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相談

女子会ですよ~!

 ラミィがルミナ、セルティア、アリエスを伴って調理場に来たのは、私が四種類のケーキを仕上げたところだった。




「ユーカ様、お待たせ致しました」

「ううん、無理言ってごめんね」

「とんでもございません。皆楽しみにしておりました」

「ユーカ様、お声掛け下さってありがとうございます」

「以前頂戴した甘味も大変美味しゅうございましたので、お言葉に甘えて参りました」



 ラミィに続くようにみんなが言葉遣いは丁寧なまま詰め寄ってくる。

 よくわかんないけど圧が強いよ…?


 でもみんな楽しみにしてくれてるみたいで嬉しいなぁ。

 ケーキも喜んでくれるといいけど。

 今日のケーキは新作なんだよ!


 ファーラにお茶を入れてもらってる間に冷えたプリンと、出来上がったケーキをカットしてお皿に並べる。

 今回はティラミスタルトとアップルカスタードケーキとスフレチーズケーキと生チョコタルト。

 それに私が大好きな固めのプリンね。


 テーブルがスイーツで埋め尽くされてめっちゃ幸せ!

 女子会だよ、女子会!

 テンション上がるね!


 皆も初めて見るケーキに興味津々みたいだし、早速始めようと声を掛けた。


「好きなだけ食べてね~」


 そう言って私が自分の分をお皿に持っていくと、侍女さん達も口々にありがとうと言いながら目を輝かせている。


 女性だからっていうよりは、この国の人達はみんな甘いもの大好きだからなぁ。

 ケーキが広まればスイーツビュッフェだってできるのに。

 洋菓子屋さんも出来て欲しいけど、ビュッフェもやって欲しいなぁ。

 何なら手伝うし。

 むしろ洋菓子屋さんが出来たらそこで働きたい。



 スフレチーズケーキを食べながらそんな野望を脳裏に浮かべていたら、セルティアがケーキの感想の後に、最近侍女さんの間で私の作るお菓子が大人気なのだと教えてくれた。


 宰相様の許可を得て、騎士団と魔道士団以外にも王宮の人達限定でお菓子を配ることが出来るようになったからたまに差し入れしてたのよね。

 喜んでもらえてたなら良かった!


「私達はユーカ様付きの侍女なのでこうして戴く機会が多いことを羨ましがられますね」

「ええ。魔法付与の問題で王宮内のみとはお聞きしておりますが、それならば王宮内の者には購入出来るようにして欲しいという声も聞きますよ」

「そうなの?」

「私も耳にしたことがありますわ。ユーカ様の甘味は大人気ですもの」

「私もユーカ様の甘味でしたら喜んで購入致しますわ」


 え、これもう私がお店を立ち上げるべき…!?

 ここにショーケースとか置かせてもらえればいつでも出来るんだけど…

 そもそもショーケースってあるの?

 まぁめちゃくちゃ大きい冷蔵庫があるから無くても何とかなるか。

 焼き菓子はテイク可、生菓子はインにして、もう少しテーブルセットを増やせればどうかな?


 なんてね。

 想像するだけでも楽しいからついレイアウトとか考えちゃった。


「ユーカ様が販売を考えて下さるのでしたら、私達もお手伝い致しますので」

「えっ、でもそれ侍女さんのお仕事じゃ……」

「代わりに優先的に購入させて頂けると嬉しいですわ」

「そんなのはもちろんだけど…」

「ユーカ様の甘味は作られる所を見ているのも楽しいものですから」

「ですから販売しましょう! ユーカ様!」

「ちょ、ちょっと待って、皆乗り気なの!?」

「「「「「ええ!」」」」」


 そして、まさかの侍女さん達全員から持ち上げられる展開。


 そりゃ私だって毎日お菓子作って、お菓子を布教出来るなんて願ったり叶ったりだけど、そんな簡単にお店なんて出来るものなの!?


「申請書類は用意してございますので、御記頂けましたらすぐにでも宰相閣下にお持ち致します」

「用意早くない!?」

「侍女の総意でございますので」

「マジで…」


 これはどうするのが正解なの?

 あ、まず誰かに相談してみてからにした方が…!

 お金を取るなら材料だって自分で入手しないといけなくなるし、そうするとお客さんが来なかったらやっていけない。

 侍女さん達は買ってくれるって言ってたけど、他の人もそうとは限らないしね。

 貰えるなら食べるけど、買ってまでは食べない人だってきっといるだろうから。

 うん、まずはサライズ様とミライズ様に相談してみよう。

 本当は魔法の練習のこともあるからツァーリ様に相談したいんだけど、まだ戻られていないそうなので仕方ない。

 騎士団の団長さんとアルバート様にも相談したいなぁ。


 私そっちのけで盛り上がる自分さん達に少し考えてみるとだけ言って、私はプリンに手を伸ばした。














「…ってことがありまして」

「左様でしたか」


 まずは厨房でサライズ様に相談に来た私。


 ちゃんと忙しくない時間帯狙って来たよ!

 今日は副料理長のダルウィン様もいたから一緒に聞いてもらってる。


 あと、食材運んでもらったお礼のプリンとケーキを届けるって用事もあったしね。


「サライズ様はどう思います?」

「そうですね…厨房でもユーカ様の甘味は大変人気ですから問題ないかと」

「でもお金取るんですよ?」

「逆に戴いてばかりでは申し訳なく思っておりましたので、お売り頂けた方が気兼ねなく購入できますよ」

「そんなもの?」


 私としては厨房から食材を貰ってるし、核のおかげで光熱費もかからないし、ただ作る手間だけの話だから全然気にしないでほしいと思う。

 手間って言ったって、自分が好きでやってることなんだし。


「それに、毎回争奪戦になってしまって満足いく程食べられないですからね」

「ええ、それなら自分で購入して好きな分だけ食べたいものです」

「あ、なるほど」


 サライズ様とダルウィン様が揃って頷いている。

 でもそれは納得だなぁ。

 確かに差し入れだと人数いるから量作るのは難しいからね。


 そう思うとお店持つのも意味がある気がしてきた。





 何となく自分の中でまとまってきたところでお二人にお礼を言い、次は魔道士団に向かうことに。


 もちろんさっきからずっとファーラが案内してくれてます。

 声を掛けてくる貴族が云々よりも、まず案内がないと私が出歩けない。



 そういえば私が魔道士団の団長さんに会いに行くのは初めてだなぁ。

 ご挨拶はさせてもらったけど、魔道士団関係のことならツァーリ様が全部受け持ってくれたから、魔道士団自体に滅多に来ないんだよね。



 …ところで、ミライズ様って何処にいるんだろう?

 団長さんのお部屋?

 団長さんのお部屋って何処?


 これが騎士団だったら大抵入口で誰かが気付いて声を掛けてくれるんだけど、魔道士団は研究で引きこもってるか訓練場で魔法使ってるかのどちらからしくて全然人に出会えない。

 訓練場の場所も覚えてないし、行けたとしても攻撃魔法がバンバン飛んでくるような所にツァーリ様無しで行けないし。


 これは…詰んだ?

 魔道士団はツァーリ様が戻られてからにした方がいいかな…



 仕方なく諦めて魔道士団の詰所を出ようとした時、前から見知った魔道士さんが歩いてくるのが見えた。



「これは聖女様じゃないですか。こんな所でどうされましたか?」

「バーダック様!」


 愛想良く声を掛けてくれたのは、スウェード・フォン・バーダック様。

 何度か魔法付与の実験を手伝ってくれた魔道士さんで、この無口で暗い人が多い魔道士団で数少ない普通の明るい人。


 騎士団は陽気で声が大きい人ばかりで、魔道士団は無口で暗い人ばかりって両極端すぎるよね。


「で、どうしたんです?」

「ミライズ様にご相談があって来たんですが、何処にいらっしゃるのかわからなくて」

「ああ、それでしたら恐らく団長室にいると思いますよ。ご案内致しましょうか?」

「いいんですか?」

「ええ、勿論です」


 恭しく頭を下げて案内してくれるバーダック様に着いていく。

 知ってる人に出会えてよかった~!



 ホッと息をついて後に続くと、思ったよりもすぐに目的地に辿り着いていた。



「団長、来客です」

「どうぞ」


 中から聞こえてきた返事に失礼しますと声を掛けて扉を開ける。

 その間にバーダック様は会釈して何処かに行ってしまった。

 今度お会いした時にお礼を言わなくちゃ。


 ミライズ様は私を見て少し驚いた顔をしていたけれど、すぐに笑って応接セットに座るよう勧めてくれる。

 相変わらず目つき悪くてちょっと怖いけど、やっぱり優しい人だなぁ。


「聖女様、ご無沙汰しております。本日はどうなされましたか? ツァーリ副団長が居ないことで何かご不便でも?」

「いえ、そういうわけではないのですが」

「では一体?」

「えぇと、少しご相談をさせていただけないかと」

「ほう、何でしょう?」



 ミライズ様は向かいのソファに腰を下ろし、私の話を聞いてくれた。

読んで下さってありがとうございます!

ミライズも久しぶりの登場ですね。基本アルバートかツァーリしか出てこないから…(笑)

もっと色んな人を出してあげたいです。

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