42.中央迷宮
「はい、次は整理番号41番から50番のパーティ、入ってください」
迷宮の横で整理を担当する兵士の指示に従い、続々とパーティが迷宮の中に突入していく。
「Cランクパーティも、参加するだけで報酬をもらえるなんて、随分太っ腹なことだなぁ、ま、半強制的に召集しているから、タダ働きなら暴動が起こるに違いねぇが」
バルイは先ほど渡された資料を読んでいる。そこにはランクに応じた報酬のほかに、各パーティがどの階層を担当するかも書かれていた。フィール達は第三十階層、すなわちCランクの中では一番下の階層が当たっていた。
「でもさ、SランクAランクはともかく、BCランクのパーティって本当に召集する必要あるのかなぁ。雑魚しかいない階層なんて、強い冒険者にしてみれば露払いがいてもいなくても変わらない気がするけれど」
フィールがぽつりと気になったことを呟く。バルイも首を傾げた。
「確かに、こんな風にCランク冒険者を投入する時間がもったいねぇ気もするよなぁ、もしかしたら、ほかにも何か意図があるかもしれないな。大規模作戦の運用実績を作っておきたかったとか――なんでかはわかんねえが」
そんなことを話しているうちに、フィール達の順番が回ってくる。
「次、91番から100番のパーティです!入ってください!!」
番号96番から100番を割り当てられたパーティが第三十層を担当する。既にほかのパーティとも顔合わせは済ませており、順番に迷宮に入っていった。
今までの探索とは違い、迷宮を駆け足で次々と階層を下っていくのはなんだか新鮮な気持ちだった。すでに各階層は担当するパーティが入っており、モンスターはあらかた倒されている。一定の時間間隔で湧き出てくるためゼロにはできないが、転送場所と次の転送陣の間には冒険者たちが一定の間隔で立っており、誘導と湧いてくる敵の駆除を行っているため、スムーズに次から次へと階層を下っていけるのだった。
「こりゃぁいいな、まるでVIPにでもなった気持ちだぜ」
「そんなのあるの?」
「大金持ちなんかは自分専用の迷宮を持っている人もいるらしいぜ。手持ちの冒険者にモンスターの駆除をさせておいて、自分は気の向いたときに冒険者ごっこってことらしい」
「いろんな趣味の人がいるもんだねぇ」
道を守られているとはいえ、三十層もの階層を下っていくと疲労はたまってくる。最初はそんな風に軽口を叩けていた一行も、やがて無口になり、肩で息をするようになってきたところで、ようやく目標の第三十層へと到着した。
「はあっ、はぁっ、ここから休む間もなく雑魚モンスター駆除ね。結構しんどいわ……」
エリアが額の汗をぬぐいながらそう言う。フィールも全く同感だった。
「はい、それじゃあ『牛鍋のセロリ』さんたちはあっちをお願いしますね!」
一緒に潜ってきたパーティ、『馬と羊の恋人』のリーダーがそんな風に指示をだす。すでに顔合わせのときに、階層担当のパーティリーダー間で話し合って、指揮系統は彼女から各パーティリーダー、そしてパーティメンバーとするように決めていた。
「あいよぉ、ほんじゃ、ちょっと行ってきますわ」
第三十階層はいくつかの部屋に分かれている。転送位置から下層の転送陣まではちょうど五つの部屋を通り抜けるのが最短だ。従って、それぞれのパーティで事前に部屋の割り振りを決めていた。フィールの力がばれないように、バルイは抜け目なく、ほかの部屋から見えないような部屋を選んでいた。




