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世間知らずな錬金術師  作者: 白井木蓮
王都帰還編

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13.マリンも知り合いだったようです

 ピピちゃんたちが帰る準備をしてると、マリンが学校から帰ってきました。


「チュリ! チュリリ!」


「なにこの子たち!? 鳥さんと牛さんと…………スライム? 実物初めて見た……こんな色なんだ……」


 マリンが絶句してます。

 魔物が町の中、しかも家の中にいるんですからね。


「チュリ!」


 ピピちゃんがなにか必死に伝えようとしてます。

 ……あ、この様子は。


「なに? 私のことが好きなの?」


「チュリリ!」


「そうなの? うん、鳥さんも可愛いね!」


「マリン、もしかしてピピちゃんのこと知ってるんじゃないですか?」


「えっ? ちょっと待ってね……」


 マリンは懸命に考えています。

 そしてすぐになにか思い出したようです。


「ピピちゃんって言ったよね? ララちゃんといっしょにいたあのピピちゃん?」


「チュリリ!」


 ピピちゃんが嬉しそうです!

 師匠に気付いてほしかったときと同じ顔してましたからね!


「やっぱりそうなんだ! 久しぶりだね! 九年ぶりくらい? よく私ってわかったね!」


「チュリチュリ!」


 ……嬉しそうなんですがなんて言ってるのかはわかりません。

 でもマリンはララちゃんのことも知ってるんですね。

 ということはロイス君のことも知っているのでしょうか?


「ビビちゃんは? いっしょじゃないの?」


「チュリ!」


「え…………わかんないや」


 一瞬わかるのかと思ったじゃないですか……。

 ビビちゃんっていう鳥さんもいたってことですか?

 それは初耳です。


「でもなんでここにいるの? 師匠が連れて来たの? 師匠はノースルアンに行ってきたってこと? お姉ちゃん、大樹のダンジョンに行ったって言ってなかった?」


 あ、ララちゃんたちのことは言ってなかったです……。

 ロイス君のことは管理人さん、ララちゃんのことは妹さんで話してましたからね。

 本当に知り合いだとは思わなかったですし。

 師匠のお父さんが亡くなったことは伝えたんですけどね。


「大樹のダンジョンの話に出てきた妹さんって言うのがララちゃんなんです」


「えぇ~っ!? ララちゃんが大樹のダンジョンにいるの!? ……ということは管理人さんは?」


「ロイス君です。知ってますか?」


「えぇ~っ!? お兄ちゃんが管理人さんなの!?」


 お兄ちゃん?

 ララちゃんのお兄ちゃんだからお兄ちゃんって呼んでるんですかね?

 どうやらロイス君のことはララちゃん繋がりで知っている程度のようですね。


「お兄ちゃんって今何歳だっけ? 私の三つ上だったはずだから十五歳? なのに管理人をやってるの? 凄いね!」


「はい。ロイス君とララちゃんは私が行くまで二人で暮らしてたんですよ。あのお二人はしっかり者なんです」


「私も行く! ねぇ師匠!? ピピちゃんたちと行ってきていい!?」


 師匠はずっとソファに寝転んで話を聞いてました。

 お昼寝するところはロイス君とそっくりですね。

 でもお昼寝すると頭が冴えるってロイス君は言ってました。

 ただ眠いだけなんじゃないかと思ってましたが本当なのかもしれません。


「だ~め。学校があるでしょ。行くんなら春休みにしなさい」


「ヤダヤダ! お兄ちゃんに会いに行くの! だって九年ぶりだよ!?」


「ロイスは逃げないから大丈夫よ。だから今は我慢しなさい。春休みになったらカトレアと二人で行ってきていいから」


 マリンはしゅんとしてしまいました。

 でもララちゃんじゃなくてロイス君に会いたいんですか?


「……わかった。ピピちゃん、私のことお兄ちゃんには内緒にしておいてね」


「チュリ~?」


「覚えてないかもしれないもん。でもお兄ちゃんなら私の顔見たらすぐに思い出してくれるもん」


「チュリ」


「それでもいいの! だから絶対言っちゃダメだからね!」


 ……会話が成立してるように見えるんですが。

 まるでララちゃんみたいです。


「それよりみなさん、時間がギリギリです。誰にも見られないように超高速で門を通り抜けてくださいね。ピピちゃん、ララちゃんへの伝言頼みましたよ」


 魔物さんたちは帰っていきました。

 やっぱり寂しいですね。

 ピピちゃんはともかくメタリンちゃんとウェルダン君とは今度こそしばらく会えないでしょう。


「……なんであんなに速いの?」


 疑問に思ったマリンが聞いてきました。


「魔物だからですよ」


「魔物!? いや、スライムは魔物だけど……え? あの牛さんも? もしかして……ピピちゃんも?」


「そうです。ピピちゃんは昔からずっと魔物ですよ」


「えぇ~っ!? 嘘でしょ!? ……え? 大樹のダンジョンの管理人さんは魔物使いって言ってたよね? もしかしてそれって……」


「ロイス君のことです。さっきのみなさんはロイス君のお仲間さんなんです」


「…………お兄ちゃんが魔物使い? ……カッコいい」


 え……。

 そういう反応なんですか……。

 昔の知り合いが魔物使いだったら驚いてなにがなんだかわからなくなったりするんじゃないですかね?


「え……でもじゃあお姉ちゃんをイジメてたのもお兄ちゃんなの!?」


「イジメられてたわけではないんですけど……というかそんなこと一言も言ってないですよね?」


「だって無理難題ばかり押し付けてくる鬼みたいな人って感じのこと言ってなかった? そのせいで何日も眠れなかったとか、毎日涙で枕がビショビショになったとかさ?」


 ……少し話を盛りすぎたかもしれません。

 確かにそれに近かったときもありますがそこまで酷くはありませんし……。


 ……師匠にじーっと睨まれてます。

 ごめんなさい。

 厳しい環境で修行をしてきた雰囲気を出したかっただけなんです。


「マリン、ロイスはそんなに悪いやつじゃないからね。カトレアを鍛えようとしてわざと厳しい注文をしてたのよ。じゃなければカトレアもこんなに長い期間そこにいなかったでしょ?」


「えっ!? じゃあお兄ちゃんのおかげでお姉ちゃんこんなに凄くなってるの!? 料理もできるようになったみたいだし! やっぱりお兄ちゃんは優しいんだね!」


「うん。あとで話聞かせてあげるから鞄置いて手洗ってきなさい」


 マリンは二階に上がっていきました。


 ふぅ~、なんとか誤解が解けたようです。

 私のせいでマリンの中の優しいお兄ちゃん像が崩れたら可哀想ですからね。

 ロイス君にも悪いですし。


「ねぇ、マリンがノースルアンからここに来るまでの間のこと覚えてる?」


「え……ずっと泣いてたってことくらいしか」


「それよ。そのときに泣いてた理由はなんだったかわかる?」


「お友達と別れるのが寂しいのかと思ってましたけど」


「うん。あの子ずっと『お兄ちゃ~ん』って泣いてたの。それがロイスのことなんでしょうね」


 ……言われてみればそんな気がしてきました。

 さっきはララちゃんのお兄ちゃんだからお兄ちゃんって呼んでるのかと思いましたがそうではないということですか?

 近所の仲のいいお兄ちゃんのような存在だったということでしょうか?

 それとも自分の本当のお兄ちゃんであるかのように慕っていたのかもしれませんね。


 春休みにいきなり連れていったらロイス君も驚いてくれそうです。

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