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久々のスキル解析です。

 何だか久しぶりな気がしますが、私は今ツァーリ様と魔法付与の確認をしています。



 というのも、私が攻撃魔法や防御魔法を練習している間にツァーリ様が個人的に調べて下さっていたそうで。

 その結果がある程度まとまったからと、こうして改めて確認する事になった訳だ。




「…という結果ですね。以前の仮定と大きく変化ありません」

「なるほど…」

「変わった所といえば、スキルにも成長があることでしょうか」

「成長ですか?」

「ええ。例えば以前作られたくっきーと今作られるくっきーでは効果が変わっています」

「そうなんですか?」


 スキルって成長するもんなんだ…?

 使えば使うほどレベルアップするってことなのかな。

 そう考えると、暇さえあればお菓子作ってるからレベルアップしててもおかしくはないよね。


 ツァーリ様の話を聞きながら新しく聞かされた内容を自分の中でまとめてみる。


 スキルはレベルアップすること、私の魔法付与スキルはお菓子作りにしか適用されないけれど、恐らくスキル発動のタイミングはお菓子作りの工程にあること。


「何度も確認させていただきましたが、魔力の移動は見られませんでした。ですので、ユーカ様から常に微量の魔力が出ていてそれが道具や材料にも漏れ出ている可能性があるのかと」

「私から魔力が溢れている…?」

「えぇ。私は魔力の流れは感じられますが、魔力を見られるわけでは無いので確証はありませんが」


 ツァーリ様が言うには、もともと私から微量の魔力が溢れていて、その状態でお菓子を作るからそこに浸透していくから明らかな魔力の流れがないのではないのかということらしい。

 常に魔力が溢れていても、魔力付与の対象がお菓子作りだけだから、他の人や物に触っても影響はない。

 お菓子作りに関するものだけ、触るだけで魔力が反応するのかもしれないと。


 この浸透していく過程は魔力の流れとして感じないのか聞いてみたけど、微量すぎるせいなのかそこはまだよくわからないんだって。


 でもとりあえず魔法付与の条件はわかっているし、随分検証されたから魔力付与については一先ずここまでにして、次は他のスキルについて調べていくことになった。



 私の持つスキルは四つ。

 属性魔法無効化、状態異常無効化、迎撃(中)、魔法付与。

 どれも珍しいスキルらしいと聞いたことがあるけど、魔力付与以外は戦闘系の気がする。

 そして私はまだ魔法練習をしているけれど討伐には出ていないので、それらのスキルが発動したことはない。


「いくら検証とはいえ、貴女に危害を加える訳にいきませんからね」

「でもそれだとどうやって発動させれば…?」

「属性魔法無効化と状態異常無効化については攻撃魔法でなければ宜しいかと」

「そんなのあるんですか?」

「ええ。使える者は限られますが」


 私が良ければ今から魔道士団に行ってその人にお願いしたいと言われ、特に予定もなかったのでOKの返事をして部屋を後にした。


 因みに、いつかのようにツァーリ様が何かしらで暴走してまた放置された場合、騎士団ならともかく魔道士団では頼れる人が少なすぎて私が盛大に迷子になる可能性を考えてファーラが一緒に来てくれている。


 ありがとう、ファーラ。

 帰ったらラミィも呼んでお茶しようね。




 という訳で連れられてきたのは魔道士団の団長室。

 ノックをして入った先には、もちろんミライズ様がいた。



「ご無沙汰しております、聖女様」

「こちらこそご無沙汰しています。突然すみません」

「いえ、ツァーリ副団長から伺っておりますので問題ございません」

「では団長、早速宜しいでしょうか」

「ああ」


 ミライズ様は私の前に立つと、顔の前に手のひらを向ける。

 そこにぼんやりと紫の光が集まっていく。


「今から詮索魔法をかけます」

「詮索魔法?」

「ええ。相手の情報を抜き取る魔法です」


 そんな魔法があるなんて知らなかった。

 でもツァーリ様が使える人が限られるって言ってたから、相当珍しいんだろう。


 これは闇属性魔法になるそうで、私の属性魔法無効化が発動すれば跳ね返すし、発動しなかったとしてもステータスが見られるだけで身体に危険が及ぶことはないらしい。


「参りますよ」

「はい」


『コレクト』


「っ!」

「…弾かれましたね」


 ミライズ様の手から紫の光が私に向かって勢いよく伸びてきたと思った時には、パァン! と何かに弾かれる音がしてその光は霧散していた。


 私は発動のきっかけがわからないので、光が向かってくることはわかっていたけど、何かをした訳でも弾くよう頭の中で考えた訳でもない。

 まずそんなこと考える余裕もなかったし。


 それをツァーリ様とミライズ様に伝え、もう一度試した後で攻撃魔法も防げるのか試してみることになった。

 攻撃魔法が自分に向かってくるのは怖いけど、それが防げるなら安心ってことだもんね。

 それに、いつか討伐に出るのなら相手からの攻撃に対応できるようにならないといけない。



「では次は状態異常無効化ですね」

「これもミライズ様が?」

「いえ、私には適正がありませんのでツァーリ副団長が」

「少し身体が動かなくなるよう、弱い拘束魔法をかけさせていただきます。もしかかってしまいましたらすぐに解除しまので安心して下さいね」

「は、はい」


 拘束魔法って、金縛りみたいなものなのかな…?

 魔法なのに手錠みたいに物理的な物が出てくるとも思えないし。

 どういう感じなんだろう。

 かかりたい訳でないけどちょっと気になる。



『ストップ』

「!?」

「急だな…」


 なんて考えてたら、ツァーリ様が前触れもなく魔法を発動してきて普通にビックリした。

 ミライズ様みたいに一言あると思ってたから急に来るなんて思ってなかったよ…!?

 これもちゃんと弾かれたみたいで、私は動けるけど。


「先程のように構えられないようにしてみたのですが、この様子ですと自然に発動するようですね」

「び、ビックリしました…」


 ツァーリ様は事も無げに言うけど、本当にビックリした。

 けど、魔物から攻撃が来るってこういう事なんだ…

 魔物は待ってくれないんだからいつ攻撃が来るかわからないんだものね…


 私は討伐に出るということがどういう意味なのか、ようやくわかった気がした。



「ですがこれで無意識に発動出来ることは確証されました。次は訓練場で攻撃魔法に対する無効化の確認を致しましょう」

「あ、はい」

「私はこの後宰相閣下に呼ばれておりますので、ここで失礼させて頂きます」

「ありがとうございました、ミライズ様」

「いえ、またいつでもお越し下さい」


 相変わらず目付きが悪いミライズ様だけど、笑うと少し雰囲気が柔らかくなるんだよね。




 お礼を言って団長室を出て、ツァーリ様について訓練場へ向かう。


 そこにはいつも通りたくさんの魔道士さん達が魔法の練習をしていて、やっぱりいつも通りツァーリ様に気がつくとすぐに動きを止めて挨拶していた。

 魔法使うってかなり集中力要るのに、その状態でツァーリ様に気付くってすごいよね。


 これもいつものことなのでもういちいち気にすることもなくなったけど。



「自分に向かって攻撃魔法が飛んでくるのは怖いでしょうから、まずは確実に無効化がされているか、ユーカ様を囲う魔法で試させていただきますね」

「囲うんですか?」

「ええ。竜巻の中に入れられたと思っていただけるとわかり易いかと」

「そ、それって大丈夫なんですか!?」

「もちろん直接当たらないように致しますよ」


 ねぇ、竜巻の中に閉じ込められるってめちゃくちゃ怖くない!?

 無効化で弾いてもらえると思うってわかっててもビクビクしちゃうんだけど…


「では、危ないですのでその場から動かないで下さいね」

「えっ、あ、あのっ」

「参ります」


『トルネード』


 有無を言わさないツァーリ様が、心の準備も全く出来ていない私に向かって風魔法を発動させる。

 怖くて目を開けていられなくて、頭を抱えるように衝撃を待った。




 …………?

 けど、衝撃はない。

 弾いてくれたのかと目を開けると、何故かツァーリ様の前には光の壁が発動されていて、辺りを見渡せば何やら竜巻が過ぎ去った後のような悲惨な状態になっている。



 な、何が起こったの!?

読んで下さってありがとうございます!

実は魔法付与しかスキル解析してなかったんですよね。そっちはお菓子を作る上で必須だったので。

ようやく他のスキルにも触れていきます。

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