罪悪感
「……うっ」
目が覚めると、白い天井が広がっていた。
腕に何か違和感がある。
パッと起き上がり、腕を見ると点滴の針が刺さっていた。
針を抜き、数秒して気が付いた。
自分の腕が透明と表せるほど真っ白で、あざのひとつも無い綺麗な腕だと言うことを。
そして急いで洗面所に向かい鏡を見た。
「……え?誰??」
二重瞼に大きくて綺麗な瞳、透き通るような肌、女の子らしい華奢な身体。
こんな可愛い子初めて見た。
「……一体どういう……あっ!!」
生まれ変わるって夢じゃ無かったんだ、
私本当に生まれ変わったんだ。
状況を理解した瞬間、
嬉しさよりも罪悪感で一杯になった。
私、本当に人の体を……
ふらふらとベットに戻ると、
「目が覚めたか。」
またあの男が現れた。
「……私これからからどうすれば」
「決まってるだろ。そいつの体で新しい人生を送ればいい。」
「……でもっ[コンッコンコン]
扉をノックする音が聞こえた。
ど、どうしようっ
あせってその男の方を見ると、もうすでに誰も居なくなっていた。
嘘でしょ。逃げやがったなっ!
とりあえずベットの上に座った。
すると、部屋に1人の若い男性が入ってきた。
そいつは私を見るなり目を大きくした。
「杏里。目が覚めたのか。」
あんり??
この子の名前か……
どうしようこの人の事知らないし、家族なのかな?友達?彼氏?
どうやり過ごそうか
やっぱりここは!!!
「……どちら様ですか?」
そう、記憶喪失作戦!!
「……何言ってんだよ杏里、」
「本当に分からないんです。私は誰ですか?あなたは誰なんですか?」
その男は、数秒フリーズしたがその後小さなため息を吐いて近くの丸椅子を引き寄せそこに座った。
「お前は、一条杏里。20歳。大学2年生で、財閥の一人娘。」
20歳なんだ、この子。
そして男は続けた、
「俺はお前の幼馴染の、金澤俊。20歳。同じ大学の2年。」
「えっと…俊さん??は、どう「俊。」
呼び捨てしろと??
「……俊は、何でここに?てかここ病院…だよね?」
「あぁ。3日前いきなり倒れたんだよお前。そんで3日間意識が戻らなくて、やっと戻ったって事。医者の話じゃどこも異常ないらしいけど……」
入れ替わった事が原因で倒れたって事??
私が考え込んでいると、視線を感じた。
まじまじと私の顔を俊が覗き込むように見てきた。
「なっ!何??」
今まで気が付かなかったけど、こいつっ!!
めっちゃカッコいい顔してる。
韓国アイドルにいそうな顔だわ。
「……本当に、記憶喪失なのか?」
「…え。う、うん。」
「何も覚えてないのか。」
「……うん。」
私を疑うような目線は、無くなり一瞬安堵した様な表情を見せた。