アカデミーの1人の生徒
俺の名は赤兎。平々凡々な学生だ。
この学校に通っている人間は、ルーベル王に仕える為に通っている学生が多い。
俺は別にそんな目的はない…。
俺に特筆すべき点なんて全くない。
「なあ聞いたか?」
「ルーベル王が亡くなったってよ。彼の傍にいたリュビ様が次期王を見つける為に今来てるらしいぜ。」
「まさかルーベル王になる者がこのアカデミーにいるなんてな!」
「俺だったりしてな?」
「そんな訳あるかよ!」
ルーベル王が死んだか…、リュビ様が次期ルーベル王を見つけるためアカデミーに来ている…まあ俺より力を秘めている人間がいるんだろうな。
「赤兎!何やってんだ!?」
木陰で本を顔に乗せながら寝ていると焔が話しかけてきた。
焔は仏頂面の俺に話しかけてくれた唯一の友達だ。
こいつもルーベル王に仕える為に頑張っている人間だ。
「なあなあ今、リュビ様が来てるらしいんだよ!見に行こうぜ!」
「おい!?」
俺は無理やり焔に起こされ、人溜まりが出来ている場所に連れて行かされた。
俺は全く興味ないっていうのに…。
「ほらほら!リュビ様だぜ!」
あれがリュビ様か。
まあなんとも思わないが...。
するとリュビはちらりと一瞬こちらに視線を向けた。
なんだ…あの人を射抜くような目は…。
「こっち見てくれた!まさか俺が次期ルーベル王!?」
「なんか気分悪い...。保健室行ってくる。」
「おい、大丈夫かよ!?あっ、お前リュビ様の魅力にやられたな?」
「んな訳あるかよ…。」
俺は焔に連れられ、保健室に向かった。
「失礼します。」と中に入ると先生はいなかった。
「赤兎、寝てろよ!俺先生呼んでくるわ!」
焔は保健室の先生を探しに向かい、俺は真っ白な寝台に寝っ転がった。
眠っていれば、このしんどさは消えるだろ…。
俺は目を瞑り、そのまま眠った。
━━━━
夢の中で俺は灼熱の大地にいた。
よりによって悪夢かよ…。
俺は夢の中で歩みを進めていると扉に突き当たった。
多分この扉を開けないと先に進めないんだろうな。
渋々俺は扉を開けた。
扉の先には大きなルビーの宝石が宙に浮いていた。
にしても綺麗なルビーだな…目を奪われる。
「見知らぬ男よ…。」
俺がルビーに近寄ると誰かに話しかけられた。
周りを見るが人影は全くなかった。
一体誰が話しかけているんだ?
「お前の目の前にいる宝石が話しかけているのだ。」
「!?」
まさかこの大きなルビーが!?
いやこれは夢だ...夢なんだから仕方ないことだ。
「どうしてお前はここに来た?」
「えっ…どうしてって言われても…、歩みを進めていたら辿りついたもので…。」
俺は頭をカリカリと掻いた。
「本当にコイツがあのルーベルを継ぐ者か?こんなヒョロヒョロな男が?」
「こんな平々凡々な男が王とは信じられないな。」
「選び間違えたのではないか?前ルーベルよ。」
なんか胸が痛い…。凄いグサグサ刺さるんだけど。
えっ…待ってルーベル王?
じゃあこのルビーには歴代のルーベル王が眠っているのか?
いやそれより、俺が王的な事言ってなかったか?
「いや彼こそが私の跡を継ぐのに相応しいルーベル王だ。」
えっいや待て…俺が王様?
これは夢だ…信じないのが得策だ。
「前ルーベル王よ、そなたのリュビはこの男が王だと見抜いていたのか?」
「今日アカデミーを訪れたリュビは彼を見抜いておりました。」
えっ、なんで知ってるの?
確かに凄い射抜かれたような目で見られたのは覚えてるけど。
なんだか怖くなってきた…余計に気分が悪くなってきた。
俺は自身の頬をつねって、無理やり目を覚まさせたのだった。
━━━
俺はハッとして思い切り起き上がった。
目が覚めると外は夕方になっていた。
「おはよう?随分と魘されていたようだけど。調子はどう?」
保健室の先生はびっくりして見に来たのだった。
にしてもなんだあの悪夢は…。
こんな俺が王な訳ないだろ…。
「とりあえず調子戻ったんなら宿舎に帰ってくれるかな?先生絶賛残業中状態だからさ。」
「…すみません。迷惑おかけしました。」
俺は宿舎の方に帰った。
自分の部屋に入り、直ぐにシャワーを浴びて汗を流した。
シャワーから上がると部屋に焔がいた。
いや勝手に侵入してきたのかよ…。
「おかえり〜。調子は戻った?」
「疲れた顔してるの察しろ…。」
「悪夢見たんだ〜?どんな悪夢?」
焔は俺にベッタリとくっついてきたのだった。
正直疲れてる時にくっつかれるとうざったい…。
「なんか用があるのか?」
「先生から預かったものを届けに来たんだよ!それと明日リュビさんが一日を使って俺らのクラスだけ見学に来るって!先輩達は凄い羨ましがってたけど。」
ということは俺らのクラスに次期ルーベル王がいるってことか…。
「きっと俺らのクラスにいるんだろうなー。次期ルーベル王が!俺かな〜?」
焔は凄い浮かれ上がっていた。
まあ誰が選ばれてもおかしくない、俺はないだろうが。
だかあの悪夢が本当なら…。
まああれは夢だ、信じない方が得策だ。
「なあ!俺が王になったらどんなになると思う?」
「きっとこのルビーンは潰れるだろうよ。」
「酷いな…!俺は変えてみせるよ、このルビーンを!」
明日か...目をつけられなければ、あの悪夢は嘘だったということだ。
それで終わるならそれでいい。




