1、賭けをしよう
西暦25**年、地球が悲惨な状況の中、神々のいる世界に、3人の人間と3人の鬼が出向いたという。
その世界の名は“無界”、唯一異世界とのバランスの影響を受けない世界だ。その世界の八割が海でできており、陸は全て独立した島である。その世界には多くの神々が集まっていた。
その中でも、各世界を創造した神々は強大な力を持っていたという。そして、その神々の前に3人の人間と3人のの鬼が現れた。
神々は突然現れた彼らに驚きもせず、ただじっとみていた。4つの翼を持つ女神が口を開いた。
「あらぁ、人界の子供達、いらっしゃい。
私は、神の血を引くものが住む世界を創造した母神・“白陽黒月神”よぉ。よろしくねぇ。
あ、気軽に“クート様”って呼んでねぇ〜。白陽黒月神じゃぁ、長いものね〜」
クート様は6人を歓迎しているようで、子供達と呼ばれた6人は安堵した。彼らは正直言って、瞬殺されると思っていたそうだ。
クート様の呑気さに、4つの獣耳を持つ男神が怒った。
「おい、クート。
アンタな、少しは警戒しろよな‼︎アンタがそんなんだから、俺の部下が傷つくんだよ‼︎
少しは自覚をしろッ!」
「もぉ、晶狼ったら。
相変わらず部下思いよねぇ〜…。
あ、そうだわ。名前を聞いていなかったわねぇ〜。教えてくれるかしらぁ?」
やっと本題に入った。6人は『はいッ‼︎』と返事をした。
まず人間の代表として、銀色の長い髪の女性が自己紹介をする。
「申し遅れました。初めまして、世界を創造した神々。私たちは陰陽師であり…」
3人は少し前に出た。彼女の右隣りにいる金色の長い髪の女性が膝をついた。
「彼女は、金蘭家の13代目当主・風里、そして…」
そして、左隣りにいる、青色の短い天然パーマの男性も膝をついた。
「彼は、山茶花家の13代目当主・火座。そして最後に…」
最後に銀髮の女性も膝をついた。
「私は、蘇桜院家の13代目当主・淋奈。…以後お見知り置きを」
続いて鬼の代表として、紫の短い髪の女性が自己紹介を始める。彼女の右には緑の長い髪の青年と、左には、赤の短い髪の青年がいた。
「初めまして、創造神の方々…。
私は、金鳥家の3代目当主・花陰。
後ろにいる彼らも私と同じく鬼神です。
右隣りは、鬼霊家の3代目当主・鉄鎖。
左隣りは、精鬼家の3代目当主・灘。
…以上計6名、ただいま参上いたしました」
彼らの自己紹介が終わる頃に、灰色の髪の少年(?)と水色の短い髪の少女(?)がやってきた。
少女が6人を一人一人見た。
「そうか…まぁ、また会えるのは稀だしな…。
…そうだ、君たち、私と【賭け】をしないか?」
彼女が何を言っているか、6人には分からなかった。少年が補足を加える。
「私たちは君たちの世界の創造神。私は“右京黒金”、こいつは“左京白銀”。私たちが考えたのは、地球を出て行ってもらうこと。これが【賭け】」
「私たちは君たち人界の人々に2000年の猶予を与えようと思うんだ。もし2000年以内にこの星を出て行けなかったら、私たちは容赦せずに、君たちの全てを奪うよ」
彼女は6人をジロリと見た。その目はまるで虫を見るかのような、冷たい目。だが、すぐ楽しそうに微笑んでいた。
「まぁ、出ていくか出ていかないかは、君たち人間の自由だよ」
「そうだ、白銀!いいこと思いついた。
500年早く出ていったら、人界のものたちとの交流は途切れさせないでおこうよ?」
「君の気まぐれにしては、いいことを言うじゃないか、黒金‼︎
それじゃぁ、地球に似た、この先君たちが移住する星に門を用意しよう。そこからこの星に移動できるようにしておこう!」
つまり1500年で出ていくということだ。今の技術力であれば、何百光年もの距離を渡ることは可能だ。だが、地球と似てて、門がある星を探すのには苦労しそうだ。
「ただし、条件があるよ?」
「「「条件?」」」
「そう、君たちの子孫の【鬼と人間のハーフ】じゃなきゃ、門が開かないようにするからね。
決まりだ。そう言うことで、よろしくね。
…まぁ、せいぜい人界のものらしく足掻くんだね」
6人は強制的に人界へ帰され、そして、西暦45**年…つまり、天暦5**年の冬。
ある少年の生活が始まる。