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肉塊文明ストラテジー・醜悪な文明の指導者が、英雄を悪と光落ちではなく肉落ちさせて戦う模様  作者: 福郎


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世界と戦神

なんか昨日のPV数がいつもの1,5倍くらいだわーい←入れ忘れた話も合わせたら、2話投稿してたことが頭から消え失せてたアホ作者。

(自分の墓に国家予算を投じた皇帝もいる。戦争大好きで息子夫婦にババを引かせた……何世だっけ……十五? もいる。馬鹿やり過ぎたから作られた憲法でぶん殴られた王もいる。金がないから同じ宗派の都市に襲い掛かったグダグダ軍もある。きちんと教育を受けてる層が、絶対にしくじらないなんてのは幻想だ)


 マテオの帰還から数日。

 シュウイチは相変わらず湯治を行ないながらも、混迷の世界情勢を考える。


(ましてや建て前の王権神授じゃない、直接王権神授なんてものがありふれてるんだから、特権的意識は里の比じゃない。十万人死のうが百万人死のうが、自分が生きてるならそれでいいと思う連中は多いだろうな)


 神から王権を授かったと装うのではなく、実在する神に命じられた者が多数いるのだ。故に王族や貴族は選ばれし者であるという自己認識や特権意識が強く、庶民を同じ生物に思えているかも怪しい。


(祖が神に選ばれて凄いから、自分は何をしてもいいと思い始めたら終わりだな。煮詰まり過ぎて戻らないなら壊すしかない)


 シュウイチの思考が僅かに破壊神の面に偏った。

 へっぽこ神である彼は政治的才能が低く、いきなり国家の収支を見せられた日には頭が弾け飛ぶだろう。

 だがそれでも、一度硬直した組織や国家をまともにするには、外部からの暴力しかないことを理解している。

 民の訴えを押さえつける国家に言葉など意味はなく、泣いても喚いても、きちんとしますからと訴えられても、手を緩めず殴り続けるしかないのだ。


(ガキの頃は破壊神をなんとなく怖いもんだと思ってたけど、きちんと役割があるからよく出来てるよ)


 昔を思い出したシュウイチの内心に苦笑が混ざる。

 煮詰まったもの。腐り果てたもの。どうしようもないもの。それらを叩き潰し、更地にすることで新たな土壌を作り上げるのは破壊神の使命だ。

 最早、袋小路に突き進んでいる悠久の世界もそれに含まれかけている以上、闘争と平和の神として立つべき時はすぐそこだった。


(まあ、高慢を極めてるし、敵対してる神に罵られて当然だが、あの連中が人を道具にする生き方を変えられないように、俺も今更変えられないんだわ)


 苦笑が自嘲に変わる。

 彼だって感性が定命だろうと神格の肉体を持つ自らが、変に介入するのはよくないと思っている。だがそれでも、ずっとこうやって生きていたのだから今更変えられなかった。


「失礼いたします」

「どうぞー」


 女性の声にシュウイチが応えた。

 シュウイチは神だが、干からび切ったミイラから男の肉体を取り戻しつつある。そのため彼が湯治をしている浴場は基本的に男湯なので、わざわざこんなところに女が来るならそれなりの関係だと言える。


 長い髪を結っている二十代中頃の二人の女。


「猛っておられるのですね」

「まあ、戦神でもあるからねえ」


 顔も声も凛々しいブリュンヒルトという名の女がシュウイチのすぐ隣に座る。

 背が高くすらりとした四肢と体型は機能美を感じさせ、覇気を宿している様な黄金の髪と青い瞳が輝いている。しかしリーア聖国で戦乙女と称えられた立場でありながら、幼子すら火刑にしようとした祖国に絶望して落ちた。


「我が身は貴方様と共に……」

「無理はしないでね」


 細身で女性的な起伏に乏しいものの背が高い銀髪灰目の女、アンネリースがブリュンヒルトに手を引かれて湯に浸かると、全身の皮膚でシュウイチを感じるため抱き着いた。

 深窓の令嬢という表現がぴったりなアンネリースの視線は定まっておらず、目が見えてない。

 だから浴場でマシになったミイラ擬きに抱き着いても羞恥を感じていないが、楽器のような美しい声は確かな熱を宿していた。


 この二人、シュウイチにとっての宿敵。アーリー神話体系を深く信仰するリーア聖国の生まれだったが、異端狩りが激しくなると堕ちた。


 自分たち以外の全てが狂っているのか、それとも己が間違っていたのか。

 たった二人、国で孤立したブリュンヒルトとアンネリースを神が絡め取る前に肉の手が差し伸べられた。

 いや、今この地に集う者達の中でも二人は特に、直接的な助けを受けている。


「ご出陣なさると聞きました」

「うん。戦争で劣勢になると、神の救いを求める祈りが強くなるからね。スート騎士国の神が直接顕現するなら俺が対処する」


 ブリュンヒルトの言葉をシュウイチが肯定する。

 物質界に直接介入し難い神格だが、劣勢の定命に宿った強い信仰心を道標にして、現れることは十分に考えられた。

 そうなるとシュウイチも戦神として戦う必要があり、地下都市に籠る訳にはいかなかった。


「ですが御身は……」


 至高神アーリーの名を一部冠する立場でありながら、肉に堕ちたアンネリースが不安げに呟く。

 見る影もない程に弱体化しているシュウイチは、常に激痛と戦っている様な物で、まともに戦える時間が酷く少ないことを二人の女はよく知っている。


 しかしである。


「戦神とか関係なく、男はやらないといけないときがあるのさ」


 不変でありながら感性はどこまで行っても常人でしかない存在は、珍しく男らしい笑みを浮かべるのだった。

二人の過去話は次回!恐らく小さな話を挟んだ後に戦争パート突入!多分、おそらく、きっと(*'ω'*)

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