1、結果は…?
『次は〜 終点〜
天橋高校ぅ〜 天橋高校ぅ〜
お忘れ物には、十分ご注意くださぁ〜い』
バスの運転手がアナウンスする。
…って、待て待て待て、運転手メッチャイケメンボイスなんだが⁈ 俺がツッコミを入れようとすると、バスのドアが開いて、乗客たちが次々とバスから降りる。
俺たちは1番最後にバスから降りる。空は青く綺麗だった。プシュゥと音を立ててバスのドアが閉まると、バスはすぐに次のバス停へ向かう。
「夏晋、早く行こう‼︎」
「あっ、置いてくなって…‼︎」
アオイが校内へ走って行ったので、急いで俺は彼女について行った。俺たちは赤い鳥居の門を潜った。
ここは、国立【天橋陰陽高校】。俺たち受験生の中では、略して天橋高校と呼んでいる。
トップ校で、普通科・保健体育科・芸術科に分かれており、多くの中学生がここを第1希望にしている。そのため、1番の人気校でもある。
人気校になっている理由は、授業料が安いからだが、そのほかにも理由がある。それは【陰陽術】の授業である。みんなこの授業を教わりたいため、わざわざ遠くから受験しに来る。
この陰陽術の授業が、今朝に説明したある事業に関わってくる。その事業とは、【国家陰陽師】である。この事業をする者は【魔懾】と呼ばれる怪物たちの退治や、他国の戦争への加勢などをする分、給料や待遇が物凄く良い。それにこの世界の者の多くは、陰陽師を尊敬・憧れを持っている。
自分もみんなが憧れるような陰陽師になりたい…という、意外と単純な理由だ。
門の奥へと進んでいくと、大体横10m・縦5mの巨大な木の板があった。そこにはデカデカと『合格発表っ‼︎』と書かれて、文字の下にギリギリのサイズの紙が貼ってある。その板と紙はグラデーションが施されていて、代々この高校の芸術科の先輩方が描いたものだと聞いたことがある。
受験票を手に、合格発表の紙を真剣に見ている中学生たちがいた。彼らを見た途端、俺は緊張感を持った。受験当日は全然緊張していなかったのに…。
右を見ると、アオイの耳がピョコピョコと動いて、瞳をキラキラと輝かせていた。俺だけ緊張しながら、ボードの近くまで行き、自分の番号を探し出した。
「………ッ、あった。
よ…、よっしゃぁぁぁぁッッ‼︎」
周りを気にせず大きな声を出し、ガッツポーズをして喜んだ。周りが俺を見て来た。うわ、目線が痛い…。
とりあえず俺は鋭い目線から逃げるように、人混みの中からなんとか抜け出した。邪魔にならないように端っこに寄り、俺は自分の携帯で、両親に合格したことを報告する。そのあとすぐにアオイが人混みの中から出て来た。
「どうだった、アオイ?」
「えっへん‼︎
勿論受かったよ、ほらっ!」
アオイは自分の携帯で撮った写真を俺に見せて来た。確かに合格している。
これでやっと高校生活が始まる‼︎