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23.ボスモンスター(3)

 ボスが足や手で攻撃してくれば、フィールが吹き飛ばされないように踏ん張りながら受け止め、はじきながら攻撃する。ボスが火を噴けば、フィールが体を張って二人を守る。フィールの体が負った火傷は、バルイが回復魔法で痛みを和らげる。

 そのサイクルをどれくらい繰り返しただろうか。エリアが告げてくれる、ボスの残り体力が小さくなることだけを心の支えに、フィールはボスの攻撃を受け続けた。


 ついに、エリアのその声が聞こえる。

「残り1000よ!次で終わらせられるわ!!」


 そしてボスの熱風を体で受け止めたフィールは、自らの拳を握りしめる。ずんずんと地響きを立てて近づいてくるボスが両手を組んで、斧か何かのように振り下ろしてくるのを、フィールは正面から弱点の関節に向けてカウンターを打った!!!


 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!


「ゼロになった!!!!!!」


 ボスモンスターの断末魔と、エリアの叫びがフロアにこだまする。そしてボスはゆっくりと地面に崩れ落ちた。すさまじい地響きがフィール達の体を震わせる。エリアがフィールに駆け寄った。


「フィール!大丈夫!?」

「大丈夫、と言いたいところだけど、ちょっと疲れたかも……」


 ふらり、と倒れるフィールの体を、エリアが優しく受け止める。


「待ってろ、また回復魔法をかけてやる」


 バルイはそう言うが本職の回復士(ヒーラー)ではないバルイの魔法には限界があり、フィールの体中には火傷の跡が生々しく残っていた。加えてもっともフィールを消耗させたのは、肉体の傷よりもむしろ精神の疲労である。一歩間違えたらみな死んでしまうような戦いを何時間も休みなしで続けていたのだ。彼の精神的疲労は限界に達しており、そのまま、フィールは気が遠くなっていった。






「あー!!!!!!!!!!!消えちゃううううううううううう!!!!!!!!!!」


 フィールの意識を現実に連れ戻したのは、エリアの叫び声だった。


「エリア!?!?!?敵!?!?」

「あ、ごめん、でもあれ見てよフィール!!!!」


 驚くフィールだったが、どうやら危険があるわけではないらしく少しばつの悪そうな顔をしながら、エリアはボスモンスターの方を指さした。

 そちらを見ると、ボスの死骸がキラキラとした粒子になりながら、空に消えて行くところだった。すでに半分くらいがなくなっている。


「仕方ねーよ、ここのボスは消失して固定でアイテムがドロップされることになってるんだ、諦めな」

「でも、でもあんなに大きなボスだったらきっと希少部位とか色々あるはずなのにー!!」

「だれも捌いたことないからそもそもわからんね、まあ残念だが気にするな」


 悔しそうなエリアとバルイがそんなことを話している。どうやらエリアはせっかくの獲物が消えてしまうことに我慢ができず思わず叫んでしまったようだった。


「びっくりさせないでよエリア、また何か出たのかと思ったじゃない」

「ごめん、フィール、ちょっとあまりにもショックだったから……」


 エリアがしょぼんと肩を落とす。バルイはやれやれと肩を竦めた。


「もう諦めな。それより、話の途中だったろうが。いったいおめぇらは何者なのか、ちゃんと教えてくれよ」


 どうやらエリアがフィールの能力のことなどを説明しようとしていたときに、さっきの消滅が起こったらしい。ということは、そんなに長い間気を失っていたわけでもなさそうだった。

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