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亡き今も重ね重ね

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

ほんのり恋愛です。

死んだ相方を重ねている描写がままぁあります。

苦手な方はご注意下さい。


相方を亡くした、未亡人に俺は宛てがわれた。初対面のあの人の表情は今でも覚えている。大きく目を見開いて、僅かな期待を寄せて、でも直ぐに絶望したようにハイライトが消えた。それから直ぐに笑顔になって、軽い挨拶を交わした。

それから幾日も経った。あの人が俺を通じて前の相方を見ているのは何となく察した。普段は巧妙に、上手く隠しているが、さも何でもない時に瞳のハイライトが消える。そうして何かを受け入れた様に、笑顔を浮かべた。


ある時我慢出来なくなって、尋ねた事がある。

「そんなに似てますか? ……亡くなった相方と」

「そうね。お顔は似てるかも。特に目だね。彼奴、凄く目付き悪かったから。へへ……へへへ。うん!! でもそこが好きだった。今もね」

彼女はそう言った後、堪え切れなくなった様に唇を噛み締めた。瞳には涙がしっとりと浮かんで、頬を濡らしている。俺はハンカチを取り出して、黙って彼女に差し出した。

結局、こうすることしか出来やしない。気の利いた事も、増してやその亡くなった相方と俺を重ねても良いなんて、口が裂けても言えやしない。

重ねないで欲しい。俺を通して、過去の誰かを映さないで欲しい。今の俺を見て欲しい。彼女はハンカチを受け取らなかった。代わりに腕を伸ばす。ハグを求めているのは明らかだった。

「……前の人ともそうやって抱き締めたんですか。泣いてる時」

貴方だけが傷付いたんじゃない。幾度となく重ねられて、此方も傷付いている。だからこそ、意地悪く、傷口に塩を塗ってやる。もう二度とあの人の面影を残さない様。

しかし彼女は肩口に顔を埋めたまま、静かに被りを振った。

「しないよ。絶対しない。目の前で泣いてた。そうすると引っぱたくんだ。今は泣くときじゃないって。そうして彼奴も泣いたんだ」

「……もっと優しいかと思いましたよ」

意外な事実だった。半身が泣いていたら、傍に寄り添い続けるかと思っていたから。あんなにも重ねられていると思っていたけれど、事実、俺はあの人の事を何も知らない。性格も、行動も、顔さえ知らない。何せ見せてはくれなかったから。何もかも知っているのは、この人だけ。半身を失った未亡人だけ。

「君だから抱き着いたんだ……。君だから。違う……人だから」

どんなに足掻いたところで、あの人はあの人で、彼女にとっての掛け替えのない相方だ。それを受け入れて居ないのは、俺の方……かも知れない。

如何せん顔が似てると出てるので、最初のうちはそれこそ。

帰ってきた!! あぁ、別人だ。と繰り返していたと思います。


まぁでも問いかけられた時に抱き締めた事から分かる通り、今は別人として認識していると思います。

本当に重ねていたら、その場で泣きじゃくると思うので。


受け入れられないのは君の方だよ。

どんなに似ていても、亡きあの人にはなれないと。

そしてそれを察して、言わないし、教えないんだろうな。

だって教えたら、寄せるでしょ?


とある舞台の感想から浮かびました。

後々読み返すと全く関係ありませんでしたᐠ( ᐛ )ᐟ 多分!!

まぁそんな事もありますよ。

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