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世間知らずな錬金術師  作者: 白井木蓮
旅立ち編

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11.お弁当を食べます

 あの……ララちゃん、強くないですか?

 私とお話しながらでも全て一撃で倒してますよ……。

 魔道士タイプじゃなくて戦士タイプでしたか。

 でも魔力も相当なものをお持ちのようですが。


 あ、左手から火を出しました……。

 同時に右手でも剣を振るっています……。

 なんですかこの子は……本当にまだ十歳なんですよね?


 というかこの指輪も凄すぎません?

 セーフティリングって名前が付いてるそうです。

 これを装備してるとこのダンジョン内で死ぬことはないらしいですよ。

 これも錬金術で作ってますよね?

 ララちゃんに聞いてみたんですけど濁されました……。


「えぇ!? お兄とそんなことがあったの!?」


「……はい。でも悪いのは私なんです」


「カトレアさんはお兄の荷物を持ってくれようとしたんだよね!? それにわざわざウチで解毒ポーションを作ってくれようとしてたってことだよね!?」


「……まぁ、はい。ですけど急いでるのを知らずにお引き留めしてたわけですから」


「でもお兄は昨日なにもしてないからね! 帰ってきて寝てたもん!」


「え……」


 やっぱり私が怒らせたからじゃないですか……。

 そのせいでやる気がなくなったんだと思います。

 あんなに重い荷物を持って帰るだけでも疲れたはずなのに……。


 ……ん?

 ということはやはりララちゃんがリニューアル作業とやらをしてたんですか?


「あの……もしかしてララちゃん……」


「あっ! 地下二階だよ! 準備はいい!?」


「え、はい……」


 もうそんなに歩いてきてましたか。

 私は一匹も倒さずに歩いてるだけでしたけど。


 そして地下二階への階段を下りました。


「これは……」


「どうかな!? これが今日から新しくなったフィールドです!」


 目の前には見渡す限りの草原が広がってます!

 空気が美味しいです!

 でもこれがダンジョンなんですか?

 ダンジョンって洞窟がお決まりだと思い込んでました。

 ここにいると地上にいるかと錯覚してしまいそうです……。


「凄いです……」


「本当!? じゃあ行きましょ! 毒消し草もそこらへんにあるからね!」


 そうでした!

 早く毒消し草を確かめないと!


 ……すぐありました!

 薬草もあるようです!


 そして毒消し草ですが…………素晴らしいの一言です。

 やはりマナの力で成長すると特別なものになるようですね。


 というかずっと気になってましたがララちゃんは私と年が近いと思ってるようです……。

 いつのまにか口調も友達のような感じになってました。

 でもマリンといるみたいで楽しいです。

 昨日まではずっと孤独でしたからね。


「あと十五分ほどで休憩エリアに着くからね! そこでお昼にしましょう!」


 え、もう休憩エリアですか?

 私、今日まだ一度も敵と戦ってませんよ……。

 ララちゃんは戦闘を楽しんでるようです。


「あっ! あそこだよ! みんないるみたい!」


 地下一階の休憩エリアよりもずいぶん広いようです。

 木もあって休憩に適した環境ですね。

 なんだか本当に遠足にでも来た気分です。


「あそこの空いてるテーブルにしましょ! カトレアさんはお弁当持ってきた?」


「……はい。お弁当というかパンですけど」


「そうなんだ! 良かったら私が作ったお弁当食べる!? 二つ持ってきてるんだ!」


 お弁当ですか?

 しかもララちゃんが作ったんですか?

 十歳の子にお弁当なんて作れるんでしょうか……。

 マリンなんてとてもじゃないですけど無理です。

 というか私も作ったことありませんし……。

 でも断るのも申し訳ないですよね。

 ……少し食べてみたいというのもありますが。


「……じゃあ頂いてもよろしいですか?」


「うん! 今日は人がいっぱい来ると思って余分に作ってたんだよ! 遠慮しないで食べてね! お茶もあるからね!」


 ララちゃんはテーブルの上にお弁当とお茶を準備してくれました。


 ……え?

 なにこのお弁当、本当にララちゃんが作ったんですか?


 おにぎり二個、卵焼き、ウインナー、それとこれは唐揚げですよね?

 他にも名前はわかりませんが何品か入ってます。


 ……美味しそうです。

 人生初のお弁当かもしれません。


「じゃあいただきます!」


「……いただきます」


 まずは卵焼きから…………美味しい!

 冷たいのに美味しいです!

 次は唐揚げ?

 ……これも美味しい!

 おにぎりも中に梅と昆布が入ってます!

 お米を食べたのなんていつぶりでしょうか……。

 パンのほうが美味しいに決まってると思ってましたが間違えだったのかもしれません。

 お米にはお米の美味しさがあるんですね。

 もう一つ食べたいです……。


 なんでしょう……誰かといっしょに食べてるから美味しく感じるんでしょうか。

 それともララちゃんのお弁当が特別に美味しいのでしょうか。

 ……どちらもですよね。


 でも昨日のミックスサンドも管理人さんといっしょに食べましたが美味しくは感じませんでした。

 同じパンだとどうしてもクロワッサンとチーズ蒸しパンと比べることになりますからね。


 どうやら私は食について少し偏見がすぎるようです。

 今まで食に興味がなさすぎたんです。


 パン屋に行ってもほとんどクロワッサンとチーズ蒸しパンにしか目がいきません。

 師匠はその二種類しか食べませんからね。

 昨日も言いましたがそりゃ他のパンを食べたことだってありますよ。

 でも味が普通なんですよね。


 今思えば私の中では師匠が食べたいものを私の錬金でどうやって美味しく作れるかが重要だったんだと思います。

 きっとクロワッサンやチーズ蒸しパンがどうとかより錬金のことを考えてたんですね。

 自分の成果を直にみてもらう瞬間でもありますし。


 でも今の私は錬金術師でもありながら冒険者でもあります。

 そして未知のダンジョンに来ています。

 なぜかマリンより年下の女の子といっしょにお弁当を食べています。

 昨日は私のせいで男の子を怒らせちゃいました。


 なんですかこの状況。

 今までの私の生活からはかけ離れすぎじゃないですか。


 もしかすると師匠が望んでいるのはこういうことなのかもしれません。

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