短歌・俳句集
■俳句
・駐車場消ゆる芒と子らの声
〔令和五年九月に熱帯夜が通算二八日を記録す〕
・地球煮え立つ初秋の熱帯夜
・雲黒し驟雨の前の片頭痛
・半袖半ズボン十月十五日
・麦酒注ぐコップの泡や雪のごと
・麦酒注ぎ消えゆく泡よ魂よ
・南瓜の花ポスト行く間に萎みけり
・〔令和二年十二月十六日名古屋にて初雪〕
名古屋城しろし師走の雪げしき
・夏空やマンション一棟天を衝き
・ボンネットの雨粒 凍りしは按摩器
・菜の河や 遊びける吾はさざれ石
・独り酒櫻の下に見ゆ酒宴
・盃へ櫻舞ひ落ち君とよひ
・窓映るありし日のこひ卒業し
・ひなあられ想いは遥か桃源郷
■短歌
・何欲す吾に問ふ我しかれども答へはいまだ見つからざるなり
・図書館の書架の間を縫い縫いて迷路彷徨ふは我が心ぞ
・夕になり眠たし吾の不眠症迷路の中を彷徨へるがごと
・こと雨は憂ひを胸に過ごしけり眼を瞑りて何もせぬまま
・あまの原雲を仰ぎし我が顔につれなし雪ぞなむ降りつつ
・病床でショウペンハウエル読みし夕我が胸中は暗澹とせり
・真晝にて熟睡したり病ゆゑ夜は眠らんか案じもすれど
・精神のエネルゲイアの発露なり倦みて詠みける新たな歌を
・手すさびに歌作らんと筆を執る早七首なり病の倦みは
・子規読みて想いを馳せぬカリエスへ我が病臥とも重なりつつも
・我倦んで歌作れどもその調べ整はざる病床故か
・倦みぬとはこの心持ちなりしかと病み上がりにて呟けるか
・晴天や秋暑のサイダー泡消ゆる刹那の泡は我が魂か
・土耳古にて大地震ありと吾聞けり遠き異国へ憂ひ抱きて
・白秋は子との戯れ歌に詠みさながら令和のTwitterのごとし
・努むれば日々の呟き(ツヰイト)歌詠める歌に詠まんと我は試み
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
▼小説家になろう 公式企画サイト
https://syosetu.com/event/haikutanka2023/
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