模擬戦 2
岩瀬のハルバードと榊宮先輩の両手剣がぶつかりあった。単純な力は…互角。そのまま二回、三回と刃を交える。四回目を交えたところで鍔迫り合いの様な状態になった。先に動いたのは…先輩だった。左手を剣から離し、そのままストレート。岩瀬は後ろに跳び、紙一重で先輩の拳を回避した。
「やるねぇ、しーちゃん。一年生でここまでやれるなんてびっくりだよ」
おいおい、いきなり三年生から絶賛されてるよ。しかも『しーちゃん』なんて呼ばれてら。
「けどね…」
いきなり先輩の雰囲気が変わった。…まさか…
「力押しだけじゃあこの学園じゃあ生き残れないよ…!!」
先輩の剣の刃が光った。そのまま容赦なく剣を振り下ろした。光の刃が岩瀬に襲いかかる。入学したての一年生相手に能力を使いやがった!?ヤバい、岩瀬に防ぐ術は無い!!つか、防げねぇ!!他の先輩も止めようとする気配はない。
「くそったれがぁ!!」
俺は叫びながら駆けだした。
「ライザーシステム起動!!」
自分のバトルライザーを起動させた。金色の光に包まれ、その光から飛び出す感じで二人の間に割って入る。目の前には光の刃。その刃に対して左手を銃の形をとってかざす。
「能力解放、いっけぇ!!」
その瞬間、俺の指先から稲妻が迸った。稲妻は真っ直ぐに光の刃にぶつかり、光の刃と共に四散した。
「いきなり能力ぶっ放すなんて酷いんじゃないんスか、榊宮先輩!!」
いきなり割って入って猛抗議だ。
「だって。どうする、昂輝?」
榊宮先輩は何事も無かったかのように暁香先輩に判断をあおいだ。クラスの責任者である暁香先輩は必ず正しい判断を下して…
「構わん、二対一で続けろ」
…あんたら鬼か!?こうなりゃあ…
「岩瀬、下がってろ」
全力で戦るしかない。俺は岩瀬を下がらせる。岩瀬は静かに頷くと、数歩後ろに下がった。
「りょ~かい。そんじゃ、手加減抜きでいっくよ~!!」
榊宮先輩も剣を構えた。
「本気でいくよ~…どうなっても知らないからね?」
にっこりと悪魔の笑みを浮かべながら恐ろしい事を言う。
「闘気剣、解放!!」
さっきの一発とは違う、凄まじい光を放つ先輩の剣。本気の様だ。
「上等…リミット解除…先輩こそ、どうなっても知りませんよ?」
俺は刀に手をかけた。いわゆる居合い斬りの構えだ。
「リミット解除!!」
俺の周りに凄まじい量の蒼い雷が渦を巻く。…俺と先輩の目があった。そのまま両者とも突撃した。雷を纏った刀と、光を纏った剣がぶつかり合った。その瞬間、凄まじい閃光と爆発が巻き起こった。外からは煙で中の様子が全く分からないだろう。…煙が晴れた時、その場に立っていたのは…榊原先輩ではない、そう、俺だ。
「成程な…」
倒れている榊宮先輩を見ながら暁香先輩が呟いた。
「神沢 歩…」
暁香先輩は立ち上がりながら俺の名前を呼ぶ。
「お前の次の相手は…俺だ」
そのまま地獄の二連戦が宣告された。しかも…相手は暁香先輩…いきなりバ〇バ〇ス並の人が出てきた。
短くてすいません。次は少し長めにする予定です。