろ!赤兎。」
ああ…今日はどっと疲れた。
さっさと帰ろ…。
「赤兎くん、今から先生と来てくれるかな?」
げっ…呼び止められた…。
なんか凄い嫌な予感がする。
「は…はい…。」
「じゃあ俺は先に帰ってるよ!また後でね、赤兎!」
焔…、置いてかないでくれ…。
普通は待っててくれるもんじゃないのか…。
「とりあえず赤兎くん、先生と一緒に来てくれる?」
「はい…。」
俺は観念して、先生と向かった。
きっとルーベル王のことだろうな…。
向かった先は理事長室だった。
先生は「失礼します。」と中に入るとリュビと理事長がいた。
「じゃあ赤兎くんと二人だけにして頂けますか?理事長さん。」
「は…はい!さあ赤兎くん、こちらへどうぞ。」
あれ?いつも威張り散らしている理事長がかなり弱い立場になっていた。
理事長と先生は部屋から退室した。
「さて赤兎くん、今日一日君を見させてもらったよ。」
そりゃ感じてましたよ…グサグサ突き刺さる視線が。
「君は夢を見たんだろ?あの歴代ルーベル王が眠るルビーの部屋に向かう夢。君がルビーの力を手に入れる夢を。」
「はい…。」
「あの部屋で君は王に選ばれたということだ。特に体育の授業のサーブルでのフェンシング、君はルビーの力で強い相手をねじ伏せた。あれはとても素晴らしかったよ、君は受け継いでもおかしくはない存在だと確信したよ。」
ヤバい...これは逃げられない。
「私はいますぐにでも君をルーベル王の屋敷にお迎えしたいと思っている。王なき今、民達は新王となる君を待っている。歴代王を支えてきたこのリュビがあなたの支えとなります。」
リュビは俺に手を差し出してきた。
リュビの手を取れば、王となり、俺の自由は無くなってしまう。
唯一の友達だった焔とも離れ離れになる。
たとえ彼がルーベル王の騎士になったとしても、焔と近くで会える可能性が低くなる。
せめてさよならを言いたい。
「もし今ここで貴方の手を取れば、俺はこのままルーベル王の屋敷に向かうことになるのですよね?」
「今あなたが私の手を取れば、すぐに屋敷へお連れします。」
やっぱりそうだよな…。
ダメ元で聞いてみるしかないか。
「その前に…唯一の友人に別れを言いたいのです。」
「友人…ですか?構いませんよ、お呼びしましょうか?」
「はい。」
あれ?意外とすんなりと…。
俺は焔の名前を伝え、彼を連れてきてもらった。
「失礼します…!リュ…リュビ様!お会いできて光栄です!」
焔はリュビを見るなりに興奮していた。
「君が焔くんかね?彼がお話があるらしいよ。」
「赤兎…!?」
するとリュビに夢中になっていた焔は俺を見るなりに驚いた。
おいおい俺の事を見てなかったのかよ…。
「じゃあ私は退室するから、ゆっくりと話してくれたまえ。」
リュビ様は俺ら二人を残して、部屋を退室した。
「改まって話って?」
焔は俺の目の前に座った。
「俺…、実はルビーの力を手に入れて王となったんだ。」
「なんとなく気づいてたよ…。フェンシングでいきなり赤兎の顔がいきなり変わったし、リュビ様はずっと君を見ているし…。でも良かったじゃん、赤兎が王になるなんて俺は嬉しいよ。だって俺は唯一の王の友人でしょ?それに俺は卒業したら、赤兎に仕えるわけだし…また会えるじゃんか?」
「焔…、いいのか?俺が王になっても?」
「必ず俺は君の傍にいけるように努力する…。だから待ってな!俺たち友達だろ!」
焔は俺の手を握ってきた。
俺は本当にこいつが友人で良かった…。
「赤兎…いや新ルーベル王、即位おめでとうございます。」
焔は俺に膝まづいて頭を垂れた。
俺は焔の顔を上げさせた。
「お前を待ってる…私の唯一の友。」
俺は焔を強く抱き締めた。
「まさか君がこんなことをしてくれるなんて思っていなかったよ。」
「友達はこうするのが普通だろ?」
俺は君を待っているよ、焔。
君が騎士として最高位になって、来てくれることを祈っているよ。
焔は「またな…赤兎。」と言って、部屋から退室した。
彼と入れ違いでリュビが入ってきた。
「さて赤兎さん…いや新たなルーベル王よ、我々と参りましょう。」
俺はリュビから差し出された手を受け取った。
今から俺はこのルビーンのルーベル王だ…。




