力が目覚める
赤兎はハッとして目覚めると窓から朝日が射していた。
そんなことより…俺が王に選ばれてしまったということだよ!
赤兎は頭を抱えて、これからどうなるのと俺と悩みを抱えていた。
「赤兎~!入るよ?」と扉の向こうから焔の声がした。
相変わらず朝から能天気な友人だ。
俺は凄い悩んでいるのに…。
「赤兎?どうした調子悪い?」
「いや…。大丈夫だ、今何時だ?」
「え?いつも通り30分前に迎えに来たんだけど?」
赤兎は机に置いてある時計を見ると朝8時だった。
ヤバっ…早く着替えないと遅れる!
赤兎は急いで制服に着替えた。
「赤兎にしては珍しいねー。寝坊って!」
「うっさい!行くぞ!」
俺と焔は急いで教室に向かった。
教室に着くと同級生は今日はリュビ様がやって来るという話題で持ち切りだった。
「俺が王に選ばれるんだ!」「いや俺だろ?」との会話ばかり。
俺みたいな無気力人間が王に選ばれた俺の気持ちを理解してくれよ…。
赤兎は教室に来ても頭を抱えていた。
「まじで調子悪そうだけど?休まなくて大丈夫なのか?」
「……大丈夫だ。」
全然大丈夫でもないけどな…。
あのリュビとかいう男に出会ったら俺はどうなるんだ?
するとアカデミーのチャイムが鳴った。
チャイムと同時に理事長と担任とリュビが入ってきた。
「皆さん、おはようございます。」
「「「おはようございます!」」」
とうとう来たちゃったよ…。
目を合わせないでおこう、窓の外見てよう。
「皆さん、担任の先生から聞いていると思うが今日は歴代ルーベル王の侍従のリュビ様が一日このクラスを見学される。失礼の段がないように。ではリュビ様から一言。」
「今日は邪魔かもしれないが一日このクラスを見学させて頂きます。いつも通り過ごして頂いて構わない。よろしくお願いします。」
「「「よろしくお願いします!」」」
いやいや俺にとっては凄い困るんだよな…。
するとリュビは理事長とともに教室の後ろに立った。
しかも俺の真後ろに…!?
授業に集中できる訳ないだろ!
背中に視線がグサグサ刺さってくるし…勘弁してくれ!
授業が切り替わる度に俺の体力はすり減っていった。
早くこの苦痛な一日が終われと願っていると、やっとお昼の時間がやってきた。
「ああ…なんか疲れた。」
「アハハ!だってリュビ様ずっと赤兎の後ろに居るもんね!そりゃ緊張疲れするよね〜!美味しい!」
いいな...お前は本当に能天気で…。
俺はあのリュビからグサグサ刺さる痛い痛い棘ならぬ視線がどれほど辛いことか…。
お昼の時間が終われば、また視線攻撃が再開されるんだ…。
「次は体育だよ?今日はフェンシングだったっけな?サーブルをやるとか言ってたよ。」
俺が一番苦手なフェンシングだ。
しかもよりによってサーブル。
なんでよりによって今日はこんな尋常じゃない苦痛な日なんだ!!
そしてお昼も終わり、とうとう体育の時間がやってきた。もちろんリュビも見学している。
「まずは赤兎とカンナだ。」
げっ…よりによってクラス1上手いフェンシング野郎かよ。
「こんなやつ簡単に倒せるさ。」
「はぁ…ったく…。」
俺とカンナはサーブルを構えた。
「用意!始め!」
カンナは猛攻撃を繰り出してきた。
俺は猛攻撃をひたすら防御するしかなかった。
クラスメイトはひたすらカンナを応援していた。
そりゃそうだろうな、俺みたいな無関心人間は応援されるに値にしない。
いっそ大人しく負けるか?と考えていると胸の中から謎の勇気が湧いてきた。
なんだ…?と守りながら耐えていると身体が勝手に動き出し、カンナの猛攻撃を巻き返し彼の心臓部分を突いたのだ。
えっ…?何どういうこと?
まさかルビーの力が働いたのか?
これは惨めに大人しく負けるなと言っているのか?
周りを見ると唖然としていた。
「せ…赤兎の勝利!?皆拍手だ!」
「俺がこんな奴に負けるなんて…。」
カンナは俺をまじまじと見ていた。
そりゃ負けて悔しいだろうな…、なんか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でもこの勝利は俺の中にあるルビーの力だ。
俺が自力で勝ったんじゃない…。
リュビをマスク越しから見ると優雅に拍手していた。
更衣室に戻るとクラスメイトは俺に寄ってきた。
「なあ赤兎!俺にも教えてくれよ!あの技!」
「今日のお前一番かっこよかった!」
俺は苦笑いしながら、対応した。
教えろにもこれルビーの力だしな…。
――――――――――
理事長室に戻ったリュビ
「にしてもあの授業はなんですか?最近うちに入ってくる構成員の質が悪すぎているのはこのせいですか。」
私は赤兎という次期ルーベル王を見に来たのに。
あの授業の質の悪さに呆れていた。
理事長は顔を渋らせていた。
「わかってますよね?あなたは前ルーベル王のご友人でした。前ルーベル王はとても優しい方でしただからあなたをこのアカデミーの理事長に就任させたんです。なんならあなた今裏金を懐に入れているのを知っていますからね。」
「なっ…。」
「もし新たなルーベル王が君臨したらこの事は取り合って頂く予定です。強制的に解任されても、あなたの自業自得ですから。」
「わっ…わかった、わかりましたから…。」
この理事長はとことん脅しておかないと…。
「まあその話はいいとして。赤兎という生徒に会わせて頂けませんか?」
「やはりあの生徒でないと駄目なのですか?王に相応しく」
「相応しいですよ?フェンシングの時にルビーの力を発揮していましたから。そんなに彼が王になるのが嫌なのですか?」
私は理事長を冷たい目で凝視すると怯えていた。
「……いえ!」
逆らうのはさすがに怖いと怖気付いたのだろう。
「彼の担任から彼に伝えておきます…!」
理事長は副理事長に目配せをした。
さてやっと赤兎とゆっくり話しをできる時間を頂けた。
「あ…彼は王ですから、きちんと敬ってくださいね?わかってますよね?」
理事長は悔しい顔をしていたが折れたのか仕方なく「はい」と返事をした。
もう大きい顔は出来ないからな、理事長よ。




