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33.ガンギュウ

 どしん、どしんと地響きのような音が、三人の耳に聞こえてくる。地面もなんだか震動しているようだった。


「この音は……」

「おいでなすったぞ」


 バルイの差す方向を見ると、岩でできた牛のようなモンスターが重い体を揺らしながら歩いてきた。トロメよりは速いが、人間の動きよりは遅そうである。


「ガンギュウだな。トロメよりもさらに防御力は高い。全身岩だからさすがに食えねーぞ」


 バルイの説明の通り、どの角度から見ても岩にしか見えないようなパーツが組み合わさって、一匹のモンスターをなしている。岩と岩の接合部はほんの少し隙間があるにも関わらず、なぜかくっついて一緒に動いているという、なんとも不思議なものだった。


「縄張り意識が強いから複数のガンギュウに襲われることはねぇ、その代わり出会った奴は必ずこうやって襲ってくるけどな」


 ガンギュウはフィール達に頭を向けると、のっしのっしと迫ってくる。ただ、その速度は決して速くないため、簡単に避けられそうだった。


「フィール、怪我しないように気をつけて」

「うん、わかった」


 フィールは真正面からガンギュウの突進を受け止める。右の拳をしっかり握って、カウンター気味に打ち込んだ。


 バアアアアアアアアアアアアアンンンンンンンンンンンンンンン!!!!!!!!


 ガンギュウの頭が吹き飛び、残った体の部分はただの積み上げた岩であったかのようにガラガラと崩れ落ちる。またもや一発で手強そうなモンスターを倒してしまい、フィールは我ながら少し呆気に取られてしまった。


「いやぁ……ガンギュウですら一発か……フィール、お前すごいな……」

「フィール、強いことはいいことよ!気にしない気にしない」


 バルイも何と言ったらいいのかわからないような表情でフィールのことを見つめる。エリアの方は当然のようにそう言うと、ガンギュウの死骸に駆け寄った。


「さぁ、何かいい部位はないかしらね……」


 ガンギュウの死骸をそう言いながら鑑定するエリア。バルイは呆れたように笑った。


「おいおい、いくら食いしん坊のエリアでも岩は食えねーだろう?」

「茶化さないで。食べれなくてもいい素材になるかもしれないでしょう?」

「いやいや、ただの岩だぜ、そいつ……」

「黙ってて、見つけたわ」


 エリアは何かを見つけると、ガンギュウの死骸の中に手を突っ込んだ。岩と岩が絡み合っているようなガンギュウの体を、それぞれの岩をどかしていくようにしながら探っていく。


「二人とも、ぼうっと見てないで手伝ってよ!」


 エリアに呼ばれて、フィールとバルイもエリアの指示に従って岩をどかす手伝いをする。それぞれが結構思く、これが組み合わさった生き物を一撃で倒してしまったとは、フィールは今更ながら信じられない気分になった。


「これね、見つけたわ!」


 エリアはやがて一つの岩を取り出すと、別の岩をその上に思いっきり振り下ろした。

 ガツン!!と大きな音がするが岩は割れない。エリアはもう一度岩を振り下ろす。


「おいおい、何をやってんだエリア」

「この岩を割りたいの、手伝ってくれない?」

「お、おう……」


 エリアよりも力のあるバルイが代わって、改めて岩を振り下ろす。何度かやっているうちに、下に置いた岩がようやく音を立てて割れた。

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