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西晋建国記 ~司馬一族の野望~  作者: よこじー
第1章 司馬仲達、乱世を駆ける
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第16話「軍神の死」

 関羽軍の敗北はもはや決定的であった。

 関索隊は司馬懿軍に飲み込まれほぼ壊滅。本隊と合流できたのは関索とわずかな兵のみであった。

 そして、その本隊もいま壊滅しようととしている。

 裏切った糜芳・傅士仁の軍勢に呂蒙と陸遜率いる精強な孫権軍、そして関索隊を蹴散らし迫る司馬懿軍。

 3つの軍に追い詰められた関羽軍は一人、また一人と数を減らしていく。

 そしてついには関羽のもとにも雑兵が押し寄せるまでになった。

 関羽は自ら愛馬である赤兎馬(せきとば)の上から青龍偃月刀を振るい敵を薙ぎ倒していく。

 だが斬っても斬っても敵は増すばかりであった。


「ぬぅ……ここまでか」


 関羽は諦めの言葉を口にする。

 まわりを見渡せば敵兵の姿ばかり。さきほどまで勇ましく戦っていた味方の兵士は足元に骸となって転がっている。

 もはや関羽の周りにはわずかな兵しかおらず、将は息子・関索のみであった。


「関索……我が誇り高き息子よ。ここはわしが食い止める。お主は逃げよ」


「な……そんなことできません!俺も父上とともに……!」


「黙れ!お主まで死んだら、誰が殿を支えるのだ!」


 この言葉に関索は何も言い返すことができず、ただ黙って頷いた。

 当然それを見逃してくれるはずもなく、何人かの敵兵が後を追いかけようとする。

 だが、その行く手は関羽によって遮られた。


「ここから先は一歩も通さぬ!もし追いたくば、この関雲長を討ち取ってからにせよ!」


 関羽はそう叫ぶと再び青龍偃月刀を振るう。

 そして数多の雑兵の断末魔が戦場に響き渡った。

 だが、関羽とて軍神などと呼ばれていても所詮人間。

 やがて彼の体力は限界を迎え、捕縛。そして、斬首された。





 軍神・関羽の死。

 その報はすぐさま成都の劉備のもとにも届いた。 


「なにぃ!雲長が死んだ……だと!?」


 報せを聞いた劉備は驚き、動揺した。

 やがてそれが孫権の裏切りが原因であることを聞くと、彼の顔は怒りでみるみるうちに赤くなった。


「おのれ孫権め!許せぬ!すぐに戦の用意をせよ!弔い合戦だ!」


「お、お待ちください。今は簡単に動いては……!」


「ええい黙れ諸葛亮!俺は義理の弟を失ってじっとしていられるほど、お人良しではないのだ!」


 諸葛亮の制止を一切聞かず、強引に戦の準備を始める劉備。

 いまの劉備は怒りに飲み込まれ、完全に我を失っていた。

 そしてそれが後にさらなる悲劇を生むこととなる。





 一方、戦に勝利した司馬懿だったが彼のもとにも許昌から驚くべき報せが届いていた。


「な……!曹操様が倒れたとは本当なのか?」


「はい。薬師曰く、かなり危ない状態だと。司馬懿様、どうか急ぎお戻りください」


「わかったすぐに戻る!」


 曹操の危篤。

 その報にはさすがの司馬懿も動揺を隠せない。

 軍神に続き、覇王までもが今この世を去らんとしていた。

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