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憂鬱

朝…学生、社会人、どんな人にしたって憂鬱な時間帯であろう。眠気眼ねむけまなこを擦り、何とか布団という名の人間ホイホイから抜け出し、顔を洗い、着替えて朝食をのんびりと食べながら、さて、今日はどうしようか?、なんて事を考える。俺だってそうだったさ。だが…現実は許してくれなかったんだ…俺が平和に生きる事をな。何故かって?『対Bクラス作戦会議』…登校し、教室に着いたらいきなりこれだよ!!我らがDクラスの教室にはでかでかとその文字が書き込まれていたのさ。…どうしてこうなったのか、おって説明していこう。


非現実の爬虫類、ドラゴンを倒した後、俺は気を失った三人が起きるまでその場で待っていた。数分したら全員無事に起きた。…バトルライザーは現実には影響しないんじゃなかったのかって?確かに怪我はしないが、あくまでも感覚はそのまんまなんだ。殴られりゃあ痛いし、その空間の中では怪我をしてるんだ、動けなくもなるし気絶もする。まぁ、簡単に言えば外傷は無いだけってわけだよ。そんな訳で、三人が目を覚ましたからそのまんま一緒に教室に向かったんだ。その後だった…ある出来事が起こったのは…


十分後、俺達は地図を見ながらなんとか教室の前まで到着した。…何で土間から教室がこんなに離れてるんだよ!?外見は外国風のお城であるこの校舎も、教室は至って普通だった。俺は内心ホッとしながらドアを開けたその時だ、クラッカーの快音が鳴り響いた。そして…

「「「新入生のみなさん、ようこそ、Dクラスへ!!」」」

三人の女の先輩が俺達を迎えてくれた。どうやらクラッカーはこの為だけにわざわざ用意してくれたようだ。…そんな事よりも、三人とも美少女としか言いようが無いほどレベルが高かった。一人は綺麗な黒髪のロングヘアーで、それをポニーテールに纏めている、活発的な印象を受ける。一人は茶色のロングともしショートともいえない長さの髪だ。しかし、両眼の色が右が赤で左が青という、オッドアイが特徴的だ。一人はライトグリーンの様な鮮やかな黄緑色のショ-トヘアーの髪に、フレームが丸い眼鏡をかけ、知的な印象を受ける美少女だ。…レベル高いな、Dクラスって。

「みんなー、新入生がとうちゃくしたよー」

オッドアイの先輩が教室の中に向かって知らせた。

「ささっ、入って入って」

そんまま流れるように俺達四人を教室に招き入れる。どうやらオッドアイの先輩は仕切るのが上手いようだ。なんせ教室に入って、気づいたら席まで勧められてるんだからな。…いや、俺がボッーとしていただけだな。俺は何気なく教室内を見渡してみたが、さっきの女子の先輩と俺達新入生を除くと…男子の先輩が四人…少なっっ!!後は教壇の近くにいる教師らしき男の人が一人だけ。…本当に学校かよ、ここは。

「よし、新入生も来たし、まずは自己紹介から始めようか」

教師らしき人がそう告げつつ教壇の前から退いた。それに続く様に、高校生としては高めの身長で、黒い肩までとどく長さの髪の先端の一部に真紅のメッシュが入った男の先輩が、面倒くさそうに立ち上がり、教壇の前に立った。どうやら先陣を切るつもりのようだ。…まともな人であってくれ。

「三年、Dクラス生徒総司令長せいとそうしれいちょうの『暁香ぎょうか 昂輝こうき』だ。ま、気楽にやっていこうや」

簡単に自己紹介を終え、暁香先輩は教壇の前から退いた。…俺と同じ面倒くさがりの匂いがするな、あの指令長。だけど、動きに無駄が感じられなかった。実はすごい人なのかもしれない、そう思えた。この際、学園なのに総司令長ってとこには突っ込まないでおこう。次に教壇の前に立ったのは、黒髪ロングのポニーテールの女子の先輩だ。改めて先輩を見てみると、スラッとしたしなやかな肢体で、見るからに爽やかであった。

「同じく、三年のDクラス生徒副総司令長せいとふくそうしれいちょうの『久城くじょう 優姫ゆき』です。昂ちゃんと同じく、私はみんなの指揮を執る立場ではありますが、気を使わずに仲良く行きましょう」

…昂『ちゃん』、だと…?おのれぇ、久城先輩はもう既に予約済みのか…。とか何とか考えてる内に、次の先輩が教壇に立った。男の先輩で、緑色のターバンを頭に巻き、つるがギザギザになっているサングラスをかけていた。…どこぞかのロッカーかよ。

「同じく、三年の『澤木さわぎ じゅん』だ。よろしくな」

…自己紹介は意外に普通だった。次も男の先輩で、少し小柄で、黒いショートヘアー…残念がらこれと言った特徴が見当たらない…。

「同じく、三年の『獅子堂ししどう 僚矢りょうや』といいます。先輩、後輩関係無く、フレンドリーにやっていきましょう」

…獅子堂先輩、本当まじで特徴がぇな、おい。次は…四角いフレームの眼鏡をかけたグレーのショートヘアーで、異様に長身な男の先輩が立ち上がった。…2mくらいはあるんじゃないのかね、あの先輩。

「同じく、三年の『御久間みくま 聖子しょうじ』です。とりあえず、よろしく」

眠たそうにしながらの御久間先輩の自己紹介…あの人も俺と同じ匂いがするなぁ…。次はいよいよ女子の先輩方の番の様だ。久城先輩は生徒副司令長だったので先にしたのだろう。まずはオッドアイの先輩が教壇の前に立った。

「同じく、三年の『榊宮さかきみや 朱里あかり』でーす。明るく、元気よくやっていきましょー!!」

…テンションたけぇな…俺はついていけないかもしれないぁと思った。次は、ライトグリーンのショ-トヘアーの眼鏡をかけた先輩だ。

「二年の『椎堂しどう 美夜子みやこ』です。本当なら僕以外にも後二人二年生がいるんですが、都合で席を外しています。だから二年生は一人だけじゃないんで、安心してね」

…うん、この説明が無かったら俺も一人だけかと思ったよ。次はどうやら俺達の番みたいだな。もうすでにルミナと岩瀬は自己紹介を終えた様だ。次は伊集院の番みたいだ。

「伊集院という。先輩方これからよろしく頼むぞ」

何様だぁ!?

「下の名前は何て言うの?」

榊宮先輩がそう尋ねる。…俺達もした質問だ。流石にここなら真面目に答え…

「ワトソンとでも呼ぶがいい」

…無い様だ。新入生以外は大爆笑だ。次は俺だ。無難にすますとしよう。

「えーっと、俺は神沢 歩です。みなさん、よろしくお願いします」

OK、我ながら上出来だ。やっぱ普通こそがベストだよな、そう思いながら教壇の前から退き、席に着いた。最後は先生の番の様だ。長身でがっしりとしっかりとした体に、さっぱりとまとめた刈上げの髪、正に体育会系といった感じだ。

「俺がDクラス担任の『卯佐美うさみ 猛士たけし』だ。いいか、俺は個人の意思を第一に優先する。俺はその意思には反対もしないし賛成もしない。去年同様、今年もお前達のやりたいようにやれ、以上だ」

やりたいようにられって…Dクラスが最低と言われる原因が多少分かった気がした。卯佐美先生は教壇から退き、教壇の前に暁香先輩が立った。どうやら後は暁香先輩が仕切るようだ。

「さて、ここからの予定を…」

そう言った瞬間だった。爆音と共に教室のドアが…吹き飛んだぁ!?立ち上がる煙の中から、バトルライザーで武装した集団が教室に入って来た。左肩に着いているバトルライザーの真ん中の水晶にはBの字が刻まれている。…つーことは来たのはBクラスか。聞いた事がある。BクラスとDクラスは犬猿の仲だと。

「何の用だ…Bクラス生徒総司令長、『倉野くらの 興二きょうじ』!!」

暁香先輩がBクラスの一人を思いっきり睨んだ。他の先輩は既に身構えており、戦闘態勢だ。すると、Bクラスの一人が進み出てきた。そして…

「よう、暁香…Dクラスの分際で新入生なんか手に入れてんじゃねぇよ…」

どうやら無茶苦茶な理由で攻めてきた様だ。倉野は手に持っていた両手剣を暁香先輩に突き付ける。そして…

「気にいらねぇなぁ…BクラスはDクラスに戦争を申し込む」

いきなり無茶苦茶な理由で宣戦布告してきた。

「そんな無茶苦茶な宣戦布告、受けられるわけが…」

俺がそう言おうとした時だった。

「…良いだろう…受けてやる、その宣戦布告…。」

暁香先輩がとんでもないことを言ってしまった。

「ただし…勝った方が何でも一つ相手の言う事を聞く、…それでどうだ?」

言う事を聞く!?何て事を!!俺達も被害を受けるってことかよ。

「いいぜぇ…それでよぉ。ギッタギタにしてやらぁ!!」

そう言うと、Bクラスは撤退して言った。…マジかよ!?入学からいきなり戦争すんのか!?

「みんな…歓迎会は延期だ…Bクラスとの戦争会議をするぞ!!」

待てよ、いくら総司令長である暁香先輩がの決定とはいえ、俺は反対だ。面倒くさいからな。みんなは…

「フッ…面白いではないか」

「…勝つ…」

「いきなりの戦争って、おもしろそうね」

「昂ちゃんの決めた事ならどこまでも…」

「返り討ちにしちゃおー!!」

「僕は一向に構わないよ」

「しゃーない、やってやろう」

「やるのはいいけど、やりすぎんなよ」

「了解だ」

…やる気満々なんだな…。


こうして、俺の朝は憂鬱から始まるのだった…

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