ホットケーキの隠し味
「お姉ちゃん、ホットケーキの作り方教えて!」
「えっ、ひなちゃん急にどうしたの?」
ひながこんなこと言ったのは、急じゃないよ。
すべては、お兄ちゃんのためだもの!
★★★
それは、数日前のことだった。
家でお姉ちゃんの手伝いをしていたら、お兄ちゃんたちが帰ってきたの。
でも、リビングに入ってきたお兄ちゃんは、フラフラだったのよ。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「はぁ……今日も鍛練疲れたよー……」
「だらしないな。それだと、いざという時に動けないぞ」
「タケル、そんなとこで寝たら、風邪ひくわよ」
お姉ちゃんに注意されても、お兄ちゃんはぐったりしていて、動けないみたいだった。
だから、相棒のクレナイが肩を貸して、部屋に連れていってたわ。
「鍛練、相当厳しいみたいね」
「ねぇ、お姉ちゃん」
「なぁに、ひなちゃん」
「お兄ちゃんが、喜びそうな食べ物ってある?」
すると、お姉ちゃんは少しの間考えていた。
そして、ひなの耳元でこう言ったの。
「小さい頃、ホットケーキを作ったら、喜んでいたわよ」
「わかった!」
そして、お兄ちゃんたちが出かけている時に、お姉ちゃんにお願いした、というわけ。
「鍛練を頑張っているお兄ちゃんのために、ひなもなにかしたいの!」
「そっか……ありがとう、ひなちゃん」
それから、ひなたちはホットケーキを作り始めたんだけど……
「なんで、きれいに出来ないの!」
「うーん、ひっくり返すタイミングが合ってないのかも」
「もう一度……」
「待って、ひなちゃん。もう材料がないのよ」
「えっ、じゃぁ次がラストってこと?」
どうしよう……急に緊張してきた。
ひなが戸惑っていると、お姉ちゃんが肩を叩いてきた。
「大丈夫、ひなちゃんなら出来るわ」
「うん、頑張る!」
今度は焦げないように、タイミングよくひっくり返す。
そしたらね、うまく焼けたの!
「やったーっ、出来た!」
「ただいまーっ!」
ちょうどホットケーキが出来た時に、お兄ちゃんたちが帰ってきた。
「あれ、なんかいいニオイするね」
「お兄ちゃん、これ食べて!」
「わぁっ、可愛いホットケーキだね」
「あのね、ひなが作ったの」
「うれしいなぁ。じゃぁ、いただきます!」
お兄ちゃんは、笑顔で食べてくれた。
「うんっ、おいしい!」
「おいしいのは当然よ」
片づけをしながら、お姉ちゃんは言ったの。
「隠し味に、ひなちゃんの愛情が、いっぱい入っているんだもの」
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