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なろうラジオ大賞用 超短編集

スローライフな人生をおくりたいのに世界を救う勇者にされてしまいました。

作者: 風柳

私は勇者、らしい。

らしいというのは、どういう訳なのかというと、私の故郷の町で祀られていた剣を私が引っこ抜いてしまったからだ。

なんでもその剣というのは勇者の資質のある者にしか抜けないのだという。

だから、私は勇者になった。

というか、勇者にさせられた。


そして私は今何をしているかというと。

実家で暢気にポテチを食って過ごしている。

だって魔王って何十年も前に先代の勇者に倒されちゃってるんだもの。

私は何もしなくても良いよね。


朝。

まず目を覚ますと、二度寝をする。

これが気持ち良いんだなぁ、二度寝って。


昼。

太陽が真上に登る頃、ベッドから私はもそもそと這い出す。

ボサボサの金髪を気持ち程度に撫でつけて部屋着に着替え、目玉焼きを乗せたパンを胃袋におさめる。

そして書庫から本を一冊引っ張り出してきておやつをテーブルに置き、ソファにゴロン。

私は平和を享受しながら一日を過ごす。


夜。

本を一冊読み終わる頃にお母さんが呼ぶ声が聞こえる。

夕食のお時間だ。

今日も一日何もない幸せな一日だったなぁ。

そう思いながらふかふかのベッドで眠りにつく。


これが現代の勇者の一日だ。

修行や戦闘に明け暮れる日々なんて古い古い。

現代の勇者の一日はスローライフ。

これだね。


しかしそんな日々は脆くも崩れ去った。

魔王の復活によって。


魔王が復活した。

その事実に世界は激震した。

けれども人類は私という勇者の存在を知る。


やーめーてー。

私は家でゴロゴロしてたいのおおおおお。

魔王なんて他の人が退治してくれるってば。

だって私は何の取り柄もない女の子だよ?

家で本読みながらポテチ食べてることに幸せを感じるような女の子だよ?

そんな女の子に魔王退治なんて、むーーーーりーーーーー!!!


お母さんは言う。



「あなたは勇者なんだから魔王倒してこなくちゃ」



いやいや、無理です。無理ですってば。


お父さんは言う。



「おまえは勇者なんだからしっかりしなさい」



私何のスキルももってないんだけどどないせいと?


どこからか訪ねてきた爺さんは言う。



「お前やる気あんの?お前がやる気ないと張り合いないんじゃが」



そんなんしるか、ボケェーーーーー。



私はスローライフに生きたいんだ。

勇者なんてクソくらえ。

そんな権利のしつけて返上してやる。


だから私は今日もポテチをむさぼり本を読む。

し・あ・わ・せ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすいなー文章がうまいんだと思います? 復活した魔王にポテチを投げつけたら口に入って、その美味しさでゴロにゃんみたいにマタタビ効果を発揮したら面白いと思います [一言] ぼくにも感想…
2019/07/12 07:56 退会済み
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