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世間知らずな錬金術師  作者: 白井木蓮
王都帰還編

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2.お魚を食べます

 おはようございます。

 ただいまの時刻は朝七時です。


 宿での朝食はなんとバイキング形式というやつでした!

 いわゆる食べ放題ってやつです。

 これはよく食べる人にとっては凄く嬉しいでしょうね。

 朝はあまり食欲がない私でもいつもより食べすぎてしまったかもしれません。


 今日はこれから乗り合い馬車に乗り、王都パルドを目指します。

 ここからは山越えになるのでお馬さんは大変そうですね。


 山の上にあるマッシュ村までは途中休憩を入れて三時間と少しを予定しているみたいです。

 メタリンちゃんやウェルダン君なら一時間もかからないんだろうなーって思ってしまいました。

 それにあの馬車に慣れてしまうとこの揺れが凄く気になってしまいます。


 馬車にはマッシュ村やパルドまで行く人が私のほかに十人ほど乗っているようです。

 パルドとマルセールの間は一日に何便も馬車が出てますからね。

 一日半くらいで着くんですから比較的近い道のりと言えます。


 そうです、パルドと大樹のダンジョンはそんなに遠くないんです。

 だからきっとまたいつかダンジョンに行けるはず……。


 おっと、少ししんみりしてしまいました。

 長年住んでいた家に帰れるはずなのに、ダンジョンから遠ざかるにつれて不安になってしまうのはなぜでしょうか。


 ……だからピピちゃん、そんなに心配しなくても大丈夫ですからね。

 私の膝の上にちょこんと乗っているピピちゃんは相変わらず私のことが心配なようです。



 それから山道を行くこと四時間ほど、マッシュ村に到着しました。


 道中、馬車が魔物に襲われるというハプニングがありました。

 でもこの馬車に護衛として乗っていた中級者レベルと思われる冒険者の方二人が一掃してくれました。

 馬車の護衛というのは結構割がいいんだそうです。

 まぁピピちゃんならもっと早く倒してくれましたけどね。


 それに出てきた魔物もハニービーやグリーンモンキーだったのでつい地下三階のことを思い出してしまいました。

 あの環境はまさに今の山の環境そのものですからね。

 おそらくダンジョンに通ってて地下三階の休憩エリアまで到達してる冒険者たちならこの護衛の仕事もできるはずです。


「マッシュ村が目的地の方はお疲れさまでした! ほかの方は今から十三時までは自由行動とします。ここからは下り道なのでパルドまでは三時間もかかりませんから暗くなる前には着けます。ではまたあとで」


 あ~なんだかお腹が空きました。

 今朝あんなに食べたはずなのに……。

 この村はソボク村より大きいですし、観光地ですから飲食店もたくさんありそうですね。


 ここマッシュ村には世界でも有名な湖があります。

 なんでも透き通るような美しい色で水の中がはっきりと見えているそうです。


 ご飯を食べたらあとで見にいってみましょう。

 それよりなに食べましょうか。

 並んでいる店を見た感じだと湖名物も多いみたいですね。

 ……ここに入ってみましょうか。


「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」


 四人掛けのテーブル席に案内されました。

 まだ十一時になったばかりですから空いてるようですね。

 ダンジョンならお腹が空いた人が食堂の開店待ちをしている時間ですね、ふふ。


 それにしてもまた未知なメニューが多いですね。

 ……どれを食べたらいいか決められません。


「すみません」


「はい、お決まりですか?」


「……あの、おすすめってありますか?」


「それでしたらこちらのアユの塩焼きやマスの押し寿司はいかがでしょうか?」


「……」


 なんですかそれ?

 お魚さんですよね?

 押し寿司?

 魔物の名前には詳しくてもお魚や料理の名前は全然わかりません……。


 私が困っていると店員のお姉さんは嫌な顔一つせず親切に説明をしてくれました。


「ではその二つをお願いします」


「はい、ありがとうございます。今から焼きますので少しお時間くださいね」


 注文が入ってからアユの焼きに取りかかるようです。

 先にマスの押し寿司が出てきました。

 鮮やかなオレンジ色をしてます。


「……いただきます」


 これは……酸味が効いてますね。

 先ほどの説明によるとこのご飯は酢飯というものらしいです。

 酸味に驚きましたが、美味しいかもしれません。

 ロイス君が好きそうな味ですね。

 チキン南蛮の甘酸っぱさと似ているところがあります。


「お待たせしました。アユの塩焼きです!」


「……」


 本当にお魚が一匹丸々出てきました!

 ……どうやって食べるんですか?


「……あの」


「よろしければ少し食べやすくしましょうか?」


「……お願いします」


「はい、このようにほぐしてですね、尾の部分の骨を外します。そして頭の部分を持って一気に……えいっ! ほら、この通りきれいに骨まで抜けるんです」


「凄いっ!」


 まさに職人技です!

 これで食べられそうです。


 ……美味しい。

 塩味が効いてますね。

 シンプルに塩焼きっていうのがお魚さんには合ってるのかもしれません。

 でもダンジョンでは出すの厳しそうですね。

 お肉よりも焼く時間がかかりそうですし。


 お魚さんを食べたのは初めてでしたが、どちらのメニューもとても美味しかったです。


「ごちそうさまでした」


「ありがとうございます。まだお時間あるようでしたらぜひマッシュ湖にも行ってみてくださいね」


 この時間は乗合馬車の休憩で店に来る人が多いみたいです。

 私が来たときにはガラガラでしたが今は満席になってます。


 さて、散歩がてら湖を見にいってみましょう。


 ……五分ほど歩くとマッシュ湖に着きました。

 評判通りの美しい湖ですね。

 周りの山が水面に対称に映っています。

 ララちゃんやユウナちゃんにも見せてあげたいです。


「もっとよく探してよね!」


「本当に魔物がこんなところにいるのか?」


「普通の魚しか見当たらないぞ」


「う~ん、少し下ってみましょうか」


 湖の近くから賑やかな声が聞こえてきました。

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