25.打ち上げ
「ひゃっほう!!!!!!!!!!こんな目出てえことはねぇ!!!キンピカ山の鉱山堀りだ!!!なんてったってなぁ!俺の真の力が分かり、おまけに新しいパーティメンバーとくりゃあそのスキルは――」
「ちょっと黙っててバルイ、変なのに聞かれたら面倒になるから」
「なんでい世界一の鑑定士サマよぉ!グリズリー婆ちゃんに会わせてやりてぇぜアンタはほんとによぉ!!あのトロメばばぁとは大違いだアンタは本当によぉ!!くーっ!!鑑定士サイコーッ!!!」
例の酒場で、三人は打ち上げをした。初めのうちは周囲に気を遣っていたバルイだったが、やがて酒が回ってくるとペラペラとなんでも喋り出す。慌てたエリアが口を押さえるも、酔ったバルイは止まらずパーティの秘密を喋ってしまいそうになる。仕方がないのでフィールもバルイを後ろから羽交い絞めにした。
「どうしよう、そういえばちょっと酒癖悪かったね」
「宿に連れて帰りましょう。このままじゃ店にも迷惑だわ」
「ふぁんふぇい、ふぃーふふぉふぁふぇふぉ『ふぃんふぉふ』ふぁんふぇふぁふぇふぉふぉふふぃふふぉっふぇんふぁふぁふぁふぉっふぉふぉふふぉふふぉふぃふぇふぉっふぇ!!!!!」
「何言ってるのかわかんないけど、いいからちょっとこっち来て」
フィールとエリアはずるずるとバルイを引きずって、酒場の出口から宿を目指す。そんな三人を見て、マスターは呆れたように肩を竦めた。
「いてて……頭が痛てぇ……昨日何があったんだ……確か10層のボスモンスターをやっつけて……」
翌朝、エリアとフィールの隣で、バルイは頭を抱えていた。宿の主人に頼んで部屋に入れてもらった三つ目のベッドの上で、二日酔いのために苦しそうにうめく。
「――バルイ、やってくれたわね」
「バルイ、外を見てよ、昨日酒場でべらべら喋ってくれたおかげで、あんなことになってるよ」
そんなバルイを冷たい目で見降ろす二つの影があった。
「ふぇ?おめぇら、何をそんなに……」
そう言うバルイにフィールはそっと窓の外を見るように促す。素直に従うバルイは、宿の周囲を埋め尽くす群衆を見て腰を抜かした。どう見ても数十人、いや百人はいるかもしれない。冒険者の恰好をした男女が、ぎっしりと集まっていた。何やらお互いに話しながら、宿の中をなんとか見れないかと伺っているようだ。
「な、なんでいあれは!!この町の冒険者がみんな集まってんじゃねーのか!?!?」
「バルイが酒場でさんざん宣伝してくれたおかげで、たった三人で10層のボスを倒したパーティがいるってあっと言う間に噂になっちゃったんだよ。おまけに色んな尾ひれまでついてこの騒ぎ」
「今のところ、たくさんのモンスターと戦う場合どうやってフィールの力を使ったらいいかわからないし、あなたのスキルとの相乗効果でどこまで伸びるかも未知数だから、その辺りいろいろ迷宮で実験しようと思ってたのに、これじゃできないわよ……」
「そ、そりゃぁ、その……スマン――って、あいつらはっ!!」
しゅんと小さくなるバルイは、そこで誰かを見つけたようだった。視線の先には、三名の男女がいる。
「バガーニンの野郎、それにグエリーとケリーケ!!!畜生あいつらどんな顔してここに来てやがんだあの裏切り者のハゲドラゴン!!!イワミタイを頭にぶつけておけばいいものを!!!おいおい、しかもあいつら宿の中に入って来やがったぞ!!」




