22.ボスモンスター(2)
グワシャアアアアアアアアアンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!
またも双方がぶつかったことにより衝撃が起こる。そこで生じた音はまるで目の前に雷が落ちたかのような、耳をつんざくような衝撃。しかし先ほどとは違い、上方向に力を込めたアッパーを打つのではなく、しっかり地面に腰を下ろしたフィールは、今度は吹き飛ぶこともなかった。その代わりボスの足も跳ね上がることはなく、そのままフィールを押しつぶそうと力を込めてくる。
ドラゴン一頭の重さが、大人十人分とも二十人分とも言われるが、そのドラゴン十頭分とも、二十頭分とも思える途方もない重さがフィールの両腕にかかる。しかしそれでも、フィールのスキルはその重さを押し返すことが出来た。
「フィール!そのまま片手でボスの足の裏を攻撃して!そこも弱点だわ」
「わかった!」
エリアから有用な情報を聞き、フィールは続けざまに三度、左手でボスの足を支えながら、足の裏に右の拳を叩き込む。
グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ボスはそう叫ぶと、また足を下げて最初に現れた場所まで戻る。そして口を開いた。
「また炎魔法が来る!!」
フィールは飛び下がると、エリアとバルイの盾になる。熱風が吹き抜け、火傷が増えるが今度も三人はそれ以上の傷を負わなかった。
「まだ95000残ってるわ、フィール、大丈夫?」
「大丈夫、いけるよ……」
フィールはそう言うものの、少し不安を覚えてもいた。ボスの攻撃パターンはほかにもあるかもしれないし、今までと同じダメージを与え続けてやっと20回目で倒すことができる。直接対決では負けないかもしれないが、疲労で倒れてしまうこともありうる。そうなれば少なくとも、後ろの二人の命はない。火傷だって致命傷にはならないが、痛みはあってずきずきとフィールの体を様々なところから蝕んでいた。フィールの胸の中を、不安がもくもくと広がっていく。
しかし、その不安を和らげることのできる者がいた。
「……俺はこの中ボスと戦ったことはねぇ、だが、どんなボスかは聞いたことがある。記憶をたどってみたんだが、まずこいつの攻撃は基本的に、さっきの接近と炎魔法の繰り返しだ」
未だ事態を完全に把握できているわけではないだろう、しかし徐々に冷静さを取り戻したバルイは、今何をすることがパーティにとって最適かを考えられるようになっていた。
自分の知っている知識を、最前線で戦うフィールに伝える。
「だからおめぇは――できるっていうんなら――さっきまでのことを繰り返せば、それ以外の攻撃は飛んでこねえはずだ。そして――」
バルイは両手を前に出す。そこから青白い光が生まれると、フィールの周りにまとわりついた。すると、フィールの体のあちこちにあった火傷から生まれる痛みが和らいでいく。すべて治りきるわけではないが、体の動きが随分楽になるのをフィールは感じた。
「俺もパーティリーダーの端くれとして、最低限の回復魔法くらいは使える。だから――頼む、お前だけに戦わせて本当に申し訳ないが、フィールなんとかしてくれ」
その表情はフィールには見えないが、体を包む光の優しさだけで十分だった。
「もちろんだよパーティリーダー!!あいつを倒して一緒に地上に帰ろう!!」
そして、ボスはまた物理攻撃をフィールに加え、フィールはそれをはじき返した。




