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第2話 少女とよみがえる島

女子高生、姫野(ひめの) 由依(ゆい)は、何日かに一度、同じ夢を繰り返し見ていた。


その都度、朝起きると目から涙を流して、朝を迎える。


はっきりと覚えているわけではないが、ぼんやりとしている。


魔物に襲われ怯えている母と子供。それを助ける老人の姿。


その夢を見た後は変わらぬ日常に戻る。


しかし、最近は人が行方不明になる事件が多発し始めた。


由依は夢と何か関係しているのかもと疑問を持つ。


学校の帰り道、辺りに霧がかかっているのを目にする。


由依は吸い込まれるように霧に覆われ、目を開けると、道路や公園のある場所と違う山道の中にいた。


近くから誰か数人の声が聞こえる。


由依はそこを目指して歩き出す。



由依は霧に吸い込まれる時間より少しさかのぼり、アルスたちの世界に話が変わる。


アルビオスの村から少し離れた遺跡で、アルビオスの王子パルスはアルスに王国の隠し部屋から手に入れた半玉を見せる。


「アルス。これ、何か見覚えないか?」


アルスは黒い半玉をじっと見る。パルスにアルスは、村の教会の儀式棚に、白い半玉があると話す。


「でも、それだけでも足りないみたいだな。この遺跡の門を開けるには、俺はよく見たんだが、いくつかの物が必要らしい」


パルスは、俺がそれを揃えている間に、教会の儀式棚から白い半玉を持ってきてくれ、とアルスに頼む。


アルスは頷き、パルスとともに遺跡から出て、パルスは王国に、アルスは村の教会へ走る。


村の教会に行くと、神父やシスターが教会奥の儀式棚で何やら話しているのが聞こえる。


「もう白い半玉には頼るべきではないかもな」


「そうですね。王国から寄付された鉄の女神像もきたことですし」


アルスは扉を開けて、神父とシスターに近づく。


「おお、アルスか。...何? 話しは聞いたから、白い半玉を貸してほしいだと!」


神父は腕を組んで、しばらく考えた後、


「まあ、そろそろ白い半玉も役目を終えたところだし、アルスの目を見たら、真剣さが伝わってくる。使い終わってもお前が持っていなさい」


アルスは白い半玉を神父からもらった。


アルスはすぐに遺跡に向かうと、そこには村長の娘のメリアがパルスと一緒にいた。


「やっぱり。今日こそは、もうあなたたちの好き勝手にさせないわよ!わたしもついて行くから」


パルスは顔に手を当て、仕方ないと言って、門の前に向かう。


半玉を二つ組み合わせて、いくつかのアイテムを門の壁に入れると、門が動き出して扉が現れる。


三人は扉を開けると、中で三つの階段が目の前にあった。


下の階に続く階段の前には、下の階が見えるガラスのような透明な板が敷かれていた。


中央の階段だけ光輝いており、アルスたちは中央の階段を下って、光っている壇上の前に出た。


「アルス、パルス。何かあったら、二人でわたしを守りなさいね!」


三人は光輝く壇上の中に入ると、そこは森が覆い繁っている見たことのない場所だった。


「何かよく分からないけど、少しは面白かったわ。じゃあ、わたしは帰るね」


メリアは何事もなかったかのように、スタスタと森の中を走っていく。


だが、パルスはこんな場所は、アルビオスの島にはないと言い、メリアを追いかけようとアルスに話す。


そして、メリアが道に迷って怒っている場所で二人は合流し、その最中に由依が近くの場所で霧から現れたのだった。


「ん?誰だ?」


パルスは見知らぬ格好をした由依に目を向ける。由依も、何だか夢で見たような格好の三人を見て、不思議そうに見ている。


その時、狂喜じみた声が響き、しゃべる骸骨たちがこちらに向かってきた。


「また侵入者が現れたぞ。まったく次から次へと、(あるじ)様も頭を悩ましておるというのに」


アルスとパルスはメリアと由依の前に立ち、骸骨たちとの戦いが始まった。


アルスとパルスの骸骨たちとの奮戦により、どうにか骸骨たちを倒したが、アルス、パルス、メリアは、由依を囲むように前に並んだ。


「で、君は誰なんだ?それに、あいつら、また侵入者って…」


パルスは腕を組んで色々と疑問を浮かべた。


「とりあえず、この森から出ましょう。さっきの骸骨といい、変なのに襲われるのは気味悪いわ」


メリアはそう言うと、由依の手を引っ張り、アルスとパルスを先頭にして、森の出入口に向かう。


森を出ると、近くに海があり、海はある部分から闇に覆われて島は孤立していた。


明るいはずの空も暗い状態になっており、魔物も凶暴化しているようで、目が赤くギラギラしていた。


とりあえず、四人は近くに村や町がないか、魔物に注意しながら辺りを探した。


「ん?あれ、村じゃないか?」


パルスは荒れた村のような場所を指差した。


村の中に入ると、人は疲れた顔をして、家や教会、武器屋などが破壊された形跡があった。


アルス、パルス、メリア、由依の4人はそれぞれ散って、村の中に入り、村人たちに話を聞いて回った。


内容としては、島が紫の結界に覆われて孤立して以来、どこからか200以上の魔物が村に襲来。


村全体を壊し始めるが、村人を殺すのではなく連れ去り、村の機能を崩す状態に陥らせて去っていったとのこと。


その後も、幾度か数を減らして襲撃をされており、とうとう村全体が復興する兆しもなくなり、村人は疲れが溜まってきた。


このことを聞いた4人は、怒りを覚えて、次の襲撃を凌いだ後、逃げた魔物を追って敵のアジトを叩こうと考えた。


そして、夜が明けた。新たな魔物が数十体が村を襲撃してきた。


4人は村人たちに勇気を取り戻してくれるのを願って、作戦を開始した。


メリアと由依は魔物の陽動を、隙を狙ってアルスとパルスが少しずつ数を減らす。 


そんな時、一つの光線がはるか遠くの場所に煌めく。


そこは魔物の巣窟であり、巨体なアジトとなっていた。そのアジトがアジトごと消滅させられたのだ。


しかし、1体だけがアジトの中心に残っていた。ボスの魔物は自らを守るために大幅な体力を使い、封じられていた村人たちが1人ずつ逃げ出しはじめた。


アルスたち4人は、戦いの疲れを取りながら、空に放たれた光線の先がどこなのか話していた。数時間が経った頃、数人の村人が外から村に続々と帰ってきた。


アジトから逃げ出してきた村人たちから話しを聞いた4人は、すぐに行動に出る。


メリアと由依は女でも扱えるムチを装備して、アルスとパルスは剣を磨いて、1人ずつ食糧と薬草を持って魔物のアジトに向かう。


魔物のボスはようやく少しだけ力が戻り、動けるようになった時、アルスたち4人がアジトに着いた。


だが、かなり弱っていることもあり、魔物のボスの骸骨戦士は動きも遅く、女のメリアと由依でも軽々と攻撃をかわすことができた。


アルスとパルスはメリアと由依の陽動プレイに合わせて、骸骨戦士を攻撃していった。


「これで、終わりだ!」


アルスとパルスが剣を同時に振る。骸骨戦士は最後の体力を奪われ、消滅する。


すると、消滅寸前に放たれた光が島の結界を壊し、島が魔物の手から取り戻された。


アルスたちが勝利の余韻を味わっている時、4人の体が光輝き、まばゆい光に包まれる。


そう思った瞬間、見たことのある場所に戻ってきた。由依を除いて。


すると、神殿の外から凄い地響きが鳴った。4人は立っていられないほどに続いた地響きからようやく立ち上がり、神殿からアルビオスの村に向かう。


この地響きを不思議に思った由依は、何か聞いたことあるような感覚を覚える。


由依のはるか上空の、星の外では一つの戦艦が謎のゲートを開けたまま、少しだけ留まり、新たな島がよみがえった瞬間を見届けて消えていった。その戦艦の指揮艦長席の横に、由依と同じ世界の人間である(ゆう)が立っていた。指揮艦長席にはやはり、ライト・シン・ブレイズの姿もあった。

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