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嗚呼、なんと素晴らしき自由(強制)  作者: 【規制済み】
第1章 迷宮都市ラークル

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闘技場 その2


評価と感想くれましたら嬉しいです…誤字脱字報告も嬉しい…リアクションさえあったらなんでも嬉しい…





 闘技場に残った4人は、その全員がかなり個性的である。


 一人目は、騎士のように甲冑を身につけている。顔どころか肌色さえ窺えない。何よりも目を引くのは武器である。その騎士は、手に一つずつ大盾を持ち、構えていた。まるで要塞だ。


 二人目は、大きなしわくちゃのとんがり帽子を被り、木の杖を持った少女。見るからに魔術師である。猫背な上に、俯いているせいでこれまた顔を窺うことができない。


 三人目は、双剣使いの男。短く切り揃えられた金髪と甘いマスク。贔屓目なしにイケメンではあるが、どことなく表情がキザったい。しかし立ち姿からして実力者であることがわかる。


 四人目は、我らがカイン。説明不要である。


 四人の睨み合い。糸が張り詰めたような緊張感が漂う。そして、その糸を切ったのはカインであった。


 最も厄介そうで、最も仕留めやすそうな少女に狙いを定めて、カインは走り出した。少女は迫るカインを見て、おどおどとしながら杖を構えた。


 だが、それに割り込むものがいた。双剣使いである。


 彼はカインの進行方向を塞ぐようにして立ちはだかった。槍と双剣の幾重もの剣戟の音が響く。そしてその度に火花が散る。


「邪魔だ」

「いきなり、女の子を狙うのは男としてどうなんだい?まずは僕と踊ってくれよ」

「……見た目通りの性格をしてるな。結構ウザいぞ、お前」


 双剣使いが爽やかに笑う。すると彼の持つ剣が光り始めた。その光を警戒して、カインは後ろに下がる。


 後ろに下がったカインの背後には騎士が待ち構えていた。大盾を振りかざし、カインへとぶつけようとする。それをカインは軽やかに頭上を飛び越えることで避けた。


 (ゾルガとは違って両手が塞がってるから安心だな)


 着地と同時に、カインは騎士に槍を突き出す。その反対側からは双剣使いが剣を振るっており、剣が光を斬撃として打ち出した。


 前後からの同時攻撃。騎士は二つの大盾でそれを受け止めた。重く響く金属音。その大盾は堅牢で、カインの槍ですらわずかな傷がつくのみであった。


「おーやるな」

「おっと、同時攻撃だなんて少し卑怯なことをしてしまったな」

「……」


 騎士は沈黙を貫くのみであった。再び膠着状態となる。


 そこでカインは突如として、背筋に悪寒を感じた。探知に恐ろしいほどの魔素の流れが引っかかる。


 少女の方を見ると、そこには巨大な火球が膨れ上がっている。


「火球!」


 少女が可愛らしい声でそう叫んだ。

 

「おいおい、俺が知ってる火球じゃねえな」

「これは、流石に想定外だね」


 全員の顔に汗が浮かぶ。なんとしてでも止めなければならない。


 カインは少女に魔力放出を放つ。だがその魔術師の姿からは想像もできないほど機敏な動きで、少女は黒い光を躱わした。


 火球はいまだに膨張し続けている。


「すまない!」


 双剣使いは謝罪の言葉を述べながら、剣の腹で少女を叩こうとする。


障壁(バリア)


 それを防ぐように透明な障壁が生成される。その障壁が剣に触れた瞬間、粘着質にべったりと張り付いて、その剣を絡め取った。


「なに!?魔術の同時行使だって!?それに、障壁もただの障壁じゃない!」


 剣の一つを失った男に焦りが見える。彼の脳内に敗北の二文字がチラつく。


「こうなったら、なりふり構っていられない!」


 彼は残った剣を両手で握りしめる。すると、剣に光が集まり始めた。


「はは、何焦ってんだよ。それに、女の子を狙うのは男してどうなんだ?ん?」

「くっ!」


 しかしカインがそれを邪魔する。


 時間がない。間も無く火球が完成してしまう。それをなんとか阻止するために、彼は果敢にカインを攻めようとする。だがしかし、剣の範囲外であっても、槍は範囲内である。双剣使いは防戦を強いられる。


 双剣使いの強みは手数。カインの強みはリーチ。彼が手数を失った以上、押されるのが双剣使いであるのは、必然であった。


「クソ!僕に構っている場合じゃないはずだ!あの火球が放たれれば彼女の一人勝ちだぞ!」

「んーまあなんとかなるんじゃないか?お前がどうなるかは、知らないけどな」


 カインの妙な余裕に、双剣使いは苛立ちが募る。動きが精彩を欠け始めた。それを見逃すカインではない。


「足元がお留守だぜ」


 以前リゼにやられた足払い。それをカインは槍の石突で行った。


 横転する双剣使い。思わず握っていた剣を手放してしまい、無手になってしまう。そんな倒れた彼の喉元にカインは槍を突きつけた。


「じゃあな。楽しかったよ」

「……畜生」


 鋭い槍の穂先で、双剣使いの喉を一突き。アミュレットが起動する。割れた音と共に彼は転移した。


「さてと。……すごいな、これは」


 上を見上げると、火球が視界の半分を埋め尽くす。膨張は既に止まっていた。


隕石(メテオ)!」


 可愛らしい声を張り上げる彼女。しかし目の前の魔術には欠片も可愛らしさはない。


 ゆっくりと迫り来る巨大な火球。それに対してカインは何もせず、ただ見上げて佇むのみである。


 遠くにあってもなお伝わる火球の熱がジリジリと肌を焼く。


 そして遂に。星の如き火球が、地に墜ちた。

 


 

 



Tips: 闘技場での試合の前に、いわゆる優勝者投票券というものを多くの人が買い、賭けが行われる。この時に支払われたお金の一部が、参加者の順位に応じた報酬になる。



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