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この世について深く考えているようで何も考えていない作品、激動の龍蛇ワールド、通称“矛盾の美学”(今名付けた)をお楽しみください。

ある日の夕方のことだった。僕は部活動を終え、帰路についていた。僕の入っている部活動は、いわゆる“一般”の高校のそれとはかけ離れており、帰路もまた“一般”の帰路とは大きく違っていたが、今はそれについて語るときではない。ともかく、僕は家へと歩みを進めていた。

 その時、どこからともなく、微かな声が聞こえてきた。機械音声のような、とは言っても機械音声であるはずがなく、そんなことを思うのは失礼だった。だが、そんな風な声だった。

 そのうち、僕は、それが町内放送であることに気が付いた。ある一定の時刻になると帰宅を促すものである。僕はそれを常識として育ったのだが、全国的にはそうではないのかもしれない。要するに、田舎で主流のあの放送だ。

 しかし、これは可怪しかった。明らかにそうではなかった。現在の時刻は18時42分、件のチャイムが鳴るのは、この季節だと17時半のはずだ。どうにも可怪しかった。

 さらに、しばらくすると、それが通常の放送とは違う内容を話していることに気が付いた。それは、僕の今日一日の出来事だった。それが滔々と、ただの世間話をするかのように流されていく。自分の話しだというのに、誰か他人のニュースを見せられているかのような、それでいてその光景がまざまざと目前に現れるような、そんな矛盾に僕を連れ込んだ。

 僕は、これらの出来事を共にした、いわゆる“一般”の高校の友人、とはかけ離れた友人たちとの、いわゆる“一般”の高校生活ではない日々を想った。かくいう僕も、いわゆる“一般”の高校生とは全く異なっているのだ。

 そこまで考えて僕は、この世界というものは、いわゆる“一般”から遠くはぐれた所にあるものだと知った。この世界と、いわゆる“一般”の世界とは、かけ離れている。そうだとするのならば、“一般”とは何なのだろうか。その意味を知ることに意味はあるのだろうか。

 僕は少し感傷的な気分になりながら、家に着いた。放送はとっくに終わりを告げていた。

龍蛇⋯超短編を得意(?)とする、新人(素人)小説家。

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