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【web版】会話もしない連れ子の妹が、長年一緒にバカやってきたネトゲのフレだった  作者: 雲雀湯@てんびん2026年アニメ化決定
番外編・ある春休み

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*従姉襲来・承


 連絡した翌日、真白は早速、昴の家へと向かうことにした。

 本当は昨日、すぐにでも行きたかったのだが、入学手続きの書類なり両親への報告なり色々あり、翌日となる。


 3年ぶりに訪れた初瀬谷の駅は、記憶の中のそれとは微妙に違う。

 無かった店が出来ていたり、テナントが入れ替わっていたり、そういったところが、離れていた時間を実感させる。


(変わったのはわたしもかな?)


 高校に入って結構背も伸びた。体つきも中学の頃より丸みを帯びたし、胸の成長は特に顕著だ。

 それにゴリラの園(女子校)で鍛えられたメイクやファッションの技術もある。


(昴、驚くかな……?)


 真白はにししと意地の悪い笑みを浮かべた。くるりと自分を見渡して、その姿をチェックする。


 胸元を強調するオフホワイトのもこもこニットに、春らしさを感じさせるパステルカラーのふんわりフレアスカート。ガーリーな感じの男受けする恰好、らしい。雑誌の女子中高生に人気の有瀬陽乃がお勧めするコーデ特集にあったのを、自分なりに取り入れたものだ。

 正直キャラじゃないなと思うし、ちょっぴり恥ずかしいという思いもある。他にも、この時期にはまだまだ寒い格好というのもあるし、だけど昴を驚かすには我慢だ我慢と言い聞かせる。その為だけにわざわざ用意した服なのだ。

 真白にはそんな、ちょっと残念な部分があった。


 初心(うぶ)でどこかむっつりした従弟のことだ、きっとこんな格好を見ればドギマギするに違いない。その時の様子を想像すると、ニヤニヤしてしまう。


「真白」

「あ、すば……る……?」


 そんなことを考えていると、ふと懐かしい声を掛けられる。

 しかし振り返ってみるも、語尾はどんどん小さくなって疑問形になってしまった。

 記憶の中にある、どこか垢抜けなくてどこにでもいそうな従弟の声は同じなのだが、そこには随分とイケメンと評しても問題ないほどに、様変わりした昴の姿があったからだ。

 髪もさっぱりと整えられおり、清潔感の溢れる爽やかな装い。身体も鍛えているのか引き締まっており、思わず従弟と分かっていてもドキリとしてしまう。


「まったく、いつも突然なんだから。ロクに迎える準備が出来て……真白?」

「や、うん、昴……昴だよね?」

「何を言って――あぁ、髪とかこの服とか……変、か?」

「いやいやいやいやいや、そんなこと無いよ?!」

「そうか、よかった」

「っ!」


 そのくせ、かつてと同じ様に悪態を吐きつつも、はにかんだ顔を見せられると、それはもう真白にとっては不意打ち以外の何物でもなかった。

 こんなにもドキドキしてしまうのは、女子校で異性を見ていなかったからだ、抵抗力が落ちているせいだ、そんなことを必死に自分に言い聞かせる。


「ほら行くぞ、皆待ってるし……荷物はそれだけか?」


 そんな真白の心境など知ったことかと、昴はひったくるかのように荷物を持つと、背を見せ先に行くぞと促す。


「う、うん…………あっ!」

「おっ、と」


 遅れまいと後を追いかけた真白であったが、この日の為に新しくおろした靴は履きなれておらず、つまづいてしまった。

 しかしそれに気付いた昴は、素早く真白の手を取り事なきを得る。周囲にもこけたと悟られないような自然な動きだった。握られた手がやたらと熱い。


「大丈夫か? まったくそそっかしいところは昔から変わってないな、真白は。それと――」

「う、うるしゃい!」

「その恰好、似合ってるぞ。見違えた」

「~~~~っ!!」

「痛っ! 何すんだよ!」

「うるしゃい、うるしゃい!」


 そこが真白の限界だった。顔はどうしたって赤くなり、理性が感情に追い付かない。

 自分が守らないとと思っていた男の子が、身体も背も大きくなって逆に守られているのだ。さらりと自分の恰好を褒められたことも小憎らしい。出会って早々、お姉さんとしてのプライドはずたぼろにされていた。


 だからその結果、バシバシと背中を叩くという、子供じみた行動に出るのだった。


次話は明朝になります。


新連載、書いています。

昔、男の子と思っていた幼馴染が、実は女の子で……という、タイトル的にはその、あれなかんじですが、甘酸っぱく切ない感じの、いい感じで読者を裏切られたらなーという話です。良かったら読んでください。


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