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とあるタイムマシンの行方

タイムマシンの悲劇

作者: 曖一

 タイムマシンは殺戮兵器だった。これまで、幾度となく時空移動に失敗して、たくさんの人間を殺してきた。


 残酷なところは、失敗した場合、乗った人間の複製コピーが、時空移動するということだった。本当は、タイムスリップを失敗してたくさんの人間が死んできたのに、それを自覚出来ずに何回も同じことを繰り返す。


 これを悲劇と呼ばずに何というのだろう。


 タイムマシンが作られたことは悲劇だ。今回も、ある男が宝くじを当てる為に半年前の過去に戻った。


 肉体の時空移動の成功確率は2%。その事実を知らない男は、失敗した。そして男の複製コピーが過去に向かった。


「当選番号は…」


 球体の機械の中で、男は新聞紙を見つめていた。


 それから男は外に出てみた。そこは、研究室だった。


「何だ。人がいないじゃないか」


 男は、安堵し、外に向かう。もし、人がいれば、すぐさま、タイムマシンに乗り、時空移動をして、同じ悲劇を繰り返していたかもしれなかった。


 男は、宝くじ売り場に向かった。


 それから、当選し、400000000円を手に入れた。


 目的は果たしたので、元の世界に戻る為に、再び、タイムマシンに乗り込んだ。


 元の未来に向かう。


 ズゥ…バン‼ ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド‼


 元の世界に戻ったら、研究室の悲惨な現場を目の当たりにした。自分が乗ってきたタイムマシンが砕けて、飛散している。周囲には血痕が、飛び散っていた。


「お、おい。みんな。どうしてこうなった」


 失敗した現場には、生存者はいなかった。焼け焦げた肉塊が、数十体、転がっている。


 すぐに、隣の部屋から同業者がやってきて言った。


「説明しろ。この状況はどういうことだ⁉︎」


 誰もわからなかった。なぜ、自分が乗ってきたタイムマシンが時空移動に失敗しているのに、男は、こうして生きているのか。男は、自分がわからなくなった。


 男は、現場から目をそらしたかった。


 だから、戻ってくる時に使ったタイムマシンの機体に乗り込み、同じあやまちを繰り返すのだった。


 タイムスリップ成功の確率、2%。


 ズゥ…バン‼ ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド‼


 失敗した。再度、悲惨な現場がつくられた。そして、男の焼け焦げた遺体を現場に残し、焼け焦げる前の人間とタイムマシンの複製コピーを過去に転送した。


 皮肉にも、その機内には400000000円札も一緒にコピーされている。


 姿形が同じ、複製人間。果たして、男は、同一人物と言えるのだろうか。

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