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やっと迷宮で出会えた子は異常な子。

銀竜を倒してから、さらに1週間が過ぎた。

その間に、俺はなんとこの迷宮から脱出する方法を見つけだしていた。


きっかけは門属性の魔法だ。

ただの転移魔法ではこの迷宮から出られないのは分っていた。それはもう雷属性、土属性、無属性の転移魔法で試してみた。

だが「銀竜の魔脳スキル」により覚えた幻想級門属性魔法の中に【異界の門】という、どんな場所でもランダムで空間を繋げ移動できる魔法があった。

これならもしかして異世界―――元の世界にも帰れるかと思ったが、この魔法は注ぐ魔力量で極端に行ける場所が限られ、元の世界に帰れるとしても一体どれほどの魔力量が必要なのか見当もつかなかった。

一度自分の最大魔力量を注いで使ってみたら、灰色の大きな門が現れ、その門には逆さまの大樹の様な絵が彫られていた。


これで帰れる! ―――と思ったが、門が開いた場所はまだ迷宮の中。

それも26階層とかなり危ない場所に繋がっただけ。すぐに門を閉じて消す。

これを何度も試したが……迷宮の中に何度も繋がるだけ。消費する魔力が足りないのか、もしくはこれではダメなのか……結局この方法での脱出は諦めた。


この迷宮が特別過ぎるからとい事もあると思うが、この迷宮から出るだけでも俺の最大魔力量を使う必要があるのかと思うと、元の世界に帰るのは夢のまた夢だろう。


もっと何か別の方法を探しに、迷宮の奥へ進む必要がありそうだ。

そう思った俺は、4階層までの探索に集中した。〈魔界の口〉の魔物を倒しまくりスキルを手に入れ、素材アイテムを集め、4階層までの全てを攻略しようとした。

なかなか時間は掛かったが、かなり満足のいく成果は手に入れられた。


自分のステータスを確認すると、



名前:アキヒト

性別:男  種族:人族

年齢:17歳

レベル:12

MP(魔力量):32万5300

「魔の蔵スキル」により1000倍+5万 →MP(魔力量):3億2535万

ステータス数値

魔力:5350

筋力:5170

敏捷:5250

耐久:5160

感覚:5100

・その他の全個別能力数値:3450

・物により多少数値が高い能力もある。

属性: 雷・土・門・幻・火・氷・風・命・闇・光

スキル:

「聞き耳」「気配遮断」「怪力」「剛脚」「炎耐性」「鉄肌」「投擲」「風虎の爪」「憤怒の業火」「脱兎の如く」「発火体」「高速歩法」「無音動作」「電光石火」「渾身の一撃」「鬼神蜘の糸」「体内発電」「高速詠唱」「無詠唱」「超高速再生」「複数魔法同時展開」「浮遊」「呪い耐性」「闇耐性」「氷耐性」「衝撃波」「透明化」「魔力吸収」「道具作成」「陣地作成」「武器作成」「防具作成」「調理」「調合」「罠作成」「解体」「水中歩法」「魔神眼」「千里眼」「観察」「鑑定」「解析」「魔眼砲」「幻眼」「心眼」「催眠眼」「鷹の目」「遠見」「暗視」「光視」「透視」「霊視」「解読」「魅了の瞳」「真偽」「未来予測」「居合切り」「燕返し」「睡眠休憩」「一食栄養」「魔栄養」「第2魔力器官」「魔力貯蔵」「縮地」「雷耐性」「毒耐性」「騎乗」「ステータス隠蔽」「隠蔽工作」「銀竜の鱗」「銀竜の魔袋」「魔の蔵」「銀竜の爪」「銀竜の血縁者」「銀竜の魔脳」など。

・持っているスキルは最低でもスキルレベル5。

・スキルによりレベル5以上のスキルもある。

・全てのスキルをONにしている訳ではない。




身に付ける装備は〈竜魔刀〉以外に、


「銀竜の指輪」(魔法の発動体)ランク:A

・銀竜の素材から作った美しい銀色の指輪。装飾品としての価値も高い。

・魔力放出、魔力収束、魔力の通しやすさは大魔道師の杖すら大きく上回り、幻想級の魔法も発動させられる発動体である。


「死霊のコート」:ランクB

・フード付き黒いコートで、銀の装飾がされている高級コート。貴族が着てもおかしくないほど立派なコートだが、耐火性や防寒性に優れ、着心地や肌触りにも配慮している。

・大砲の衝撃すら無効かする打撃吸収力と、業物の剣でも斬れない程に防刃性を兼ね揃え、さらに中級の魔法にも耐える程に高い対魔性がある。そして魔力(MP)を通す事で硬質化し、コートの防御力をさらに上げられる。

・自然と体から放出される魔力の漏れを極端に抑えられ隠密性に優れており、高位の魔法使いの魔力感知でも察知は難しい。そして魔力(MP)を消費する事で姿を隠す透明化能力と、気配を消す隠密能力がある。

・フードを被ればレベル5の「観察スキル」持ちの相手でも情報を与えず、顔や姿が認識できない認識阻害の能力もある。

・コートが破れたり汚れたりでボロボロになっても、魔力(MP)を注げば修復される。



その他、制服は【アイテムボックス】にしまい、新しいズボンやシャツを作り着替え、靴まで新調した。手袋も必要だろうと作ってしまった。

腰に刀をぶら下げ……うん、いい感じだ。


〈覇王の証〉の指輪や、〈天の才を受ける者〉のピアス、〈再誕の首飾り〉、〈無敵の1分薬〉の薬を【器官収納】という無属性の上級収納魔法の中にしまう。

これは【アイテムボックス】とは違い、入れられる物は限られるし多くは入らないが、【器官収納】に入れている間はアイテムを装備しているのと同じ扱いになる。

〈無敵の1分薬〉は入れても意味ないが、大事なものだから落とさない様にしたいしな。


〈竜魔刀〉は腰に差したまま、強敵以外の相手には使わないようにしようと決めた。

相手を殺すほど強くなる刀だが、魔剣である〈竜魔刀〉と俺はそこそこシンクロ率が上がっているらしく、装備していれば俺が敵をどんな殺し方をしても〈竜魔刀〉で殺したように強く成るようだった。


その他の物は全て【アイテムボックス】の中に入れた。

骸骨達の荷物から、多くの物を収納できるバックパックタイプの〈魔法の鞄〉も手に入れたが、その中にもある程度の物を詰めて【アイテムボックス】の中にしまう。

【アイテムボックス】があれば〈魔法の鞄〉も必要ないし。


これで準備は万端だ。

俺は希望を求め、さらなる地獄に足を踏み入れるべく、4階層から5階層を隔てている巨大な門を開け、下へ下へと階段を歩いて行った。





変わり映えのしない洞窟の景色を見ながら、俺は歩みを進める。

ここは5階層。今まで以上の強敵が居る筈だ。もう何匹かの魔物と戦ったが、どいつもこいつも決して弱くない。少しでも油断すれば〈竜魔刀〉を使わなければならない事態になるだろう。

それに、この階層には魔神が居る。


千里眼でこの階層を見た時、黒鬼と白鬼の2体の魔神を見つけたのだ。

見るからなに強そうだったが、そいつらを倒さなければ奥へは進めない。


「2体同時に相手する必要はないよな。でもどうやって2体を分断するか……2体同時で戦う事になったら、〈竜魔刀〉を使うか。いや……でもそれじゃ腑抜け過ぎるし―――」


一人の時間が長くなった責か、独り言が出る様になってしまい、考えている事が自然と声に変わってしまう。

その気になれば、長期戦でも俺は全然構わない。一日でも一週間でも一ヶ月でも、その気になれば戦える―――と言うのも、莫大な魔力量(MP)と魔法により、食事も睡眠も必要となくなったのだ。


俺には食事による栄養摂取の代わりには【魔栄養】という魔法が有る。

【魔栄養】は魔力を栄養源に変化させ、栄養や空腹を満たす魔法だ。

だが充分な栄養を得るには膨大な魔力量が必要なため、燃費が悪いだけの魔法として覚えようとする者はそういない。

そして眠気や疲労感などには、疲れを吹き飛ばす【魔休養】という魔法がある。

【魔休養】も【魔栄養】と同じで、充分な疲労回復には膨大な魔力量が必要なため、燃費が悪い魔法として覚えようとする者は少ない。

しかし俺は魔力が有り余っているので、不眠不休+断食をしても生命活動に支障はない。


これならどれだけ戦い続けても問題ないぞ。

っと、歩き続けていたら通路の出口が見えて来た。魔力数値が高くなったお蔭で、魔力感知の力が格段に上がった俺は、向こうの空間から凄まじい魔力を感じとる。

肌に突き刺さる様な、息が詰まる様な……濃く、重く、威圧感バリバリのヤバイ魔力。恐ろしくはあるが、脚が竦むような事はない。


「魔神だよな、これ……まぁ、どんな敵でも何とか――――――んっ?」


辿り着いた広い空間には、魔神である黒鬼と白鬼―――そして2体の魔神の間に立つ、雪のような優しい白色の長い髪を靡かせた、16歳くらいの美少女が居た。


「人⁉ 人間⁉ てか女の子⁉」


凄く綺麗な子だ。それはもう人とは思えない程に綺麗な子だ。

雪の様に白く美しい髪は腰まで伸び、瞳はコスモスの花弁ような鮮やかな紫色。肌は白くてきめ細かく、全てのパーツが完成された超絶美少女だった。

それに彼女には、何とも言えない……吸い込まれるような妖艶な魅力がる。物静かと言うか、落ち着いてると言うか……無表情で感情に乏しそうだが、それもまた魅力だろう。

ちょっと小柄ですらりとした細い体。でも胸はCカップくらいはありそうだ。

こんな洞窟には場違いな黒いドレスを着ており……俺の見る限りそのドレスは普通の服じゃなかった。どんな繊維で出来ているか分からないが、不思議な力を感じる。


見ているだけで時間を忘れそうな彼女の美しい容姿について気になる部分が一点ある。


「角がある……」


彼女の頭には二本の黒い角が生えている。

ちょっと本当に人間なのか怪しくなってきた。

それに彼女が人間かどうか怪しいのは決して角の事だけではなく―――以上に強いのだ。


「ヤバすぎだろ、あれは……人間だったとしても、人間やめてんな」


2体の魔神の間に立ちながらも冷や汗一つ流さない優雅な立ち振る舞いに、見ただけで嫌でも伝わる異様な威圧感。けれど俺が感じた嫌な魔力は彼女のものではない。、ここの2体の魔神の魔力だ。

彼女からは何の魔力も感じない……魔法か何かで魔力を隠しているのかもしれないな。

魔神達も絶対的な強者を前にし、体が強張っているのが良く分かる。魔神も恐怖する感情があるのかと、ちょっと驚いた。

まぁ、俺もさっきから冷や汗が止まらないんだけど。


俺もここ数日で随分強く成った。それでも格の違いが分かるだけで、〈竜魔刀〉を使ったとしても彼女に勝てるとは思えなかった。


あの2体の魔神も同じだろう。

勝てない―――それは分かっているのに、2体は同時に地面を蹴り、動いた。

こんな地獄のような場所には場違いなほどに可憐な少女へと駆け出し、まず黒鬼が鋭い爪で彼女を引き裂こうとするが、一瞬のうちに右腕が吹き飛び無くなる。

彼女が何をしたのか俺も分からなかったが、恐らく素手だけで吹き飛ばしたのだろう。


黒鬼は右腕を失っても戦意は喪失せず、角から紫の雷を放ち彼女を焼き殺そうとする。

あの紫の雷……けっこうヤバイやつだ。何となくだけど分かる。

しかしそれを彼女は左手を振るっただけで薙ぎ払い、一瞬のうちに黒鬼の左腕と両足を弾き飛ばした。


仲間がやられた白鬼は、黒鬼がやられた隙をついて後ろに回り込む。

絶対的な強者の隙が出来るまで待ち、黒鬼の犠牲により生まれた隙を衝いた。恐らく最初で最後のチャンス。

ここで繰り出すのは白鬼自身が持つ最強の技だろう。

白鬼は大きく口を開けると、彼女の首を噛み千切ろうとした。ただ食う事が自身の持つ最高の技なのか疑問だが、あの白鬼はそれで彼女を倒せると思う程に、勝算の高い攻撃なのだろう。


しかし……白鬼の歯が彼女に届く前に、素手で腹を切り裂かれ体を真っ二つにされる。白鬼は上半身と下半身が分断されてボトリと地面に落ちた。

圧倒的だ。

勝てる訳がない。

俺は彼女を「観察スキル」で見てみると、



名前:フィリス

性別:女  種族:魔神族

年齢:265歳(肉体年齢は16歳)

レベル:76

ステータス数値

MP(魔力量):286億1806万8652

魔力:8万2500

筋力:4万2110

敏捷:4万1010

耐久:4万1000

感覚:4万1045

属性: 闇・土・火・氷・雷・水・風・幻・門

スキル:

★★★★★「魔神族スキル」:レベル4

・魔神である事を証明のスキル。

★★★「死神の鎌スキル」:固定レベル7

・ルビーの様に赤く輝く美しい鎌を出現させ、その鎌に生物の血が付くと、その血の生物は糸が切れた人形のように即死する。

・血の流れる生物ならば例え魔神や竜種、召喚生物にゴーレムなどの疑似生命体でも、鎌の効果により簡単に死ぬ。

・鎌は出現させるだけでなく、鎌の刃だけを体中のあらゆる所から生やす事も可能である。この鎌の刃に斬られた傷は上級の回復魔法やスキル能力でもなければ治らない。

・例え死から生き返る能力があったとしても、相手の命その物を刈るので生き返る事はできない。

★★★「死神の黒衣スキル」:固定レベル7

・魔力を消費する事で黒い衣服を作り出し、あらゆる物理攻撃や事象も魔法もスキル能力も、生命力も魔力も、黒い衣服に触れた瞬間どんな力も吸い取られ枯れ果て砂になる。

・衣服の作成時に消費する魔力量により、吸い取れる力の量や速度の上限が決まり、黒衣でも吸収できない攻撃などがある。異常に威力の高すぎる攻撃や★付きのレアなスキル能力、精霊級などの強力な魔法も、黒衣作成時の消費魔力しだいでは無力化できない。

★★★「禁忌辞典スキル」:固定レベル7

・真っ黒な魔道書を出現させ、その中のページには特別な制約や、多くの生贄を捧げなければ発動しない禁断の魔法である禁呪が載っている。その魔法を生贄や制約などの条件なしで、大量の魔力(MP)を消費するだけで使えるようになる。

・この本自体が発動対の代わりとなり、普通の魔法も幻想級までなら発動できる。

・禁忌辞典の中には多くの禁呪が載っており、神級魔法に匹敵する物まである。

★★★「死神の宴スキル」:固定レベル10

・死神を召喚するスキル。生物を殺せば殺すだけ、強い死神を召喚出来る。

・殺して死神の力の数に含まれるになる生物は、人間や魔物などのある程度の存在でなくてはならない。犬猫の動物や昆虫は対象外である。

・一度死神を召喚すると、今まで殺した数はリセットされてしまう。

・死神の力は殺した数だけではなく、強い存在を殺す事でも死神の力はさらに上昇する。

・死神を召喚するには、最低でも100程の生物の命を奪う必要がある。

「高速詠唱スキル」:レベル10

・魔法の詠唱速度が速くなり、通常より何倍も早く魔法を発動させられる。

・使い慣れた魔法なら詠唱を省略し、魔法名だけ唱えれば発動できる。

・レベル10なら上級までの魔法を詠唱なしで発動させられる。

「無詠唱スキル」:レベル10

・魔法は必ずトリガー(引き金)となる魔法名を唱えなければ発動できないが、使い慣れた詠唱を唱えずに呪文だけを唱えられば発動できる魔法なら、無詠唱スキルがあれば呪文を唱えなくても発動させられる。

・レベル10なら精霊級魔法までを無詠唱発動させられる。

「複数魔法同時展開スキル」:レベル10

・複数の魔法を同時に展開できる。二つの呪文の詠唱を同時に唱えようとすると、詠唱が合わさり特別な言葉となり、詠唱完成と同時に二つの呪文を同時に発動できる。

・レベル10であれば、本人の技量次第で幾百もの詠唱を同時にできる。

「魔眼スキル」:レベル10

・魔眼が魔法の発動体の役割になり、レベル10なら上級魔法でも発動させられる。

・魔眼は万物の魔力を見る事ができ、さらに目に関する特殊な能力がある。

「観察スキル」レベル10の効果を持つ。

「鑑定スキル」レベル10の効果を持つ。

「解析スキル」レベル10の効果を持つ。

「魔眼砲スキル」レベル7の効果を持つ。

「催眠眼スキル」レベル7の効果を持つ。

「遠見スキル」レベル7の効果を持つ。

「霊視スキル」レベル7の効果を持つ。

「魅了の瞳スキル」レベル7の効果を持つ。




やっぱり異常だよあの子。

身体的ステータス数値が4万? そりゃ魔神なんて素手で殺せるわ。

魔力数値に関しては8万だし、スキルも恐ろしいものばっかり。

てか魔神族って何? おいおい、人族じゃんないんかい。それに見た目よりかなり年上だし。これは本当に人間じゃないんじゃ……いや、諦めるには早い。

せっかくこんな地獄で人の形をした存在に出会えたんだ。魔神族とかでも一応は人間である事に賭けたい。


てかその「魔神族スキル」、かなりヤバイぞ。

詳しく見てみると、



★★★★★「魔神族スキル」:レベル4

魔神が持つスキルであり、このスキルを持つ者は魔神となる。

魔神になると肉体は劣化しなくなり歳を取らない。そして身体能力や魔力が異常に上がる。

さらに驚異的な再生能力を持ち、頭が無事なら例え首から下を失おうと再生する。頭も真っ二つにされるか潰されるような事にならなければ、例え銃弾を眉間に食らったとしても死なない。しかし再生には魔力を多く消費するので、魔力が足りなければ再生できずに死ぬ。

微量な魔力を消費すれば、生命活動に必要な要素を満たしてくれ、食事や睡眠などの必要がない。さらに水中に居ても酸素の必要もなく、猛烈な冷気や熱気などの環境耐性も付く。

魔神のスキルレベルにより、ステータスと魔力量(MP)が格段に上がる。

レベル1なら全ステータス+1万と魔力量(MP)+10万、レベル2なら元のステータスを2倍にしたうえ+1万と魔力量(MP)+20万、レベル3なら3倍にしたうえ+1万と魔力量(MP)+30万と徐々に上がっていく。

魔神になると、その者の力を向上させてからステータスが倍になるので、人間から魔神になったとしてもその力は異常な物となる。

そして魔神になると、その人本来の才能からスキル能力が発現したり、魔神としての特殊な能力が発現したりする。



これだけでも凄いのに、他にも魔神ならではの特別な能力があるのだ。



魔神になると〈眷属〉という従順な下僕を作る能力を持ち、スキルレベル1~2で魔物を眷属にでき、レベル3~4で人間も〈眷属〉に出来るようになる。レベル5以上ではその者の力量次第で竜種や魔神すら従えられる。

スキルレベルが高いほど眷属とした生物に高い力を与えられ、魔物や犬猫の動物でも高い知能を持たせられる。

しかし元々高い知能の有る生物が眷属となっても、さらに頭がよくなる訳ではない。


大抵の魔物は従えられるが、自分より格上の魔物は屈服させなければ眷属には出来ないし、他人の眷属を自分の眷属にする事は出来ない。

眷属となった生物は心から従順になり、主人に仕える事こそ史上の喜びに感じ、命令には絶対服従で何でもいう事を聞く。強い意志のある相手でも、打ち負かす事で眷属にする事ができ、眷属にすれば従順に尽くす事に喜びを感じるようになる。

死ねと言われれば喜んで死ぬし、命令だけでなく眷属は主人の所有物であるため、念じるだけで眷属の体を勝手に動かす事や殺す事も可能である。

そして―――例え主が死のうと、〈眷属〉とされた者の力が失われたり、従順な想いが消える事はない。その生涯を通して主の為に働こうとする。


眷属の能力は魔物にこそ有効的なものであり、魔物を眷属にするとスキルレベルにより魔人へと進化させられる。

魔人とは魔物が強い魔物を食う事で魔核が成長し、長い年月を経て肉体が人型に変化し、高い知能が付き力や能力が極端に上がる。魔神ほど強くなる訳ではないが、魔人でも充分人類の脅威として見られている。

だが魔人などそうそう存在するものではない。


眷属の魔物を魔人に進化させられるのはスキルレベル4からであり、さらにスキルレベル6から〈眷属〉の中でも〈魔王の従属〉という特別な眷属を作る事ができる。

〈魔王の従属〉は自分と同じスキル能力を持たせる事ができ、自分の力を減らさずにステータス数値や魔力量(MP)の何割かを与える事ができる。「魔神族スキル」のレベル次第で与えられるスキルやステータス数値は大きく変わる。

〈魔王の従属〉を作れる数は精々1人か2人であるが、それもスキルレベルやその者の力量次第で数は変わる。

スキル7からは〈魔物創造〉という特殊能力まで増え、魔物を作り出すことが出来るようになる。




うん、魔神ってヤバイな。

てかスキルの説明文からして、魔神って成れる存在なのかな? なら彼女も何らかの方法で魔神に―――て、その彼女がこちらを見ている。


「……っ」


咄嗟に身構えてしまったが、これではダメだ。

俺は彼女と友好的な関係を望んでいる。戦ったら死ぬからとか、彼女が凄い美少女だからとか、勿論そんな理由では…………そんな理由だけではない。

もしかしたら彼女はこの迷宮について詳しい事を知っているかもしれないし、もしかしたら出る方法も知っているかもしれない。

もし知らなくて、彼女もここから出る方法がないとしても、お互い助け合う関係になりたい。


〈竜魔刀〉に手が伸びそうになる気持ちを抑え、俺は彼女に無理な笑顔を作って遠くから声を掛けて見る。


「き、君もここに迷って入って来たのか?」


あー、声がちょっと震えてしまう。

彼女―――フィリスは俺に冷たい眼差しを向けると、小さく口を開く。


「貴方……人間?」


意志の疎通が出来た!

俺の質問を完全に無視されたけど、話せる相手で良かった!

それに綺麗な声だ。大人しそうな声だけど、どこか凛としている。


「そ、そうだよ! 俺は人間だ! 君も人間……だよね? 角とか生えてるけど」


角が生えているのは「魔神族スキル」により魔神となった為だろう。

きっと見た目からして、元は人族とかだったに違いない。だから例え魔神族でも彼女の心は人間だ―――きっと。


「私―――」


フィリスはまた小さく口を開くと、遠くに居るフィリスの姿が消えた。

そしていつの間にか俺の目の前に現れ、


「―――人間は大っ嫌いなの」


掌から美しい赤い刃を生やして、俺の胸に刺す。

「死神の鎌スキル」による刃が、俺の血に触れた瞬間、糸が切れた人形のように倒れた。

俺には「超高速再生スキル」がある。それがあれば頭を潰されるか、体の大半を失わない限り死にはしない。しかし、この刃に刺されれば本当に簡単に死んだ。


すぐに視界が暗くなる。

ああ、死ぬのだ。

もしかして「死神の鎌スキル」で殺されたら、〈再誕の首飾り〉でも生き返る事はできないかもしれない。

こんなあっさりと死のか、俺は……。


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