↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/113

懸念

とうとうあの人の名前が…!

 第二騎士団で顔合わせを終えると、その足で更に奥に入った場所にある第四騎士団の詰所へと向かった。


 第四、第五騎士団の詰所は見習いということもあり大きくはないそうだ。

 確かに見た感じ、一回りくらい小さい気がする。



 この第四騎士団の団長さんは元第一騎士団の人らしく、次世代を育てていくために現役を下りて団長になったんだって。

 先生みたいなものだよね。


 とはいえ、騎士団はあくまで実力主義。

 学校の先生みたいに優しくはないそうで。

 第三騎士団に上がる前に辞めてしまう人も少なくないという。


 そう思うと、第五騎士団から始まって第一騎士団まで上り詰めるのって相当大変なことなんじゃ…?

 私は当たり前に第一騎士団の皆さんと仲良くさせてもらってたけど、実はすごいことなのかもしれない。


 更にその上が近衛騎士団だから、団長のセルトリア様がこの国で一番強いらしいんだけどあの風貌からは剣を振るう姿すら想像できない。

 人は見かけによらないってこういうことなんだね。




 第四騎士団の詰所に入ると、団長さんが直々なお出迎えしてくれていた。


「第四騎士団へようこそ、聖女様、ツァーリ副団長殿。私は第四騎士団で団長を務めております、アイザック・フォン・マリオスと申します」


 ご丁寧な挨拶を頂いた所で私もカーテシーを返し、隣でツァーリ様も胸に手を添えて目礼する。


 そのまま団長室へと団長さん自ら案内してくれて、中に入ると応接セットに座るよう促された。



「アイザック団長殿、この度は突然の依頼にお応え頂き感謝致します」

「いえ、こちらこそ御礼を申し上げたいところです。聖女様と魔道士団副団長殿と討伐など、騎士達の士気も上がるというものです」

「それなら良いのですが」


 穏やかに話を進めるマリオス様とツァーリ様。


 そして何かに違和感を求める私。


 …………何が引っ掛かってるんだろう。


「聖女様が初めての討伐ということになりますので、私が側についてお守り致しますが…」

「ええ、普段通り魔道士はいないものとして討伐に当たるように致します」

「よろしくお願い致します」

「え? どういうことですか?」

「簡単に言えば私達は戦力に数えないようにということですよ」

「ですが、突然味方から魔法が発動されるというのを経験することは、これからの討伐に生きてくることでしょう」


 ツァーリ様達はそう言うけど、要するに私は慣れてなくてそもそも戦力外で、ツァーリ様はその私の護衛みたいなものだから期待するなってことだよね?

 そして、第四騎士団の皆さんは魔道士団を伴っての討伐は経験したことがない、と。

 でも私は自分の思うように自由にやっていいそうだ。

 連携も大事だけど、まずは討伐という場で何かしらの行動が出来るようになることが重要らしい。

 だからツァーリ様は私の補佐はするし、いざと言う時は助けてくれるけど基本的には同行しているだけ。


「今回、第四騎士団の中でも長けている者七名で構成しておりますが、私も帯同致しましょうか」

「いえ、それでは残る者達が困るでしょう。それに、アイザック団長殿が居られると安心して隙が出るかもしれません」

「そうですね、まだ心身共に未熟な者達ばかりですから」

「ええ。私達はあくまで普段の討伐に帯同させていただければ良いのです」


 なるほど、それは確かに。

 いくら私達を戦力に考えないようにっていっても、団長さんがいたら気持ちのどこかで絶対安心しちゃうよね。



 お二人の会話を聞きながらうんうんと頷いていたところで、ふと違和感の正体に気がついた。


 そうだ、ツァーリ様って誰のことも家名で呼んでるのにマリオス様のことは名前で呼んでるからだ。

 だって、同じ魔道士団の団長であるミライズ様のことだって名前で呼んでるの聞いたことないのに。

 もしかして、実はマリオス様と仲良しだったりする?


「ですので………ユーカ様?」


 私が無意識に聞きたげな視線を向けていたのか、ツァーリ様にどうしたのと言わんばかりの顔をされた。


 話を遮ってしまって申し訳ないのと、全く関係のないことを聞いてしまっていいものかと悩んだものの、こういうのは気になった時に聞かないと後々聞きにくくなると思って意を決して聞いてみることに。


 一応、ちゃんと全く関係のないことを聞いてもいいですか? って確認したよ。


「それで、何が気にかかったのですか?」

「あの…ツァーリ様がマリオス様のことをお名前で呼ばれているのが気になっただけなんですけど…」

「ああ」

「成程」


 私の疑問を投げつけると、お二人はそろって納得されていた。


 え、本当に仲良しさんなの?


 そうだとしたら意外な組み合わせだなぁ、なんて思っていたが、どうやら違うらしい。

 そして同時に予想外の答えが返ってきて、私はビックリして自分でも驚く程に大きな声を上げてしまった。



「無理もないでしょうね。ツァーリ副団長殿は滅多なことでは名前を呼ばれませんから」

「アイザック団長は紛らわしいので致し方ないのですよ」

「紛らわしい? ご兄弟でもいらっしゃるんですか?」

「ええ、兄が同じ騎士団におりましてね」

「そうなんですね」

「ユーカ様もよくご存知の方ですよ」

「え? マリオス様って家名は初めて聞きましたけど…」

「おやおや、あの方は自己紹介もしていないのですか」

「それは兄が大変な失礼を致しました」

「あ、いえ! それは良いんですけど、結局どなたなんですか?」

「第一騎士団の団長殿ですよ」

「…………ええぇ!?!?」


 いや、そりゃ驚くでしょ。

 団長さんなんて、この国に喚ばれて二番目に顔を合わせた人だよ!?

 この国に来て二日目に初めましてしてるのに、これまでずっとお名前を知らなかったことを忘れていたのにビックリだわ。

 そういえばずっと「団長さん」って呼んでたもんなぁ…


「兄の名はジェイシス・フォン・マリオスと言います」

「ですから私を含め殆どの方がジェイシス団長とアイザック団長と呼び分けているのですよ」

「そうだったんですね…」


 兄弟そろって同じ騎士団で団長やってるんじゃ、それは紛らわしいよね。


 まさかここで団長さんのお名前を知ることになるとは思わなかったけど。



「では、ユーカ様の疑問も解決した所で話を戻しましょうか」

「あ、私のためにすみませんでした」

「いえいえ、お気にならさずに」


 おかげで私は胸のつかえが取れたので集中して聞くことができます。

 ありがとうございます。




 というわけで、私の討伐練習は第四騎士団の皆さんの討伐予定に合わせて五日ごとに行うことになった。


 五日に一回討伐なんて大変なんだね!? って思ったけど、それはまだ見習いだかららしい。

 第四騎士団の上になる第三騎士団は遠方への討伐が多いから一ヶ月帰ってこないなんてよくある事だし、近場のLvの高い森を担当する第二騎士団は二、三日の討伐が多いけどその分消耗も激しいから、体力と精神力を鍛えるために頻度を上げているらしい。


 騎士になるってすごく大変なことなんだなぁ…



 私も討伐に出る以上ある程度は鍛えておかないといけないということで、とりあえず討伐本番までの一ヶ月は第四騎士団の討伐に同行させてもらうということで話はまとまった。


 けど、ツァーリ様お忙しい方なのにそんなに頻繁に抜けて大丈夫なんだろうか。

 私の討伐練習にも毎回一緒に来るって言ってくれるのは心強いけど、いくら近場で魔物のLvも弱いとはいえさすがに魔法の練習みたいに半日で終わることはないだろうし…


「ツァーリ様のお仕事は大丈夫なんですか?」

「私の今の仕事は聖女様の魔法指導役ですよ」

「でも、魔道士団の方が…」

「その辺は承知で聖女様を討伐にお連れするようにとの上からの要請です。ミライズ団長殿が私の仕事を担って下さっていますのでご安心を」

「ミライズ様……」


 ………ミライズ様が一番の被害者なんじゃないかと思うのよね。

 何か申し訳ない……ミライズにもまた何か差し入れしよう。


「ですが、ユーカ様が討伐に帯同出来るようになればミライズ団長殿が魔道士団を空けることも少なくなりますから」

「え?」

「ユーカ様のお力は強大です。討伐に慣れ、落ち着いて力を使えるようになればミライズ団長殿の代わりには余りあるでしょう」

「そ、そんなことは…! というか、それはつまりこれから討伐だらけになるということでは…!?」

「察しが宜しいですね」



 ツァーリ様が言うには、私が今回の討伐で役に立たなかったのなら慣れるまで何度も連れていかれるだろうし、役に立ったらそれはそれで頼られてどんどん討伐依頼が来るだろうと………




 私は平和にお菓子を作りたいだけなのに~!!!

読んで下さってありがとうございます!

実はずっと団長さんの名前、明かされてなかったんですよね(笑)いつか出そうと思っていたのでようやく出せて良かったです。

2話で初登場してるのに91話でようやくって……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。