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Phase 9. otomari otonari okomari

※挿絵はAI画像生成システム「imageFX」で生成した物を主に使用しております。

※カッコ記号の使い分けを行う事で、そのゾーニングをより明確にしています。

 基本的なゾーニングの区分は以下の通りとなります。。

 「」…[open]会話

 []…[semi-open]暗示

 ()…[open]テレパシー

 {}…[closed]テレパシー(秘話)

 <>…[closed]思考

 ≪≫…[closed]インナーセルフのリアクション

「こんばんは」

「いらっしゃい。上がって~」

 ミノリの声がドアホンから聞こえ、玄関のドアのオートロックが解除される。ユウとレミアは中に入る。

 出迎えに出てきたミズキ。珍しくTシャツにカーキ色のハーフパンツ。

「うちの母親が『これ持って行け』って」

 ユウが胸の下辺りに手を差し出すと、突然そこに5kg入りの白米2袋が宙に浮いて現れる。

「え、え、お米?」

「『隣同士でこれまで色々お世話になっているからこれれ持ってけ』って…」

「ちょっとこれ、高いブランド米じゃないの。 ミノリさ~ん、お米もらっちゃった~」

 2階から、ミノリが階段を降りてきた。

「あらあら、どうしたの?」

「これ、うちの母が『隣でいつもお世話になってるから持っていけ』って持たせてくれました」

「そんなに気を使わなくてもいいのに…」

「それに今日はこちらでの『お泊まり』に呼んで頂いたので…」

「うちのお米、もうそろそろ無くなる時期だったんじゃなかったっけ?」

「ユウさん、まさかあなた、うちの米の残量、透視した?」

「え、いや、母が『米持って行け』って先に言ったんで、一応残量確認はそこで…」

「どうでも良いけどユウ姉、米10kgを念力で浮かせて、重たくないの?」

「全然重たくないよ。今のあたしだと手で持ってもメチャクチャ軽く感じるけど」

「じゃあありがたく頂くわね。うちの米置き場は…透視で見たんだっけ。そこに置いて」

「わかりました」

 ユウの手の上で宙に浮いていた米袋が消え、奥の方で『ドサッ』という音が聞こえた。

「それじゃ2階の方に上がって」

 そう言うとミノリが先に2階へと上がっていく

「れーちゃんも今日は人間サイズになったら? なれるんでしょ?」

(それじゃお言葉に甘えて…)

 小さな妖精サイズだったレミアが大きくなり、ユウと同じくらいの身長に変化した。

「すご~い、人間サイズのれーちゃんってなんか新鮮っていうか、かっこいい。新体操の選手みたい」

「フープを持って踊っちゃおうか?」

 笑いながら答えるレミア。

「あらためて、れーちゃんの声って可愛いよね。大きくなったら声もはっきり聞こえるし」

「そう? ありがとうね、ミズキ」

「それじゃ、2階に上がって」

 ミズキに促され、ユウとレミアも2階への階段を登る、ユウとレミアがこの家の2階に入るのは初めて。以前ユウはミズキから『2階がプライベートスペース』と聞いた事があった。

「おじゃましま~す」

「…あら、レミアさん、大きくなれたの」

 驚くミノリ。

「融合体になってから、人間サイズになれるようになりました」

「そう、取りあえず席に座って」

 ミノリに促され、4人掛けテーブルの席につくユウとレミア。ユウの向かいにミズキ、その隣にミノリが座る。

「2人とも夕ご飯は食べてきたんでしょ。何か飲む?」

 ミズキが尋ねる。

「あたしは…」

「甘さ控えめのアイスレモンティーよね」

「ミズキったら…先読みし過ぎ」

 ユウが苦笑い。

「れーちゃんは?」

「あたしの希望も読まれてるんでしょ」

「「蜂蜜たっぷりのアイスティー」」

 レミアとミズキの言葉がハモる。

「ミノリさんはアイスコーヒーでいいですね」

「ええ」

「それじゃ…」

 ミズキは能力を使って、各自の飲み物を実体化させた。ちなみにミズキは冷たい麦茶。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

「いただきます」

 4人はそれぞれ飲み物を一口。

「さて、今日2人をうちに呼んだのは、改めてダークネスの対策を一緒に考えようと思ったの。昨日ユウさんとレルフィーナさん…今はレミアさんね…がもの凄く深刻そうな表情をしていたから」

「…心配させてしまってすみません」

 頭を下げるレミア。

「いいの、みんなで知恵を出した方がより良い解決法が見つかるんじゃないかと思ってね」

 ミノリはおもむろに近くに置いてあったタブレットを手元に引き寄せ、自分の前に置く。そしていくつか操作する。するとテーブルの脇にあった大型液晶テレビの画面が切り替わり…。

「…この映像、あたしが見ていた映像」

「ごめんね、れーちゃんの記憶、テレパシーで無断で読んじゃった」

 謝るミズキ。

「ううん、いいの。対策には必要な情報だから」

「これはミズキがレルフィーナ…今のレミアさんから読み取った記憶を映像として起こした物」

「うん、竜巻の手前に瞬間移動して上昇したら…恐らくダークネスの力で竜巻の渦の中に瞬間移動させられたの。それで呪いを掛けられて、過剰重力で下に引っ張られて、渦に呑まれて…」

「…で渦を出たらまた過剰重力で引っ張られて…これを4回繰り返したのね」

 ミノリが補足。

「そうです。で瞬間移動でダークネスの所に飛んだら瞬間移動能力奪われて、強制瞬間移動で飛ばされて、海の底まで…」

「でね、ちょっとこれを見て欲しいの」

 画面が切り替わり、気象衛星が捉えた雲の画像が表示される。海上に広がる雲の中には赤い×印が描かれている。

「この×印が竜巻の中心位置。見ての通り、発生後陸地に向かって真っ直ぐ進んでいることが分かるわね。このタイミングでレルフィーナさんが海上に現れたのを偵察衛星がキャッチしている」

 竜巻の真正面に緑の×印が出現。

「これがレルフィーナの位置ですか?」

「そう。映像を進めるわね」

 しばらく緑の×印は竜巻中心と等距離を保っていたが、突然竜巻の中心に移動した。その後竜巻の周囲を何度か旋回した後、竜巻の遥か外に飛ばされる。

「ここで海中深くに落とされた…」

「そう」

「ミノリさん、この動画って、途中で再生速度を変更してないですよね」

 ミズキが尋ねる。

「ええ、何か気づいた?」

「レルさんが竜巻の近くに瞬間移動した直後から、竜巻の進行速度がガクンと落ちてますよね」

「やはり気づいたわね。これを見て」

 画面表示が左右2分割になり、左側に地図、右側に折れ線グラフが表示される。

「右側の折れ線グラフは竜巻の移動速度を表した物。竜巻出現直後一定速度で陸地に向かって進んでいたのに、レルフィーナさんが竜巻の側に現れた途端、進行速度が急激に低下しているの。そしてレルフィーナさんが海中深く沈んだのがここまで。ここから時間を進めるわね、

「あの水色の×印は私ね。レルさんの側にいる」

「…竜巻の進行速度が下がったまま?」

 ユウは違和感を覚えた。

「邪魔なレルフィーナがいなくなれば、もう遠慮せずに陸に向かって速度を上げていけるはず。本当に陸地を攻撃したいのなら、むしろそうするべき。なのに速度は遅いまま…」

 静かに語るミノリ。

「そしてこの時点で…」

 衛星写真から赤い×印が消えた。竜巻のあった周囲に緑の×印と水色の×印。

「ここであたし達が竜巻を消したのね」

「ここまで見て、あなたたちはどう思った?」

 ミノリはミズキ、ユウ、そしてレミアに尋ねる。

「まるで私たちとの対決を楽しんでいるみたい」

 ミズキが静かに呟く

「…あたし、これまでの魔族の行動を思い起こしてみたんです。一貫性があるように見えて、戦略性があまり感じられないなって」

 ユウも静かに口を開く。

「夢世界で魔族がちょっかいを出してくることは何度もありましたけど、とても散発的でした。特異点の中でこんなに魔族が暴れたケースって、人間界で過去にあったんですか?」

「レミアさん、いい質問ね。答えから言うと、今回これほどまでに襲撃が集中的に発生しているのは恐らく記録に残る限りでは今まで無かったと思う」

「そうなんですか…」

 ユウはジェノのことを思い浮かべる。

「もしかしてあたし達、あのジェノって魔族の子の戯れに付き合わされているだけなのかしら」

 右手を口元に当てて考え込むミノリ、そして静かに口を開く。

「今の時点でそう判断するのは危険だと思う。でも可能性としてはゼロではないわね」

「ゆうちゃん、そう考えるとダークネスは次、何をしようとするんだろう?」

「もしかすると、今度はあたし達を直接狙ってくるかもしれない」

「そんな恐ろしいこと言わないでよ…」

 ミズキは不安そうな表情。

「私達、あのダークネスにどう対処したらいいの? あの子の能力、メチャクチャ強力よ」

「そうよね…」

 ユウも頭を抱える。

「あたし…確信はないけど、対抗策を一つ考えてる」

 レミアが口を開いた。驚くユウとミズキ。

「えっ」

「どうするの、教えて」

「ごめん、今は教えられない」

 ユウとミズキはテレパシーでレミアの考えを読もうとする。しかしガードが堅くて、考えが読めない。

「どうして隠すの?」

「れーちゃん、隠す必要なんて無いじゃん」

 レミアは首を横に振る。

「ごめん、あたしの直感が『まだバラすな』って言ってるの。こんな感覚、あたしも初めて」

 申し訳なさそうに謝るレミア。

「ミズキ、れーちゃんを信じてお任せしない?」

「…しょうがないか。きっと何かとんでもない策なんだろうから…」

「ごめんね…」

 黙り込む3人。

「…ねぇ、ユウ姉、れーちゃん。うちでシャワーでも浴びてく?」

 顔を見合わせるユウとレミア。

「そういえば家でシャワー浴びてきてなかったね」

「うん」

「じゃあ、うちで入ればいいよ。ミノリさん、いいよね」

「どうぞ」

 穏やかに微笑むミノリ

「それじゃお言葉に甘えて…」

 ユウとレミアはミズキに連れられて、廊下を抜け、奥にある浴室らしき部屋へと向かう。入口を開けると、わずか一畳ほどの脱衣場。

 ミズキが脱衣場に向かって左手を突き出す。

「空間拡張、8倍!」

 すると脱衣場が一気に拡大した。部屋の大きさとしては8畳くらい。

「こんな能力の使い方があるんだ、初めて知った」

 驚くユウ。

「ユウ姉、今までやった事無いの? この能力、便利だよ~」

 3人は広々とした脱衣場で着替えをする。不足している道具類は、全部能力を使って出現させた。

「ひょっとしてここも…」

 浴室を覗くユウ。やはり4畳半ほどの大きさで、浴槽もとても小さい。

「ユウ姉も空間拡張やってみたら?」

「いいの?」

 頷くミズキ。

「それじゃ…」

 浴室のほうへ左手を突き出すユウ。

「空間拡張、5倍、浴槽も大きくなれ!」

 すると浴室や浴槽がぐんと広がり、3人同時に入っても支障が無い大きさになる。

「足りないシャワー、増やすね」

 ミズキが左手をかざすと、これまで1つしか無かったシャワーがもう2つ増設された。

「そういえばあたしがシャワー浴びる姿、ゆうちゃんにも見せたこと無いよね」

「れーちゃんって、汚れ知らずの身体だもんね」

「そうなの?」

 興味深そうにレミアのほうを見るミズキ

「あたしは夢世界にいた頃から『何もしなくても身体が清潔になる』能力があったの」

「へぇ、ある意味便利ね」

「ゆうちゃんと融合してから家でシャワーを浴びるようになったよ」

「まるであたしが汚いみたいじゃん」

「ゆうちゃんは綺麗だよ。心も体も」

 クスッと笑うレミア。

 そうこうしながら、3人はシャワーを浴びたり、浴槽に浸かったりしてリラックスした時間を過ごす。

 浴室を出て着替えた後、再び3人はリビングに顔を出した。

「ミノリさん、お風呂ありがとうございました~」

「は~い」

「それじゃ私達、私の部屋に行ってるね」

「あんまり夜更かしするんじゃないよ」

「は~い」

 ユウとレミアはミズキに連れられ、ミズキの部屋へと向かう。ミズキの部屋は6畳間で、収納式ベッドと勉強机があるだけのシンプルな部屋。

「れーちゃんも空間拡張能力を使ってみる?」

「一度やってみたかったのよね。空間拡張、奥の方に4倍!」

 レミアが部屋の方へ左腕を突き出すと、ミズキの部屋が奥の方にぐんと拡張された。

「でてこい、キングサイズのベッド!」

 広がった空間にミズキが両手を突き出すと、大きなキングサイズのベッドが出現する。ベッドの上には枕が3つ。

「ねぇ、今日はここで3人で寝ようよ。私ユウ姉とれーちゃんとで一つの布団に寝るの凄くやってみたかったの」

 そう言うとミズキはいきなりベッドの中央にダイブ。

「ほら、ユウ姉はこっち、れーちゃんはこっち!」

 ミズキはユウを自分の左側、レミアを自分の右側に来るよう促す。ミズキがいつもよりも明らかに高揚していることがユウやレミアにも分かる。

「珍しいね、ミズキがこんなに高揚してるの」

「ほんと、お子ちゃまみたい」

 ミズキに言われるまま、ユウはミズキの左側、レミアはミズキの右側のベッドの縁に座る。

「ほら、3人で寝ようよ」

「もう寝るの? 時間が早くない? まだ9時過ぎだよ」

 苦笑いするユウ。

「あたし、寝てみようかな。ゆうちゃんも寝てみようよ」

 レミアが横になる。

「れーちゃんが言うんなら…」

 ブツブツ言いながらユウも横になる。

「大きな夏掛けケット、出てこい!」

 ミズキが天井に向けて右手を突き出すと、3人の上に大きな夏掛けケットが出現、ふわりと3人の身体を優しく覆った。

「ねぇ、2人とも。もっとくっつこうよ」。

 ミズキの言葉に、仕方なく2人ともミズキに寄り添い、肌と肌が触れあう。

「あったかい…ぬくぬくして気持ちいい」

「あれ…」

「どうしたの、ユウ姉」

「ねぇ、なんか変な音が聞こえない?」

「音? どんな?」

「何て言うか…誰かがハミングしているような声。ミズキ、この部屋で何かBGM流してる?」

「そんなの流してないよ。そもそも音の出る機械なんてこの部屋にあるのはスマホくらいだけど、そっちの方は音出してないし…。でも音は私にも聞こえる」

「あたしも聞こえる。ねぇ、2人とも。この音、ひょってしてあたし達の身体から出ているんじゃないかな」

「え?」

 レミアの言葉に驚くユウ。

(そういえばこの音、どこかで聞いたことがあるような…)

 ユウの意識がテレパシーでだだ漏れ。

「ねぇ、2人とも聞いて。さっきあたしが内緒にしてたこと、今から話そうと思う」

「れーちゃん…それってダークネスへの対抗策のこと?」

「うん」

「ひょっとして今聞こえている音と関係があるの?」

「関係大あり。あたしね、思ったの。今のユウとミズキが融合したら、ダークネスにも負けない存在が生まれるんじゃないかって」

「あたしとミズキが?」

「ちょっと待って。ユウ姉は人間だし、私はアンドロイド。融合なんて…」

「でも2人とも超夢現体を持ってる。あたしも超夢現体だけど、元を辿るとゆうちゃんから分かれた分身。あたしをゆうちゃんの身体に取り込んでもらった上で、ゆうちゃんとミズキが再融合したら、ダーウネスに負けない存在が生まれるような気がするの…」

「あれ? 私達の身体、もしかして発光してるんじゃなくて? それにさっきから聞こえる音、さっきはハミングだったのに、今はもうコーラスになってる」

「思い出した! 今聞こえるこのコーラス、私とれーちゃんが融合したときに聞こえた、あの時の音と同じだ!」

「ってことは、私達の身体が『融合しちゃいな』ってメッセージを出しているって事?」

 ミズキ、いよいよ戸惑いを隠せない。

「私、融合なんてした事無いよ。ユウ姉、れーちゃん、どうやってやるの?」

「あの時はあたしがゆうちゃんの胸の中央に触れたら融合したの」

「じゃあ今度はどうやったら…」

「…ゆうちゃん、ミズキ、聞いて。今からあたしはゆうちゃんの中に入る。その後で、ゆうちゃんはミズキの胸の中心を、ミズキはゆうちゃんの胸の中心を、同時に右手の人差し指で触れてほしいの。多分それで2人は融合すると思う」

「融合したらどんな姿になっちゃうんだろう。レルフィーナとミズキの融合…想像できないよ。最初にあたし達がレルフィーナになれたのは、元々あたしが小学校の頃空想で描いていた『魔法少女レルフィーナ』のプロットがあったから。今のあたし達にはそんなプロットなんて何も無い」

「ユウ姉、とりあえずやってみようよ。れーちゃんも良いよね」

 3人は身体を起こす。

「それじゃゆうちゃん、あたし中に入るね」

「うん」

 レミアの身体がユウの身体に取り込まれる。

「…OK。あたしは準備ができた」

 ユウはミズキに向かって正座。

「…何だかドキドキするよ」

 そう言いながら、ミズキもユウと向き合い正座の姿勢。

「それじゃ…」

 ユウがミズキの胸に右人差し指を近づける。

「タッチするの、私の方で秒読みしてもいい?」

「いいよ」

 ミズキも右手人差し指をユウの胸に近づける。

「行くよ! 5,4,3,2,1,0!」

 2人が互いの胸の中心に触れた瞬間、2人の身体がまばゆい閃光に包まれる。閃光の中で2人の身体の細胞はばらばらに分解。さらにミズキの身体を支えるアンドロイドとしてのメカも分子崩壊を起こし、一旦あらゆる物が粉々になっていく。その上で何もかもバラバラになった全てが一点の光に凝縮。その光の点は二つに分かれ、それぞれが新たな身体を組成していく。一人の容姿はレルフィーナに似た姿で、体内にアンドロイドとしてのメカはない。もう一人の容姿はミズキに似て、アンドロイドとしてのシステムが再構築されていく。どちらの身体もこれまでの2人とは比較にならないほど凄まじい力を内包していく。2人の目がゆっくりと開く。目の輝きはこれまで以上に強く暖かく輝く。そしてミズキは純白で光を放つスーツ、レルフィーナもまた純白で光を放つコスチュームを纏う。2人の皮膚・瞳・髪の色は変わらない。しかし、これまでの2人とは明らかに違う2人がそこにいた。

 2人を覆う光が消え、立ったまま向き合う2人。

「衣装は白くなっただけだけど…身体の中から溢れてくる力がメチャクチャ強くなってる。ミズキはどう?」

「私もスーツが眩しいほどの白になったけど、体内のメカが恐ろしいほどアップグレードしてる。それに、未来透視の能力が格段に上がっているみたい。能力も格段に強くなってる」

「ねぇ、あたしたち、これから何て名乗る? これまでの『レルフィーナ』や『ミズキ』がベースだけど…」

「…新しいモードになったと考えれば良いんじゃ無い? 例えば『ホワイト・モード』とか」

「白いから『ホワイト』ってベタじゃないの?」

 クスッと笑うレルフィーナ。

「じゃあ…私達、今の状態でも全身が光を放っているから、『シャイニング・モード』ってのは? ダークネスの反対に光ってるから」

「『シャイニング・モード』のレルフィーナとミズキ…なんかカッコいいね。それに決めようか?」

「うん、決定。あたしはシャイニング・ミズキ。で、レルさんが『シャイニング・レルフィーナ』で」

「そのスーパー戦隊風の呼び方、ちょっとあたしキツいかな。変身したら背後でドーンって爆発しちゃいそう」

「それも良いんじゃない?」

「やだ、やめてよ」

 大笑いするレルフィーナ。しかしその瞬間、ミズキの表情が硬直する

「…どうしたの?」

「…ダークネスが…もうすぐうちに来る」

「えっ…」

 レルフィーナも不安そうな表情。

「私達がさっきいたリビングに現れる」

「ミノリさんは?」

「まだリビングにいる。今テレパシーで自分の部屋に行ってもらうようお願いした。…ミノリさんが自分の部屋に戻った。ミノリさんの部屋に空間防御シールド展開」

「あたし達も行こう」

 電気も消え真っ暗になったリビングに2人が瞬間移動。

「そこにダークネスが現れる筈」

 部屋の隅を指さすミズキ。

「現れると同時に隔離空間に飛ばすよ」

 レルフィーナが左手を突き出して構える。

「未来が変わった!」

 その瞬間、レルフィーナがミズキのテレパシーを捉え、突き出していた左手を自分の背後に回した!

「隔離!」

「能力剥奪!」

 レルフィーナ、ミズキ、そして2人の背後に現れた2人のダークネス・レルフィーナの4人が、レルフィーナの生成した隔離空間に転移する。転移の直後、2人のダークネスが放った呪いがレルフィーナとミズキに向かう。展開される巨大に光る魔法陣。しかしその魔方陣はレルフィーナとミズキの身体に触れた瞬間、一瞬で粉々に砕け散った。

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