41.討伐作戦
『それでは、次に作戦の全貌について説明する!皆も知ってはいるだろうが、中央迷宮は百層を超える国内最大の迷宮であり、未攻略の領域も未だ残っている。また、国王陛下におかれてもレラーナ殿下の身をお案じになる一方で、殿下のために無辜の民を犠牲にするようなことはあってはならないとの仰せである!これらのことから我々は、過去に例を見ない大規模な討伐作戦を立案することによって一人一人の安全を高め、誰一人欠けることなく、レラーナ殿下とパーティメンバーを救出することを目指している!』
サライドはそう言って力強く拳を振った。
「とはいえ、船頭多くして船山に登るってことわざもあるからなぁ」
バルイはそうぽつりと呟く。
『第一に、Cランクパーティを投入し、第一層から第三十層までの道を作ってもらう。これらの層は熟練の冒険者なら一人でも帰還できるレベルの難易度であり、殿下がこれらの層で助けを求めているとは考えづらい。従って、上階からの転送場所から階下への転送陣までの間の道を確保し、各階層の雑魚モンスターから守ることで、その後に投入されるB,A,Sランクのパーティが雑魚戦で余計な消耗をしないようにすることが目的である』
サライドは作戦の説明を始めた。自分たちの役割がようやくわかり、フィールはバルイに質問する。
「三十層って結構深そうだけど大丈夫なの?」
「迷宮全体がでかいからな。その分雑魚の出る範囲も広いんだよ。ま、三十層あたりはそこそこ歯ごたえのある敵もいるだろうが、今回は個別パーティじゃなくて、言ってみれば巨大なパーティが入るようなもんだからな。Cランクっていっても十分に抑えられるだろうぜ」
『その後三十一層から五十層まではBランクパーティが先行して入り、やはり同様に転送陣までの道を作る。ここまでも未攻略領域は存在しないし、難易度から考えても殿下が捕まっている場所は違うと考えてよいだろう。五十一層から七十層まではAランクパーティが入る。この範囲においては、状況に応じて殿下が足止めを食っている可能性もあるため、各パーティは転送陣までの道の確保のみならず、階層の探索も並行して行うようお願いしたい。最後に七十一層以降だが、ここはSランクパーティの仕事として階層の探索および未攻略領域の探索を行う。なお、念のために言っておくが、殿下たちがはまった転送陣はランダム方陣であるため、これを利用しても同じ場所に転送されるとは限らない。従って各階層を、未攻略領域含め攻略する必要がある。また、現在迷宮攻略中のパーティで今回の召集がまだ届いていない者もいる可能性があるため、そのようなパーティと遭遇した場合にはすぐに現状を伝えるとともに、一時的に本来の探索を中止しこの計画に参加するよう伝えてくれたまえ。そして、最後になるが本計画に参加するパーティはSランクからCランクに至るまですべて報酬が用意されている。詳しくはこれから各ランクごとに配布される資料を参考にしていただきたい。以上だ』
長い作戦説明が終わり、三人は顔を見合わせる。
「要するに俺たちは三十層までを対応していればいいってことだな。さっきも言った通り危険はねぇ、せいぜいこの前のダンジョンに毛が生えた程度の相手だから、フィールがいれば何の問題もねぇよ。むしろ悪目立ちしないように気をつけねーとな」
経験豊富なバルイがそう言ってくれるおかげで、フィールとエリアは安心してこれからの作戦に臨むことができた。




