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戦う天使(ナース)  作者: innocenceパラレルワールド
ストーリー(全編 挿絵あり)
9/10

01

「……疲れた…」

まぶたが重力に屈すると同時にナナホは眠りの淵に落ちる。


揺れる輸送車両のシート、寝付きのいいイチカとハルノは既に寝息を立てている。


キリカもチームリーダーのチカモもウトウト揺られる。

ミハネは静かに目を閉じているが、起きているのかもしれない。


「ヴァイキン」の殲滅作戦が終わり、撤収する時の車内はいつもこうだ。少しの移動時間であっても休養したい。またいつ戦闘になるか分からないのだから。





「すまない、みんな起きてくれ。緊急の仕事が入った」

運転席の男の声がスピーカーから響く。

感染防止のため前列の運転席と助手席は6人のナースたちが乗る後部の搭乗スペースと強化ガラスで間仕切られている。


「またか」

うんざりとした空気が流れ皆が目を開く。すぐにリーダーのチカモがそれをかき消して引き締めるように鋭く答える。「了解です!」


「ふわぁ~~残業はもぉお腹いっぱいだよ~~」

大あくびを混ぜながらイチカ伸びる。


「チッ、キリがない」

ナナホの機嫌が悪いのは、決して急な任務で眠りを妨げられたからではない。


「どこからの依頼ですか?」

キリカがマイク越しに問う。


「ネット通報だ。」

答えたスピーカーの若い声は助手席の男だ。


「個人か…ポイント低いな。保健所とか地方公共団体の依頼じゃなきゃ残業の割に合わないな」

キリカが眉をひそめる。


「規模は?」

表情を変えずにミハネが問う。


「確認されてるのは1体らしいけど、一般人の書き込み通報だからあてにはならないなぁ」

申し訳なさそうに助手席の男が答えた。


「1体でも複数だとしても、ネット通報を本部が拾い上げたという事はクラスターになる恐れがあると判断したはず。締まっていきましょう!」

真面目なリーダーチカモが鼓舞する。


「ナナホ、バッテリーは?」

「まだ大丈夫」

チカモの確認にナナホが答える。ナナホが使用する武器は強力な分、電力消費が大きい。


「ハルノも消毒剤の残量に注意してね」

まだ眠そうなハルノにチカモが声を掛ける。

無口なハルノは黙って小さく頷き答える。


ナースたちが準備を進める中、輸送車両は目的地の繁華街へ進む。

現在21時。




「…ねぇ、ミハネ」

ナナホが急に思い立ったように声を掛けた。

ミハネは視線だけ向ける。


何かを警戒したのか、まだ残量は十分だと答えたバックパックのバッテリーカートリッジを急にスペアと入れ替えだしたナナホ。

「これって…もしかして第二波が来てる?」



挿絵(By みてみん)

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