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37.召集

 それから二日ほど、フィール達は迷宮の中で過ごして、おいしいトロメの心臓やソラノサカナに舌鼓を売ったり、ガンギュウの体から金を取り出したりした。だがそろそろ荷物が増えてきたのと、別の迷宮にも潜ってもっと力を試したいという話になったので、一度三人は迷宮から外に出ることにした。


「やっぱり脇を抜けられるのが怖いわねえ、もう少しその辺りも安心できるようになれば、どんな迷宮でも潜れるんだろうけど」

「ま、冒険には危険はつきものだからな、徐々に難易度の高い迷宮に潜るようにしていって、それでも不測の事態になりゃぁ、それは諦めるしかないんじゃねーか」

「でも僕は石橋を叩くように冒険したいかなぁ」

「フィール、ま、それも大事だけどな。要はバランスよぉ」


 そんなことを話しながら、迷宮の第一層から外に出る。しばらくぶりの日光はまぶしく、フィールは思わず目を細めた。


「おおぃ、ジャカルク、これを換金してくれねーか」


 ギルド出張所に入り、バルイは受付の男――ジャカルクという名前だったようだ――に声をかける。ジャカルクの方はバルイが入ってきたのを見て、安心したような顔をした。


「ああ、バルイさん!ちょうどいいところに来てくれたね」

「なんだよ、あんまりいい話じゃなさそうだな」


 長い付き合いのバルイはジャカルクの表情を見て敏感に雲行きを察知する。返ってきたのは苦笑いだった。


「実は王都にいる冒険者全員に緊急招集がかかったんだよ。俺も立場上あんたがここに入ってるのを知りながら見逃したらあとあと問題になりかねなかったんでね。どうやってあんたに伝えようか考えていたところさ」

「王都の冒険者全員!?そいつぁなんとも大事件じゃねーか。何があったんだ?」

「聞いた話じゃ、王女殿下が所属しているパーティがダンジョンで何かあったらしくて、殿下が行方不明になっているらしい。中央迷宮でのことだ」

「なるほどなぁ、そいつは確かに大事件だ」


 バルイは深々と息を吐いた。何やら思案するように腕を組み、虚空を見つめる。


「えっと……王女様がパーティに所属?冒険者なの王女様って?」


 事態をうまく呑み込めていないフィールがバルイに尋ねた。


「それはだな……いや、移動しながら説明してやるよ。どうせ召集は王宮前広場だろう?」

「さすがに経験があるね、バルイさんその通りだよ」

「とりあえず換金だけ頼むわ。ただの金だしすぐだろう?」

「はいよっと、しかしこんなものこの迷宮のどこにあったんだい?あとで詳しく聞かせてもらうからね」

「ま、無事帰ってくることを祈っといてくれ」


 そんな風にバルイと軽口をたたきあうと、ジャカルクは渡された金をはかりで測って、すぐに対応する額の金貨を用意してくれた。

 

「もうちょっと量が多けりゃ中央でじゃないと換金できないところだったよ。いいタイミングで出てきたね」

「ありがとよ、次はもっと稼ぎに来させてもらうぜ」


 金貨袋を受け取ると、バルイを先頭に三人は中央迷宮へ向かって歩き出した。

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