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嗚呼、なんと素晴らしき自由(強制)  作者: 【規制済み】
第1章 迷宮都市ラークル

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作戦会議


チョコとコーヒーを片手に小説を書いているので、自然と食事描写が増えていきます。





「では、パーティ名も決まったことですし、今後について話しましょうか」

「そうだな。第七階層にはいつ挑む?」

「とりあえずはまだ決めなくても良いでしょう。低階層辺りで連携が取れるように練習したいので」

「わかった」


 カインは、人と連携して戦うことなど今までで一度もやったことがない。練習は当然必要だろうし、お互いの相性も把握したいと思っていたので、その意見に反意はなかった。


「パーティを組んでから聞くのも変な話だが、君はどんなことができるんだ? 戦ったことがあるから何となくはわかってはいるが、しっかりと役割分担をするのであれば、お互いのできることはちゃんと知っておきたい」

「そうですね。私は基本的に二つの大盾で常に守りを固めながら、その盾でもって相手を叩き潰すのが基本戦術です。それと、魔術をいくつか修めておりまして、近接攻撃をさらに強化する衝撃(インパクト)と、遠距離攻撃のための火球(ファイア)が使えます。当然、探索に必須な魔術も扱えます」

「おー火球が使えるのか。いいね。俺はあの時の戦いで見せたものが全てだけど、基本的な身体強化と魔力放出、付加魔術(エンチャント)重化(ヘビィー)加速(アクセル)が使える。まだ一重(シングル)が限界だけどな」

「単純であるが故に、隙がなく強力ですね……」

「あ、そうそう。それ以外に【起源(オリジン)】も使える。多分そっちもだよな?」


 エリスは少し驚いた顔をした。


「貴方も【起源】を使えるんですね……」

「まあな。というか【起源】を使ってなかったらあの魔術師の火球でやられてただろうな」

「だからあの時、何だか余裕があったんですね。煤すらつかずに炎の中から現れた貴方をみて驚いたのですが、それならば納得できます」


 エリスは頷きながら一口ミルクティーを飲んだ。


「話を戻しましょうか。私の【起源】は『不退転(フォーワード)』。その効果は、条件付きの強化です。身体強化と重ねがけすることで大抵の攻撃は耐えれますし、大抵の敵も一撃で沈められます」

「何ともパワフルだな。ちなみにその条件っていうのはなんだ?」

「名前からもわかるように、後退をしてはいけません。逆に、前進するとより強く強化されます」

「相手を選ばずに使えるいい魔術だな」


 純粋な力で全てを防ぎ、道を拓く。彼女の騎士への憧れが具現化したかのようだった。


「カインさんはどんな【起源】なんですか?」

「俺の【起源】は『自由(フリーダム)』だ。使用することで何でもすり抜けることができる。ま、自分だけだけどな」

「……ちなみにすり抜けるかどうかは自由に決められるんですか?」

「そうだ。だからすり抜けてる間も槍を持てるし服も着てるわけだが」

「事実上の、無敵じゃないですか。自分は攻撃を受けないのに、一方的に攻撃はできるってことですよね。それも、貴方ほどの槍使いが」

「その通りだ。だけど、何事もうまく釣り合うようになっててな。すごく強力な代わりに、二回も使えば体全身が魔力痛に苛まれるし、その状態で戦闘を継続しようものならどんどん動きが悪くなる。いわゆる最後の切り札ってところだな」

「それでも相手の攻撃を無かったことにして、そのまま自分の攻撃の機会を作り出せるというのは、とんでもないことです」


 そう言われると、カインは改めて自分の【起源】がインチキ臭いな、と思った。


「ひとまず、強力な手札があるのは良いことです。頼りにしますね」

「ああ。多少の無茶なら任せてくれ」


 普通では危険すぎてできないことも可能にするのが『自由』。何でもできる可能性の塊だ。


「ところでカインさん。貴方は第六階層と第七階層がどのような場所か知っていますか?」

「実はまだ知らない。そろそろまたギルドから資料を借りて情報を集める予定だったんだが」

「それでいいと思います。第六階層以降の階層はかなり危険度が高いので」

「ちなみになにが危険なんだ?」

「正確には危険というより、厄介だと言った方がいいかもしれません。第六階層以降は単純に一つ一つの階層が広く長いのです。そのため、迷宮での寝泊まりを求められるようになります」


 迷宮での寝泊まり。魔物が至る所で闊歩する中で睡眠をとる。あまりにも無謀だ。

 

「……一人じゃ土台攻略は無理じゃないか?」

「『二つ名』であれば話は違うんでしょうが、私たちでは無理でしょうね。二人いれば一人は警戒ができるので一気に安全性が増しますが」

「このタイミングでパーティを組めたのはまさに僥倖だったな」


 カインは自身のツキの良さに感謝した。


「話を聞く限り、いきなり第七階層まで攻略するよりは、第六階層で様子を見て、慣れたら挑むって感じの方が良さそうだな」

「そうですね。その方針でいきましょうか」

「ま、その前に連携確認とかしなくちゃいけないしやることは山積みだけどな」


 それでも、方針が立ったというのは良いことである。人は短期の目標がなければ努力ができない生き物である。


「明日は何か予定はありますか?」

「今のところないな。早速迷宮に潜るつもりか?」

「はい。善は急げというやつです」

「わかった。明日の朝、またここに来ればいいか?」

「それで構いません。準備しておきますので、貴方が到着次第出発しましょう」

「了解した。……そういえば、不躾な質問かもしれんが」

「何でしょう?」

「君は盾以外は使わないのか?」


 騎士というものは、盾以外にも剣や槍、大槌などを使う。事実、そういった武器がエリスの家にも数多く展示されている。


 エリスはその言葉を聞くなり、少し恥ずかしそうにした。


「実はですね……距離感というものを掴むのが苦手でして……盾で殴るのが一番楽だったんです」

「ああ……そういう……」

「一応、盾を使うのはこだわりでもあるんですけどね。騎士がその力で相手を打ち砕くのも格好いいですが、やはり弱きものにその背中で勇気を与え、守り抜く姿が一番好きなので」


 エリスはそう語ったものの、やはり最初の理由の方が大きそうである。


「……やっぱり、盾以外にも使える武器を増やした方がいいですかね?」

「ああいや、単純な好奇心で聞いてみただけなんだ。使える魔術を考えても盾のままでいいと思うぞ。『不退転』も盾が一番強いだろうし」

「そ、そうですよね!」


 エリスの顔がどことなく明るくなる。


 カインは手元に残った紅茶をぐいっと飲み干した。もうよい時間だ。日が傾き始めている。


「さて、一旦話すべきことも話し終えたし、そろそろお暇させてもらおうかな。有意義な時間だった。また明日も頼む」

「ええ、お待ちしています。あ、こちら紅茶の茶葉です」

「ご丁寧にどうも。今度は俺が何か土産でも持ってくるとしよう」


 そうしてカインは、エリスから渡された紅茶の茶葉を大切そうに持ってリゼの家へと帰っていった。



 


 


 


Tips:エリスは21歳。至って普通の市民だったが、騎士に憧れそのまま探索者になった。お金は、迷宮よりも闘技場の方が稼いでいる。



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