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19.イワミタイ

「こいつぁスゲーや、百発百中じゃねーか。詐欺師なんて言って悪かったな」

 

 バルイはそう感嘆の言葉を述べた。


 三人の目の前には10匹以上のガジラジクの死骸が横たわっている。最初にフィールが殺したもの以外、すべて金色の毛が生えていた。


「まあ、ざっとこんなものよ」


 エリアが誇らしげに胸を張る。ただでさえ優秀な鑑定のスキルが、バルイの『育成』によって強化されているのだからそれはこんな結果にもなるだろう。


「とはいえ、大金になるってわけじゃないから、モンスターを狩るならもっと深い層まで潜らないといけないわね」

「ああ、だが通常のパーティが稼ぐ額と同じだけを、そのパーティが潜るよりもずっと浅い層で手に入れることができるぜ。嬢ちゃんのスキルを使えばな」


 バルイはそう言ってにやりと笑った。


「見習い卒業は文句なしだ。五年間は、俺と一緒に稼いでもらうぜ」

「ええ、なんなら五年以上一緒にいてもいいわよ、ま、今のあなたにこの手の台詞は響かないでしょうけど……」

「ま、五年以降のことを考える気にはならねーな。おめぇらも五年経ったら出て行くって前提で、俺は考えさせてもらうよ。ところでエリア、モンスターの鑑定だけじゃなくて人の鑑定もできるんだろ?フィールと俺はどう出るのよ、教えてくれや」

「それは――きゃっ」


 エリアが何か言おうとしたとき、一匹のガジラジクが三人のところに飛び込んできた。


「フィール、こいつも金毛よ!」


 エリアの声が聞こえるが肉眼でも金色を確認できていたフィールは、言われるよりも早くナイフを振りかぶる。しかし、不意に出てこられたせいで十分に準備ができていなかったフィールのナイフは、空を切ってしまった。そのままガジラジクはどこかへ逃げていき、フィールはもんどり打って近くの岩にぶつかる――と、その岩から悲鳴のような声があがった。


 ギエエエエエエエッ!!!!


「な、なに!?」


 驚くフィールとは対照的に、バルイは落ち着いていた。


「お、イワミタイってモンスターに当たったな。岩に擬態している奴で、この層にはときどきいるんだが、別に人を襲ってくるわけでもねぇ、無害な奴だよ――よく考えたら、これこそエリアの鑑定に最適なテストだったな。あんまりにも存在感の薄いモンスターなんで忘れてたぜ」

「まったく、言ってくれたらちゃんと鑑定したのに。さすがのあたしも岩までは見てないわよ」

「悪い悪い、じゃあ、次はイワミタイの判定テストも一応やっとくか――」


 そんなことを話している二人の横では、フィールにのしかかられたイワミタイが息絶えようとしていた。死体が残るような死に方ではなく、細かい砂のようになって、さらさらと空気中に消えていく。

 そして、やがてイワミタイの死体は完全に消え去り、フィールはその体があったところにすとん、と尻餅をついた。


 ――赤い、方陣が描かれた、地面に。


「な――ランダム方陣!?!?」

「転送魔法が発動するわ!」


 フィール一人に留まらず、仲間の二人を巻き添えにして、赤い魔法陣は転送魔法を発動させた。

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