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14話 物語の続きは、僕たちの中に

3作目のエンドロールが流れる。


画面には壮大なBGMが響き渡りながら、関わった人々の名前が次々と映し出されていく。

はるくんは 目をキラキラと輝かせながら、小さく拍手 をした。


そんなはるくんを見て、ゆきちゃんも思わず くすっと笑いながら、一緒に小さく拍手をする。


「はぁ〜……!やっぱり バック・トゥ・ザ・フューチャー は最高だなぁ……!!」


ゆきちゃんは、 満足げに両腕を伸ばしながら、幸福感に包まれていた。


(何度見ても、大好きな作品はやっぱり大好き!)


そして、なにより——

はるくんと一緒に見られて、すごく楽しかったなぁ……


そんなことをしみじみと思いながら、ゆきちゃんはふっとはるくんの方を見た。


——その瞬間。


(……え?)


はるくんは どこか寂しそうな顔 をしていた。


「……終わっちゃった……。」


ぽつりと、小さくつぶやく。


その言葉に、ゆきちゃんは 少しびっくりする。


(え、えぇ〜……? うそ、落ち込んじゃった……?)


(ど、どうしよう……!気の利いた言葉が思いつかない……!!)


ゆきちゃんが 内心で焦っていると、はるくんは ぽつりぽつりと小さな声で呟き始めた。


「……4作目を作る可能性は……ないのかな……?」


「……。」


はるくんは 数秒間じっと目を閉じて考え込む。


——そして、次の瞬間。


「……っ!!」


はるくんは 目をカッと見開き、青ざめた顔で叫んだ。


「……共同脚本家、完全否定……!!!」


「え?」


「公式に、続編の可能性ゼロだって言われてる……!!!」


はるくんは ショックを受けたように頭を抱える。


「うそ……続きが見たいのに……っ」


—— 本気で落ち込んでいる。


ゆきちゃんは、そんな はるくんをポカンと眺めながら、思わず考え込んでしまった。


(……はるくん、本当に映画の世界に入り込んでたんだなぁ……。)


(でも、これだけ感情移入してくれたの、ちょっと嬉しいかも。)


ゆきちゃんは そっと口元に手を添えて、ふふっと笑う。


—— そして。


「……作品としての続きはないけどね?」


ゆきちゃんは、ちょっと得意げな表情で言った。


はるくんは、ゆっくり顔を上げる。


「……?」


「でもね、ちゃんと私の中では マーティとドクの物語は、ずーっと続いてるんだよ?」


「……っ!!!」


はるくんの 瞳が一気に見開く。


「……想像するの、楽しくない?」


「これ以上の続編がないなら、これからの2人の人生を考えるのは 私たちの自由 なんだよ?」


ゆきちゃんは ちょっとした誇らしげな笑顔 で、はるくんを見る。


「……想像……。」


はるくんは ゆっくり復唱し、ポカンとする。


「うん! はるくんの中でも、物語を作ってみたら? きっと楽しいよ!」


そう言いながら、ゆきちゃんは にこっと笑った。


—— その瞬間。


「……うん!!! そうだね……!!!」


はるくんの 目が一気にキラキラと輝き出す。


「僕の中で、物語を作ってみるよ!!」


勢いよく ガバッと顔を上げ、やる気満々な表情になる。


(……え、すごい……! 一瞬で立ち直った!?)


—— ゆきちゃんは、ふふっと小さく笑った。


「うん! いつか、はるくんの中の 4作目の物語 ができたら、聞かせてほしいな♪」


「……ふぁぁ……。」


ゆきちゃんは 欠伸をしながら、手を軽く伸ばす。


(……さて、そろそろ寝よっかな……。)


ぼんやりとした表情で、まぶたを擦りながらはるくんを見た、その瞬間——


「できたよ!!」


「……ふわぁ?」


(……え????)


ゆきちゃんは、 欠伸をしたまま口を開けた状態で、はるくんを見つめる。


はるくんは キラキラした目 で、にこにこと嬉しそうに微笑んでいた。


「僕の中で4作目、完成したよ!!」


「……。」


(……え、は、はやっ!!!!)


ゆきちゃんは、口を開けたままあんぐりと固まる。


「……え、早すぎない?」


(今、欠伸してる間にもうできたの……??)


「だって、僕、頭の中で物語を作るの得意だもん!」


はるくんは 胸を張って、ニコッと誇らしげに微笑む。


「……ふふっ、はるくんらしいね!」


ゆきちゃんは くすっと笑って、目を細めた。


「じゃあ、聞かせてくれる?」


ゆきちゃんが ワクワクした顔で身を乗り出す。


「うん、わかった!」


はるくんは にこにこと嬉しそうに頷く と、

ほんの少し考えてから、ゆっくりと口を開いた。


「物語はね——」


わくわくと目を輝かせる、ゆきちゃん。

少し照れながらも、楽しそうに語り始める、はるくん。


ふたりだけの、想像の続きを——。


——どこまでも自由に広がる、ふたりの “4作目” は、


ゆっくりと 夜の静けさに溶けていった。


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