王の帰還
俺はリュビが待つ元いる世界に戻ろうと足を進めていた。そしてやっと元の世界に足を踏み入れたのだった。
俺は静かに片膝をつき忠誠を誓いながら待つリュビの元へ近寄った。
「ただいま…リュビ。」
するとリュビは俺に気づいたのか、すぐに顔を上げた。
リュビの顔を見ると随分と疲弊しきり、目の下には隈が出来ていた。
ずっと俺の事を心配して待っていてくれていたんだ…。
リュビは立ち上がり、俺の事を抱きしめたのだった。
リュビの抱きしめる腕は震えていた。
本当に待たせてしまったんだな…ごめん。
俺はリュビを強く抱き締め返した。
「おかえりなさいませ…ルーベル王。…あなた様のおかえりをリュビはずっと待っておりました…へ…ぃ…。」
するとリュビは俺の胸の中でそのまま気絶してしまった。
とりあえず誰か助けを呼ばないと…。
俺はすぐにリュビを抱き抱え、鏡の間を出た。
「おい!誰かいないか!」と大声で誰かに呼びかけていた。
すると鎧を着た赤髪の女性と廊下で鉢合わせたのだった。
「リュビ様…またですか…。あれほど言っていたのに…全く。こっちよ、陛下。」
なんだこの気の強い女性は…?
というかなんで俺を陛下だってわかったのか?
俺は女性に連れられるまま、リュビの部屋に連れてこさされたのだった。
俺はリュビをそっとベッドに下ろした。
「はあ…全く。」
「あの…失礼ですがあなたは?」
すると目の前の女性は片膝をつき、俺に頭を垂れたのだった。
「失礼しました、陛下。ルビーン国のメラー騎士団の長を務めておりますメラーです、よろしくお願いいたします、陛下。」
この気の強い女性はメラーという女性だった。
まさか騎士に女性がいたとは思ってもいなかった。
「リュビ様はずっと陛下の帰りを待っていたんですよ。何度倒れようが雑務をこなしながら鏡の間でずっと。」
「俺が旅立ってから何日経ったんですか?」
「約3週間です。」
「そんなに…。」
まさか試練は苦戦したが時が経つのは一瞬だった。
こっちの現実世界ではそんなに時が経っていたとは思っていなかった。
そりゃずっと俺のことを心配して待ち続ければこうなってしまうよ。
「陛下もお疲れでしょう。今日明日は一日ゆっくり休まれた方がいい。」
「…俺はリュビの傍にいますよ。何かあったらいけませんから。」
「…お優しいのですね。何かあれば呼んでください、私は先に失礼いたします陛下。」
メラーは扉をゆっくり閉め、部屋から退室した。
迷惑かけてすまなかったリュビ。
あんたが目覚めるまで俺は傍にいるよ。
俺はリュビの傍で静かに眠りについた。
翌朝「陛下…陛下。」と誰かに身体をさすられる。
俺がゆっくり目を覚ますと窓から陽の光が差していた。
大欠伸をしていると「陛下」と言いながらリュビが顔を覗かせてきた。
「リュ…リュビさん!?」
そうだった俺は昨日倒れたリュビの傍で眠ったんだった…。
「私のことを心配してくださったんですね…。優しき陛下。」
「…はい。」
するとお腹がぐぅっと鳴った。
そういえば試練以降何も口にしていなかった…。
なんか無駄に筋肉がついた気がする。
するとリュビは俺のお腹が空いた音を聞いてくすくすと笑った。
「朝ごはんにしましょうか。陛下も随分と痩せられたようですし。陛下も着替えてきてください、私が後でお迎えに上がります。」
「あ…はい。」
俺はリュビの部屋から退室し、自分の部屋に向かった。
とりあえずリュビの笑顔が戻ったようで俺は安心した。
部屋に戻り、クローゼットの中から服を探しだした。
クローゼットの中は貴族みたいな服でいっぱいだった。
これから俺がこれを着ることになるのか…似合うのか?俺に。
俺はとりあえず普段着的なコスチュームを選び、それを着たのだった。
着替え終わると同時に扉をコンコンと叩く音がした。
「陛下、着替え終わりましたか?」とリュビの声が聞こえてきた。
「あ…ああ!大丈夫です!」
俺は急いで部屋を出た。
部屋を出ると笑顔で待つリュビがいた。
「行きましょうか。」
俺はリュビの後をついていくように歩いた。
「無事で帰られて良かったです。無事3つの神器を手に入れられたようですし、大変お似合いです。」
「あ…ありがとうございます。」
リュビは生き生きとしていた。
きっと今までのルーベル王にもこんな感じだったんだろうな。
歩いていると食間に着いた。
中に入ると豪勢な食事が用意されていた。
今まで食べてきた学生の食事とえらく大違いだ。
リュビは椅子を引いて、俺を座らせた。
「頂きましょうか?陛下。」
「頂きます。」
俺とリュビは目の前の食事に手をつけた。
やっぱりご飯はとても美味しかった。
「来週陛下の戴冠式を行おうと思っております。市民の皆も待っていると思いますから。それと明日からは王としての立ち居振る舞い、この国の歴史について学んで頂こうと思います。」
そうだった…俺は一般市民から成り上がった王だから立ち居振る舞いはさっぱりなんだった。
勉強するのは別に構わないんだが…。
「大変でしょうが今までのルーベル王も同じようにしてきましたので、同じことをさせていただきます。私も陛下に協力させていただきますので。」
「…ありがとうございます。」
「いえ!これも私の役目ですから!」
リュビは俺にニッコリと微笑んだ。
俺は大変なんだよな……。
すると扉をノックもせず、兵士が入ってきた。
「食事どきに失礼します!陛下!」
兵士の様子を見ると息を切らしていた。
屋敷内できっと何かあったのだろう。
俺は兵士に近づき、目線を合わせた。
「どうしましたか?」
「陛下…屋敷内に忍び込んだ子どもがおりまして…。」
「間違えて迷い込んだのか?」
「いえ!その…子どもが必死な形相で陛下に会いたい、陛下に会わせろというもので…。」
何かその子どもに問題でもあったのだろう。
困っている民がいるのは見過ごせない。
「会おう!案内してくれ!」
「はい…!」
「陛下!私も参ります!」
俺とリュビは兵士に連れられ、子どもの元に向かった。




