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宝石の力を持つ者  作者:
ルビーの力を持つ者
12/14

迷い込んだ男の子

兵士に連れられやってきたのは屋敷の地下牢だった。

こんな冷たい場所に子どもを入れるなんて,…。


「陛下、こちらです。」


案内された牢には小さな男の子がいた。

顔は痩せこけて、明らかに栄養が足りていないというのはすぐに察した。

さすがにこれは可哀想だ…。


「暖かいスープとパンを頼む。」


俺は兵にお願いすると傍にいたリュビは驚いた表情をしていた。


「陛下!何をするかわかりませんよ!?」


「元気がなくてげんなりしている、話してもらうためには食べて貰わないと。」


俺は兵士にアイコンタクトを取った。

兵士は俺の命令に察したのか「わかりました、お持ちします。」と言って、牢屋を後にした。

俺は痩せこけている男の子に近づいた。


「どうした…何かあったのか?」


「あんた…王様?」と男の子は俯いたまま弱々しい声で返答してきた。

リュビは冷たい目で男の子を見ていた。

多分警戒をしているんだと思うんだよな…。


「ああ、俺が新しい王様だ。」


「助けて…。」


男の子は泣きながら身体が震えていた。

助けてほしい。きっと何かあったんだろう。


「何があった?」


「最近俺の住む国で新たな賊が来て…街に陣取っているんだ。」


新たな賊?まさかこのルビーン国でそんなことがあるなんて…。

ルビーン国内で治安が悪い場所はひとつしかない。

俺は男の子を安心させるように強く抱き締め、背中を撫でてあげた。


「君、住んでるところは?」


「…グラナート。」


やっぱりグラナートか。

グラナートはルビーン国の中でも治安が悪い場所だ。

アカデミーにいた時、グラナートは争いが耐えない場所だとよく聞いていた。


「陛下、グラナートはとっても危険な場所です!あそこを治めているグラナダは、賊の対応にいつも大変な目に遭っているだとか…。歴代ルーベル王は手を尽くしてきたが唯一助けれなかった場所です!下手したら昔より危険な場所になっているかもしれません。」


今この時俺がグラナートを救えば、きっと住みやすい国になるはずだ。

王としての初めての務めとしても良いのかもしれない。

「陛下!お持ちしました!」と兵士がご飯を持って戻ってきた。

俺は兵士から預かり、男の子の前に持ってきた。


「ほら食べなよ。救いを求めるために遥々やってきてくれたんだ。俺がグラナートを救ってやる。」


「陛下!?」


リュビは声を荒らげていた。

危ないのは分かってる…けど俺はこの国を良い国に導くためにやらなければいけないんだ。

民の声は捨て置けないんだ。


「本当に…!?」


すると男の子は俺の目を見て、驚いた表情をしていた。

俺は「ああ、俺が救ってやる。」と言いながら、男の子の頭を撫でた。


「とりあえず食べようか?ここのご飯美味しいし、力がつくよ。」


「ありがとう!王様!」


男の子は差し出したご飯を美味しそうに食べ始めた。

少し元気になったようで何よりだ。

俺は兵士に男の子を任せ、リュビと共に牢屋を出た。


「本当に行くんですか?グラナートに。」


リュビは心配そうな声で話しかけてきた。

でも俺は決めたんだ、今まで歴代ルーベル王が手を焼いてきたグラナートを俺の手でなんとかしてやろうと思ったんだ。苦しむ人々たちのためにも。


「グラナートを良い国にしてあげたいんだ。苦しむ人々のためにも。リュビ。」


「…そうですか。グラナートは危険な場所です、気をつけてくださいね。」


「リュビは…ついてきてくれないのか?」


リュビは首を横に振った。


「私は陛下がいない間、対応しなければなりませんので。私は行けません。」


「そうか…申し訳ないな。」


「大丈夫ですよ、慣れてますので。陛下は、グラナートの治安を頑張って改善してきてください。ルビーン国の平和な国に導きましょう。」


またリュビを寂しくさせてしまうんだろうな。

でもこれはずっと問題になっていたグラナートの治安問題を解決するためなんだ。

苦しむ民を守るためにも。


――――


皆が寝静まった夜、リュビは屋敷内の庭にいた。


また私はしばらく1人か…。

傍で陛下を守ってあげることが出来ないというのはとても辛いこと。


「リュビ様!呼ばれましたか!」


「ラール、こんな夜遅くに呼び出してすみません。」


ラールはルビーン国の騎士団長。そしてメラーの兄である。


「それでどうかされたんですか?」


「陛下がグラナートに行く、護衛としてついて行ってあげてほしい。」


そう、彼を呼びつけたのは私が行けない代わりに陛下の護衛として行ってもらうためだ。


「グラナートに!?あんな危険な場所に!?」


そう言うと思っていたよ。


「陛下は、グラナートの治安を改善したいそうです。ラールの腕を見込んでお願いしているのです。」


するとラールは頭を搔きながら悩んでいた。


「俺しかいないんすよね?」


私は首を縦に振るとラールは深いため息をついた。


「しゃあないですね…王について行きますよ。リュビ様のお願いでもありますし。断ったら断ったで妹にどやされるだろうし。」


「すまないね。」


ラールはいつもなんでも引き受けてくれる。

危険な仕事であってもきちんとこなしてくれるのは君しかいないんだ。


「それでいつからなんですか?グラナートに行くのは。」


「明日の朝から向かうそうです。」


「朝!?早いな…。」


「陛下はグラナートの問題を早期に解決したいそうなので…頼みましたよ。私は行けませんから、陛下を必ず守りとおすのですよ。」


ラールは私に真っ直ぐな目で私を見て、敬礼をした。

彼は私に必ず陛下を守り抜くという信念を見せているのだろう。


「了解しました。」


「頼みましたよ。ラール。」


私はラールを抱きしめ、生命の加護をかけた。

私の唯一の力は兵士たちに加護を祈ることしか出来ないのだから。


「ありがとうございます、リュビ様。では明日朝屋敷玄関に参ります。」


「頼みましたよ、ラール。」


ラールは深く礼をし、その場から去っていった。

私はラールが去るのを見届けた。


「…っぐ…。」


心臓がズキズキと痛みだしてきた。

やはり初代ルーベル王の頃からずっと生きながらえてきた身体もそろそろ限界か…。

長生きするためにも身体をいたわらないと駄目ですね…。

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