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27.相談

「あーっ、動くと頭が痛ぇ……」

「誰のせいだと思ってるのよ、ほら、見つからないようにしないといけないんだからね」


 二日酔いに苦しむバルイの背中をエリアは押す。三人は宿に出入りする行商人の恰好をして、なんとか集まっていた冒険者の目をかいくぐり、宿から外に出ることに成功していた。

 とりあえずそのまま、町の外れへと向かう。


「どうしよう、あんなに注目を集めたままじゃ迷宮にも入れないよ」

「そうね、まだフィールの力のコントロールも十分じゃないし――ってフィール!?!?」

「どうしたのエリア?」

「能力名が、変化してるわ。『辛勝』から『常勝』になってる!!!!『どんな相手にも勝つことができる能力』。ギリギリ勝つっていう条件がなくなっているわ!!!」

「それは、どうして……?」

「多分相乗効果ね。一つは中ボスを倒して経験値が増えたことで能力が強化されたこと、もう一つは、バルイの『育成』も強化されたから、そこで強化される分も追加されているんだと思うわ。それに、バルイのパーティに入ってから一日過ぎたから余計にバルイのスキルが馴染んできたっているのもあるかもしれないわね」

「何にせよ、目出てえことじゃねえか!!早速もう一度迷宮に潜ってみようぜ!!!」

「エリアの鑑定を疑うわけじゃないけど、さすがに昨日の今日であの迷宮には潜りたくないなぁ……ギリギリという言葉がなくなったからって、どれくらい楽に勝てるようになったのかはわからないし、それにほかのパーティにも注目されてるし……」

「それなら、別の町のダンジョンに行くか?俺がメインで潜ってるのはここのダンジョンだが、ほかの町のダンジョンもいくつか知ってるぞ。ボスみたいなのが出てこないダンジョンもな――ま、昨日みたいなこともあるから、あまり強くは言えねえが」


 勝手知ったるはずのダンジョンの中に自分も知らない罠があったことを思い出し、バルイの語尾は小さくなった。

 とはいえ、現状ガダチャの町の中では三人はすっかり有名人である。さっきはなんとか行商人のふりをして乗り切れたが、そのうち体格や風貌まで詳しく知れ渡ってしまってはそれも乗り切れなくなるだろう。なのでほとぼりが冷めるまでガダチャの町を離れるという方針は、三人にとって最適なもののように思われた。


「バルイの情報が絶対かどうかはともかくとして、ほかの町に行くのはいいんじゃないかしら。ちょっと有名になりすぎちゃったみたいだし」

「そんならどうする、ここから一番近い迷宮はヘンゴラーの町にあるが、そこまで行くくらいならいっそ王都っていう手もあるぜ。王都なら迷宮も一つじゃないから、いろいろ試せるんじゃねーか?」

「それはいいアイデアかもしれないわ。何しろ王都なら人もいっぱいいるでしょうから、ちょっとやそっとのことをするくらいじゃあ目立たないでしょうし」

「王都か……僕はまだ、行ったことがないよ」

「それならなおさら、王都に行くのがいい気がするわね。フィールは早いうちに王都に慣れておく方がいいと思うわ。きっとフィールの力なら、王都でこそその真価を発揮できるんじゃないかと思うから」


 エリアのその言葉で、三人の王都行きが決まった。

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