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● 048 継戦Ⅴ/戦記

作者言い訳

中層部攻略戦は作者の趣味が優先されています。斜め読みしても大丈夫です。イチャイチャはまだあります…






 6月8日、エシス日(緑の日)。

 第11回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力36130

 ・エディンデル3612、アキラ7018 小計10630

 ・マナ結晶 三等級400×5、二等級1500×3、一等級7000×1 小計13500

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数10251 ※黄昏領域表層部での掃討を完了。中層部に侵入。

 ・兵士級6314

   表層部5789体、中層部525体

 ・戦士級3754

   表層部3055体、中層部699体

 ・騎士級119

   表層部70体、中層部49体

 ・楽士級64

   表層部4体、中層部60体


 撃破累計27620

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級20

 ・中層部 1333 兵士級  525、戦士級  699、騎士級  49、楽士級60

 ・小計 27620 兵士級17194、戦士級 9037、騎士級1309、楽士級80


 復活後キャパシティ

 ・エディンデル5848、アキラ11163


 備考・分析

 ・提供された物資を合わせ、使用可能な魔力量が36000を超える。

 キャパシティの成長も鈍化せず、復活後に2人で約17000に到達。楽士級一体の撃破につき2~3エルネの増加か。

 日々の自然増加量は、エディ君が4日で2エルネ、僕が4日で3エルネ程度で、以前と変わらず。


 ・前回の時点で三等級マナ結晶の魔力回復速度がエディ君の魔力消費速度に追いつかなくなっていたため、二等級マナ結晶を購入。一等級は今後も1個ずつ消費していく予定。

 また、三等級ネクタル水を2個購入。1人1個ずつ所持し、終盤に体力回復の為使用した。

 支出額は合計440万レン。昨日のスライムハントの収入は170万レン。支援金3億レンを計画的に切り崩していく必要がある。


 ・宝珠、守護印の生産量は一週間で7個。一回の出撃でそれぞれ10個ずつ使用すると、およそ800個の在庫から毎週14個ずつの赤字になる。 

 前回同様、守護印10個分から騎士霊24名、神官霊6名召喚。


 ・昨日のハント後に魔法鍛錬を行い、光の加護の調整を行った。天衣にポケットを作れるように、どの聖術も意識すればある程度自己調整が可能であることが判明した(些細なことではあるが、ポケットを作った分、天衣の裾が僅かに短くなっていた)。他機能の性能が全体的に落ちたが、代わりに魔力供給能力は1.5倍まで増加。これでしばらく持つといいけれど。


 ・ポーチバッグの容量と耐久性は問題なし。


 ・一日の撃破数が1万を突破。戦闘時間も最長となり、スタミナ回復のためにネクタル水を服用。


 ・表層部にて、兵士級・戦士級混成部隊合わせて451体を660エルネで撃破。中層部においては、楽士級の強化がある場合、混成部隊100体につき500~600エルネを消費した。


 ・表層部にて、騎士級小隊13体を180エルネで撃破。騎士級一体につき約14エルネ消費。

 中層部においては、楽士級8体から強化を受けた中隊規模の4個小隊42体に対し1600エルネで撃破。騎士級一体につき約38エルネ消費。


 ・今回でウィバク黄昏領域表層部を一周し終わり、その後は表層部の敵戦力の殲滅に注力。群れからはぐれた個体も含め約8500体以上を撃破。陰魔の反応が完全に表層部から消失するまで兵士級~騎士級、および楽士級の掃討を行った。

 表層部で撃破した敵戦力は、累計で2万6287体。


 ・終盤、初めて黄昏領域中層部への侵入を試みる。天盤結界境界から奥地へ約16キロメートルの地点で多数の楽士級を伴った兵士級・戦士級混成部隊と遭遇。表層部とは逆に戦士級の数が兵士級を上回っていた。表層部では兵士級・戦士級はおおよそ2:1、中層部では3:4の割合。

 混成部隊との戦闘開始から3分経過した時点で騎士級4個小隊42体、楽士級8体が深層部方向から出現し、交戦。その戦闘中、同様に4個小隊を単位とした中隊規模の騎士級が奥側の左右側面から楽士級と共に出現。1個中隊42体の撃破直後に2個中隊107体に挟撃され、敗死した。


 ・中層部においては、ほぼ全ての場合で敵地上部隊が楽士級を随伴させ、敵戦力が大幅に増強されている。特に戦士級狙撃体の攻撃は射程約500メートルまで伸長、威力は騎士級とほぼ同等。蹄獣体のレーザー射程も最大600メートルまで倍増、威力も同様に倍増。翼獣体のミサイル初弾は射程2キロメートル以上。数にも押され、被弾が増えて撃破までに莫大な魔力を要した。


 ・聖剣の性能は、通常出力の加護付きで最大内包魔力(最大出力)265エルネ、最大射程411メートル。最大出力の加護付きで最大出力360エルネ、最大射程482メートル。

 5月21日の第7回解放戦での最大出力は、通常加護で223エルネ、最大加護で307エルネだったことを考えると、かなりの成長スピードだと評価していいだろう。。


 ・聖剣の『一閃』は、一撃に必要な魔力が53エルネまで下がり、更に燃費が向上した。最大射程は541メートル。

 また、加護の魔力供給能力を上昇させた分、時間加速効果が再び約1.3倍まで低下。それによって、精神統一にかかる時間は3.0秒に微増した。エディ君の主観時間では3.9秒の精神統一を要している。


 ・一閃の性能を正確に説明するには『発動可能出力』、『発動可能射程』という言葉が適切か。

 一閃の発動可能出力は53~61エルネ、発動可能射程は486~541メートル。

 つまり、一撃に籠める魔力を53エルネ以上61エルネ以下の範囲内にしなければ一閃を発動できず、その時の聖剣の長さは必ず486メートル以上541メートル以下に収めなければならない。

 通常時の聖剣が出力1~360エルネ、射程1~482メートルの範囲で自由に調整できることを考えると、『一閃』は低燃費で疑似空間切断攻撃を放つ非常に優れたな剣技である代わりに、3秒の精神統一を要する上に調整が難しいという大きな欠点を持っている。要は使いどころが難しい。絶対に街中では使えない。


 ・ちなみに、最大出力を射程1メートルのロングソードサイズまで圧縮した聖剣が最も魔力密度も硬度も高くなり、最大の攻撃力を誇る。そして太陽のように物凄く眩しくなる。前に鍛錬で一度見せてもらった時に「めがー」をしてしまった。


 ・次回から本格的に中層部での激戦が始まる。今までの経験と成長は決して無駄にならないはずだ。エディ君と僕の、勇者と天使の力を信じよう。


 ※※魔神関連は全面的に保留。少なくとも、ウィバクを解放するまではエディ君と僕だけの秘密とする。ギラー爆撃についてだけ、会議で相談すべきか。




  ◆◆◆




 6月12日、カイア日(赤の日)。

 第12回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力45016

 ・エディンデル5850、アキラ11166 小計 17016

 ・マナ結晶 二等級1500×6、一等級7000×1 小計16000

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数4923

 ・兵士級1946

 ・戦士級2604

 ・騎士級211 ※全4個中隊(4個小隊~6個小隊)、交戦順に41体、57体、37体、76体。中隊編成平均52.8体。

 ・楽士級162


 撃破累計32543

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級 20

 ・中層部 6256 兵士級 2471、戦士級 3303、騎士級 260、楽士級222

 ・小計 32543 兵士級19140、戦士級11641、騎士級1520、楽士級242


 復活後キャパシティ

 ・エディンデル7276、アキラ13829


 備考・分析

 ・僕の魔力が1万を超え、消費魔力の総量が4万5000に達する。マナ結晶は全て二等級に変更。三等級ネクタル水2個を含め、支出額は640万レン。宝珠の魔力回復速度は一等級と同等。


 ・陰魔一体撃破ごとのキャパシティ成長量は、エディ君で兵士級0.09~0.10、戦士級0.20~0.22、騎士級0.7~0.75、楽士級2.5~2.7か。僕はエディ君の約1.9倍の成長速度になっている。


 ・常に楽士級8体(増幅器4、障壁体4)が随伴していると仮定すると、

 兵士級100体にき300~400エルネで撃破可能。

 戦士級100体にき800~900エルネで撃破可能。 

 騎士級1個中隊41体を約1400エルネ、1個中隊57体を約2100エルネ、2個中隊113体を約5000エルネで撃破。

 騎士級一体につき約34、37、44エルネ消費。

 

 ・中層部では、兵士級が騎士級0.5体分の戦力を、戦士級と騎士級が騎士級1体分の戦力を付加されている。そのため、数で勝る戦士級が主力と呼べるほどの脅威となり、殲滅に必要な魔力消費量が増大した。

 また、敵の数と密度が増せば増すほど攻撃を受ける頻度が増し、それだけ損耗が増大する。騎士級のレーザーとミサイルの密度が高く、エディ君ですら被弾多数。


 ・増強効果を最大限まで受けた戦士級は準騎士級と呼べるほどの戦闘能力を有する。

 包囲網の外周から戦士級狙撃体が放つ数百の銃弾が結界を削り続け、砲撃体が砂丘を越えて山なりに投じる砲弾も無視できない。斬撃体と打撃体は遅延行為に徹しているかのような防御態勢を取り、撃破に少なくない魔力を要する。


 ・中層部においては、楽士級によって伸長した長距離攻撃が極めて驚異的。特に蹄獣体のレーザー射程が再び聖剣を上回った。

 

 ・楽士級を優先的に排除することは難しい。多ければ数十体規模の楽士級が等間隔で距離を置いて地上部隊に随行し、交戦時にはこちらから遠ざかるように敵部隊後方の地下に広く網状に散らばってしまう。長距離攻撃を掻い潜りながら、僅かな隙を見つけて楽士級を削っていくしかない。

 これらの一見戦術的な行動は、陰魔の全体的な情報共有と群体としての本能によるものか。


 ・黄昏領域中層部に出現する騎士級中隊の編成は4個小隊~6個小隊規模。今回の戦闘での最小数は41体(4個小隊)、最大数は76体(6個小隊)。計算上は36(9体×4個小隊)~90体(15体×6個小隊)か。2個中隊以上に挟撃されると100体を超える騎士級に包囲される場合があり、劣勢を強いられる。


 ・中層部の砂丘は標高が50~150メートルあり、高低差が激しい。上空に留まれば長射程のレーザーや狙撃の集中砲火を受ける為、砂丘の谷底を飛び、砂丘を盾にして敵の遠距離攻撃を遮る戦い方が有効になる。


 ・終盤で騎士級中隊2個中隊113体を殲滅することに成功したものの、最終的には戦士級狙撃体・砲撃体から集中攻撃を受け敗死に至った。


 ・只々、敵の戦力が質、量ともに尋常ではない。互角以上に戦う為に魔力を湯水のように使う必要がある。もしエディ君と僕の2人きりの戦いのままだったら、この段階に至るまでにどれほどの時間を浪費していたか。ひたすら機械的に押し潰そうとしてくる闇の津波にどれほど絶望していたか。果たして、当初の想定通り黄昏領域を一年で攻略できていたか。想像するだけで寒気がする。

 この手ごたえが慢心ではなく、確かな実績と自信によるものであることを心から願う。




  ◆◆◆




 6月15日、エシス日(緑の日)。

 第13回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力49108

 ・エディンデル7277、アキラ13831 小計21108

 ・マナ結晶 二等級1500×6、一等級7000×1 小計16000

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数4658

 ・兵士級1722

 ・戦士級2496

 ・騎士級286 ※全4個中隊(5個小隊~6個小隊)、交戦順に62体、65体、74体、85体。中隊編成平均71.5体。

 ・楽士級154


 撃破累計37201

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級 20

 ・中層部10914 兵士級 4193、戦士級 5799、騎士級 546、楽士級376

 ・小計 37201 兵士級20862、戦士級14137、騎士級1806、楽士級396


 復活後キャパシティ

 ・エディンデル8669、アキラ16437


 備考・分析 

 ・騎士級1個中隊62体を約2300エルネ、3個中隊224体を約13000エルネで撃破。

 騎士級一体につき約37、58エルネ消費。


 ・はじめの騎士級中隊62体の撃破に若干手間取り、2個中隊に挟撃され、更にもう1隊に乱入された。都合3個中隊との連続戦闘となり、全方位の蹄獣体50体以上からレーザーの集中砲火を受け光の結界が一瞬で蒸発した。辛くも即死は逃れたものの、エディ君を庇って右腕と左足を欠損。ネクタル水を使用するも、出血と激痛により集中力を欠き、結界構成と維持に多くの魔力を消耗した。次回からは二等級以上のネクタル水を用意する必要があるだろう。


 ・中隊規模の騎士級に持久戦は極めて不利。100体を超えると敵の攻撃が空間を埋め尽くすように飽和し、一気に被弾が増大する。第一波の中隊を速攻で撃破できるかどうかで戦局が大きく左右される。

 今回、最終的には騎士級3個中隊に対し13000もの魔力を使い、相打ちで死に至った。


 ・前回同様、手応えがない訳ではないが、苦闘が続く。もし表層部でも同じような戦術がとられていたら、きっと僕たちは為す術もなく敗戦を繰り返していたはずだ。陰魔にとって、亀のように引き籠っている今の状態が取りうる最善の戦術だとは思えない。

 しかしそもそも、陰魔の大軍団は大結界を越えてレヴァリアの大地を蹂躙するために造られたものであり、天盤結界内での防戦は主目的ではない。事実、これまで人類側が迎撃を諦めていくつもの貴重な土地を黄昏領域へと変えなければならなかったということは、侵略機能を重視した数的優位の戦略は十分に有効だったと言わざるを得ない。少なくとも、先代のテル様の時代までは。


 ・恐らく、テル様は僕と同じように召喚された異世界人だ。もしかしたら、名前に『照』という漢字がある日本人かもしれない。僕の想像で、根拠はほとんどない。でも、エディ君から伝え聞いたテル様の言動や倫理観は、どことなく日本人の特徴を思わせる。それに、いきなり異世界人を天使という非常に特殊な存在として召喚する前に、別の誰かを天使よりは一般的な勇者として召喚していた、と考えると色々と納得がいく。女神様は――




  ◆◆◆




 6月19日、カイア日(赤の日)。


 想像以上の激戦が続いたためか、エディ君が悪夢でうなされてしまった。直近の戦いで僕に庇われたことと、それで僕が手足を失ったことを相当気にしていたようだ。臨時で休暇を取る。

 可能な限り、流血は避けなければ。僕が傷付けばエディ君も傷付く。


 リューダさんが宣言通りに黄金級に昇格した。ドーウィ森林最古層に棲息するレベル8のクリムゾンマッシュルームを単独撃破したことで昇格条件を満たしたという。そして早速、エディ君の経験と気晴らしも兼ねて古木層でのハントを提案された。狙いはレベル6のクロールドラゴン。ドラゴン種としては最下級だが、高級マナ結晶に必要な竜髄魔石を持っている。

 残念ながらカサンドラさんは同行できないが、代わりに僕たちが鉄板ハンターになったらオオイル山でホーンボアを狩って、その回収をカサンドラさんが率いるキャリアー隊に任せるという約束をした。通りすがりのゼータさんによると、テイガンドでは鉄板ハンターの初仕事は『イノシシマラソン』と相場が決まっているそうだ。記録更新期待してるぜ、と去り際に軽口を叩いてプレッシャーをかけてくるのは本当にゼータさんらしい。


 ちなみにハンターギルド支部長は、同格ハンターがいる場合は経験年数の多い方が務める。だからゼータさんが物凄く恨めしい表情をしていた。ちょっと可哀そうだと思った。ちょっとだけ。

 また、リリアさんの友人『フーちゃん』さんが7月頭には到着するとのこと。期待しててね、と上機嫌なリリアさん。期待しよう。




  ◆◆◆




 6月22日、エシス日(緑の日)。

 第14回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力53116

 ・エディンデル8673、アキラ16443 小計25116

 ・マナ結晶 二等級1500×6、一等級7000×1 小計16000

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数約6712

 ・兵士級2636

 ・戦士級3637

 ・騎士級264 ※全5個中隊(4個小隊~6個小隊)、交戦順に55体、39体、77体、48体、45体。中隊編成平均52.8体。

 ・楽士級175


 撃破累計43913

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級 20

 ・中層部17626 兵士級 6829、戦士級 9436、騎士級 810、楽士級551

 ・小計 43913 兵士級23498、戦士級17774、騎士級2070、楽士級571

 

 復活後キャパシティ

 ・エディンデル10531、アキラ19902


 備考・分析

 ・三等級ネクタル水2個、二等級ネクタル水2個購入。それぞれ1個ずつ所持。


 ・聖術の練度は順当に向上し続けている。キャパシティも天井知らず。光の加護による時間加速は再び1.5倍に到達。


 ・一閃に必要な精神統一は約2.4秒まで短縮(エディ君視点では3.6秒)。

 発動可能出力は51~63エルネ、発動可能射程は483~568メートル。


 ・騎士級1個中隊55体を約1900エルネ、1個中隊39体を約1300エルネ、3個中隊170体を約8400エルネで撃破。

 騎士級一体につき約35、33、49エルネ消費。


 ・第一波の騎士級中隊55体を速攻で殲滅することに成功し、続く第二波39体も比較的軽い消耗で撃破。しかし第三波の77体の撃破に手間取り、第四波48体、第五波45体が左右側面から乱入。結局大規模な乱戦となり、楽士級や戦士級の処理も滞って大量の魔力を消費する結果となった。騎士級中隊の構成が60体以上に上振れした場合、現戦力では乱戦に陥る前に撃破することは困難。


 ・乱戦時、騎士級のレーザーとミサイル、戦士級の弾丸と砲弾が入り乱れた飽和攻撃を掻い潜る手段がなく、前回同様に多数被弾。再びエディ君を庇って顔面と胸部を損傷した。二等級ネクタル水では四肢や耳等の欠損は完全修復できないものの、苦痛の緩和と止血効果は十分で戦闘続行に問題はなかった。しかしエディ君の精神的ダメージが大きく、自責傾向が強まってしまった。女の子は顔が命。今後は本当に気を付けよう。

 丸一日かけて、たくさん謝ってたくさん慰めた。多分大丈夫だろう。


 ・それでも、予想していたよりは精神状態が早く落ち着いていたのは、2度目の高レベルハントがいい息抜きになったからだろう。リリアさん、リーダさん夫妻(事実上!)には足を向けて眠れない。

 エディ君と協力し、聖剣と加護を解禁して全力でクロールドラゴン2体と戦い、およそ1500エルネで撃破。クロールドラゴンは地上を這う下位ドラゴンで、言葉を発する程の高い知能は有していないため龍族ではない。しかしそれでも6レベルモンスターとの初戦闘という事もあり予想以上に苦戦した。またエディ君によると、聖術は陰魔に対して非常に強力な効果を発揮する一方、普通の魔物に対しては特別な効果はなく魔術と同等になるという。

 レベル6モンスターを一撃で倒すには、最大出力700エルネが必要。かなり強くなった僕達でも、聖剣最大出力と加護最大出力を合わせた全力全開聖剣は438エルネが限界。

 まだまだ修行不足です、とどちらのドラゴンも二撃で首を刎ねたエディ君が達成感に満ちたような朗らかな表情で話していた(予想以上にドラゴンの攻撃が重くて結界を突破されそうで、僕は内心ひやひやしていた)。




  ◆◆◆




 6月26日、カイア日(赤の日)。

 第15回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力58438

 ・エディンデル10533、アキラ19905 小計30438

 ・マナ結晶 二等級1500×6、一等級7000×1 小計16000

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数8065

 ・兵士級3346

 ・戦士級4281

 ・騎士級277 ※全5個中隊(4個小隊~6個小隊)、交戦順に89体、66体、41体、44体、37体。中隊編成平均69.25体。

 ・楽士級161


 撃破累計51978/78000 

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級 20

 ・中層部25691 兵士級10175、戦士級13717、騎士級1087、楽士級712

 ・小計 51978 兵士級26844、戦士級22055、騎士級2347、楽士級732


 復活後キャパシティ

 ・エディンデル12511、アキラ23609


 備考・分析

 ・三等級ネクタル水2個、二等級ネクタル水2個購入。それぞれ1個ずつ所持。


 ・騎士級3個中隊196体を約10000エルネ、2個中隊81体を3300エルネで撃破。

 騎士級一体につき約51、41エルネ消費。


 ・戦闘面で劇的な改善はないものの、エディ君の魔力が1万、僕が2万を突破。成長速度に陰りはみられない。やはり限界のない成長こそが勇者と天使の強みなのだろう。歩みを止めなければいつか必ず魔王にすら届く。そう信じよう。


 ・撃破ペースは順当であり、敵残数は三分の一強。中層部の敵勢力は残り僅か。次回、中層部の掃討が完了した後にそのまま深層部へ侵入する予定。


 ・リリアさんが開発している専用マジックアイテムをプレゼンテーションしてくれた。

 一つは僕専用のマナ結晶。一等級で7000エルネを充填できるところを、特級とも言える新しいマナ結晶では数万の魔力を超高速で回復できるようになるらしい。ほんの少し僕の髪の毛があれば開発成功率100%になるらしく、快く提供した。

 一つは使い捨ての時間加速装置。時間加速効果は光の加護にあるが、このアイテムは僕にも使えるというのが大きい。時間を加速できれば、それだけエディ君への魔力供給速度やマナ結晶使用時の魔力回復速度が増加し、ボトルネックが解消されてエディ君がもっと全力を出せるようになる。時間加速効果を器物に搭載するのは流石リリアさんでもかなり難しく、開発成功率は50パーセントを切っている。しかし時空魔術に精通しているフーちゃん先生が協力してくれたら100%になるらしい。フーちゃん先生…!


 ・復活の神殿でもう一度だけ『光の神域』を試行。懸念していた通り、花が咲いた時点で中断が不可能となり、命を失うまで強制的に魔力を失い続けた。今まで通り、ラストアタック兼安楽死用の魔法としては有効。

 復活後、解凍された記憶には『神域辺境への連続渡航は危険。ギラー爆撃まで使用禁止。ザハー復活は最短で61年後。御家族は無事。帰省推奨。※※ギラーとは疎通可能※※』とあった。自分自身を信じるのなら深海の魔王復活は61年後以降で確定だ。残り18年ではないのは、自爆と復活のサイクルを前提にしたベゼーとは役割も機能の複雑さも大きさも異なっているからだろう。

 そして、エディ君の御家族のこと。帰省推奨という言葉をそのままエディ君に伝えた時の一際神妙な表情が印象深かった。本当に、複雑な気持ちなんだと思う。

 

 ※※エディ君には全てを伝えている。確かにあれが言葉通り『龍』であるなら、確かに知性を有していてもおかしくはない…。真実を解き明かすには、あのドラゴンとコミュニケーションを取る必要がある。…本気で?『交渉可能』ではなく『疎通可能』という文言からしてあれだ。不可能ではないというだけで、真正面から話をしに行っても、問答無用で殺される予感がひしひしと…。

 



  ◆◆◆




 6月29日、エシス日(緑の日)。

 第16回ウィバク黄昏領域解放戦。


 消費魔力64123

 ・エディンデル12512、アキラ23611 小計36123

 ・マナ結晶 二等級1500×6、一等級7000×1 小計16000

 ・純白の宝珠 6000×1 小計6000

 ・聖者の守護印 3000×2 小計6000


 撃破数1271 ※黄昏領域表層部での掃討を完了。中層部に侵入。

 ・兵士級406

   中層部237、深層部169

 ・戦士級358

   中層部183、深層部175

 ・騎士級413

   中層部94、深層部319

 ・楽士級94

   中層部56、深層部38

 ※深層部で神官級呪詛体3体と遭遇。撃破ならず。


 撃破累計53249/78000 

 ・表層部26287 兵士級16669、戦士級 8338、騎士級1260、楽士級 20

 ・中層部26261 兵士級10412、戦士級13900、騎士級1181、楽士級768

 ・深層部  701 兵士級  169、戦士級  175、騎士級 319、楽士級 38

 ・小計 53249 兵士級27250、戦士級22413、騎士級2760、楽士級826


 復活後キャパシティ

 ・エディンデル13234、アキラ24904


 備考・分析

 ・中層部にて、騎士級1個中隊44体を約1500エルネ、1個中隊50体を約1700エルネで撃破。

 騎士級一体につき約33、34エルネ消費。


 ・深層部にて、騎士級1個大隊254体を約25000エルネで撃破。また、2個大隊約800体の内65体を約6500エルネで撃破。

 騎士級一体につき約98エルネ前後を消費。


 ・深層部に侵入した直後、大隊規模の騎士級と遭遇。今回遭遇した順に、4個中隊254体、5個中隊383体、6個中隊477体。推定される編成規模は4個中隊~6個中隊、予想される編成数は144(36体×4個中隊)~540体(90体×6個中隊)。

 第一波の大隊は2万以上の魔力を消費して殲滅に成功するものの、その直後に左右から第二波、第三波の大隊が挟撃された。


 ・楽士級が深層部地下に多数存在し、騎士級への増強効果が常に限界まで達している。増幅体8体と障壁体8体ずつから効果を受け、戦闘能力が素の3倍に上昇(楽士級4体から効果を受けていた中層部と比較した場合は1.5倍)。レーザー最大射程は900メートル、ミサイル初弾は3キロメートル以上。

 中層部で通用した効率重視の戦い方では物量に圧殺される恐れがあったため、エディ君がほぼ常に最大出力、最大射程で広範囲攻撃を多用。結果、魔力を使い切るまで生存できたものの、騎士級一体ごとの魔力消費が中層部の約3倍まで増加した。


 ・深層部では、楽士級撃破は中層部より更に困難を極める。騎士級の大群との攻防が絶え間なく続き、一閃を放つための精神集中に必要な2秒強の時間すら捻出が難しい。不可能ではないが、結果としては38体のみの撃破に留まった。

 確認できた楽士級は600体以上。


 ・騎士級大隊254体との戦闘中、深層部の更に奥地へと押し込まれ、神官級3体と順次交戦を強いられた。

 フォルムは蜘蛛のような八本脚の脚部に巨大な漆黒の球体が搭載された姿。

 一体目の球体の直径は4.5メートル、全高は9.9メートルあり、全長15.3メートルの巨大な暗黒の長剣を生成し、撃ち出すという攻撃方法を有していた。楽士級増幅体、障壁体の効果を限界の32体分まで受けており、攻撃力も耐久力も極めて高い。攻撃射程も長大で、天網絵図の索敵範囲外から一方的に攻撃された。推定射程距離4.5キロメートル。距離を取れば回避は不可能ではないが、刃が掠っただけで光の結界がほぼ全壊する威力。


 ・二体目は球体直径6.6メートル。灰色の砂漠を水や粘土のように流動させ、遠隔操作する能力を持つ。神官級を中心とした半径約3.5キロメートルもの強烈な砂嵐は視界を奪い、結界を持続的に削り続けた。地中の楽士級は砂嵐の中を飛び回る固くしなやかな砂の触手内に保護され、より広範囲に増強効果を振り撒いていた。


 ・三体目は球体直径3.1メートル。比較的小型だが、支配下にある陰魔を楽士級以上に増強し、自在に操作する能力を持っている。多数の兵士級、戦士級、騎士級大隊第三波477体の全てを集め、陰魔数千体から成る巨大な大蛇のような集合体を形成した。深層部で撃破した兵士級、戦士級は全てこの大蛇の一部。集合体の一部となった騎士級の撃破は僅か6体に留まる。魔力枯渇直前に光の花を使用し、大蛇の心臓部に位置する神官級へと攻撃を試みるも、黒剣や砂の波濤、大蛇の首に阻まれ撃破ならず。


 ・神官級は呪詛体という統一された名称を持つが、遭遇した神官級を順に黒剣体(正面)、流砂体(右側面)、蛇心体(左側面)と独自に命名。

 各神官級の胴体部分には白く光る縄が巻き付いており、それぞれが神官級出現地点付近に立つ巨大な円柱と繋がっている。円柱は天盤結界の天盤部分にまで届いており、神官級1体につき1本、黄昏領域中心部を囲むように配置されている。

 約129度の内角から、恐らくは正七角形であり、最深部に存在する神官級は7体と思われる。縄の長さは全て150メートル程度で、神官級は行動範囲を著しく制限されている。

 円柱間距離は約2.7キロメートル。神官級の攻撃射程が最大で3~4キロメートル程度であれば、同時に交戦する神官級は多くとも3体までに絞られる。


 ・深層部での交戦順は、騎士級大隊第一波254体→神官級黒剣体(正面)→騎士級大隊第二波383体→神官級流砂体(右側面)→騎士級大隊第一波殲滅完了→兵士級約2200体、戦士級約2200体、騎士級大隊第三波477体、神官級蛇心体(左側面)→大蛇型巨大集合体。

 大隊第一波殲滅から敗死までに、兵士級169体、戦士級175体、騎士級65体、楽士級38体を撃破。


 ・深層部では標高150~350メートルもの巨大な砂丘が渦を描くように連なっている。更に、神官級流砂体の周囲では砂嵐と共に地形が目まぐるしく変化していく。

 

 ・現時点で神官級撃破は極めて困難。

 騎士級大隊攻略に主眼を置き、神官級との交戦を避けるように立ち回るべきか。










 

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