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《21》世界の興亡が俺の一存になったんだが?!

皆さんこんにちは!

当作品を開いていただきありがとうございます!!


やっとこの世界の構成要素②が出てきましたー。あー、長かった。


「え?は?」


 全く理解はできないが、どうやら俺は殺されるらしい。何か悪いことをしたか?


「その反応も無理はなかろう。」


 時間神が口を開いた。


(ぬし)に使った転生権というのはわしら神々の失態によって出来てしまった被害者に対しての補償の物として最近作り上げたものだ。主に儂と時間神と創世神の合わせ業で、異世界に連れて行きそこで別の人生、あるいはあるべき時間を過ごしてもらおうというものだった。」

「それをどの世界線でもあるゲームと同じ要領で作り上げたのじゃ。結果はご覧の通り、ひとまずは完成したのじゃ。」

「そして(ぬし)には「てすたー?」とやらになってもらって「べーたばん?」というのをやってもらおうと思って観測していたのじゃ。」


 創世神の後にたどたどしい横文字で空間神が続いた。


「しかしのぅ、(ぬし)という存在は、要は一つの世界に二つの存在が重なり合った状態で存在していることになるわけじゃ。気づいておろう。日本で生きていた記憶、大和で生きておる記憶。両方あることに。」

「ええ、活用させていただいてます。」


 なにか悪かったのだろうか?


「それがいけなかった。一つの体に一つの魂が原則なのに、一つの体に二つの魂があるという状態になっている訳だ。すると当然、なにか歪みが生まれるんだ。」


 運命神がなにやら裏の意味がありげにいった。


「おかげさまであっちこっちでおかしな事が起きておろ?」

「おかしなこととは?」

「時間が動かないとかー、空間がゆがむー、とかだねー!」

「そういえば寝て起きたのに時間が進んでいないことがありました。昨日は雀が分身してました。」

「それも一つじゃな。雀は空間がゆがんで同一の存在が複数存在してしまったのじゃな。」


 ということはつまり…。


「「バグ。」」


 生命神と同じタイミングで同じ事を言った。ほかの神様もうなずいていた。間違いない。神々はどこか神妙な面持ちをしている。


 バグ、データを作ったとしてもその間にある抜け穴、誤作動の要因。データを葉っぱにたとえてそこに開いた穴、虫食い、あるいはその虫という意味でつけられた。


「さらに世界を一枚の布に例えるなら、あちこちに虫食いが出来て、そこから「その世界ならざるもの」が入り込もうとしているんだ。」

「「その世界ならざるもの」たちはその世界の住民に触れると住民たちを消失させてしまったりするのです。虫食いが虫食いの穴を広げてしまう訳ですね。つまり、バグがバグを呼んでしまうのですよ。」

「そんなことが続けばー、世界がめちゃくちゃになっちゃうよね…。」


 時間神、維持神、破壊神がかわるがわる説明してくれた。


「根本を辿れば、君という人間が存在することがバグなんだ。だから全ての原因の君を殺す。」


 (いち)よりも全を優先した考え方。それは限りなく正しく、神がすべき仕事だ。認めるしかなくてどこまでも気持ちは沈んでいく。


「そう…ですか…。」


 今度は杏果との約束一つも果たせずに死ぬのか。親不孝にして約束も守れないクズ人間で人生終了…。なにも恩も返さずただ他人に迷惑をかけて死んでいく。虚しいな。みんな、ごめんよ。


「照史よ…。沈む気持ちはわかる。だから武神のワシが来ておる。ワシらのテスターにした挙句、無理だからといって殺す。そんな横暴があって言い訳がない。」


 静々と武神が語った。


「えっ?」

「すこし険しい道にはなろう。いや、かなりだ。」

「あたしもいるんだから!!」

「そうだね。ここら辺から本領発揮だ。」

「ここからは神様の「ばっくあっぷ?」なるものを大量に使って(ぬし)を生かそうという話し合いじゃ!受けるかは自由じゃがな!」


 神様達が自信に満ちた顔を向けている。少しだけ希望が持てた。


「要はその「その世界ならざるもの」を全て殺すのだ。誰か被害が出る前にな。」

「当然世界の保護は私たちもやるわ。それでも優先もあるし、防ぎきれなかったものを貴方が処分する。」

「君を生かすにはもうこの道しかない。どうだ?やってみてくれないか?」

「戦う時には都合上、時間を止めたりするので(ぬし)の活躍は誰にも知られず、誰にも褒められず、その事実を言ったところで笑われるし、命をかけることにはなるぞ。」

「さらに言えばその双肩に世界の命運を文字通り背負ってもらう。逃げることは許されなくもなる。」


 その提案は果てしなく、辛く、理解されない長い長い戦闘の開始を意味していた。それをする覚悟をいきなりあるかと言われれば当然ない。むしろこのまま殺された方が世界は守られるのかもしれない。しかし、「じゃあ死にます」なんてのも怖くて言えない。


「……。」


 生命神が目を据えてこちらをみてきた。俺が悩んでいることを見抜いたのだろう。


「…踏ん切りがつかないようだね。無理もない、自分が原因で世界を危機に晒しているし、戻ったとしても戦場送りだ。そうだねぇ「やってみてくれないか」と言った言葉の意味を明かそう。」

「どういうことですか?」

「さっきも言った通り、あの世界はベータ版だ。つまり神々の権能の試験場でもある。他の世界で試験すれば生態系に影響をだしかねないがあの世界は別だ。一から設置しておける訳だからね。そんな試験場が襲われたら…。」

「試験をしている訳にはいかない。」


 生命神が頷いた。


「そんなことにはしたくないからね。僕らは対策を始めなくてはならない。だが、おそらくは無理だろう。なにせ相手は未知のもの、対策の仕方を模索して今やっとハリボテのような策が出来上がったんだ。それに、向こうの世界に直接影響を与えるのは好ましくない。天災になってしまうからね。だから直接戦ってくれるその世界の住民がいるし、そんなのがいれば戦況は簡単にひっくり返る。」


 なるほど、たしかに現地で戦える味方がいるのは大きな強みだ。そのための俺というわけか。神々としては世界を保護する策が出来上がるまでの時間稼ぎができれば十分だしな。


「もし君が受けてくれないというなら君を即座に送り返して時間稼ぎ程度の対策をするしかない。別に引き受けてくれる人を見つけなくてはならないからね、それもごく短い時間でだ。途中からは防戦一方、仕事を放り出して取り掛かることになるだろう。生命神の僕がそうなったら死んだ人間の魂は…。」

「その世界を漂い続ける、と。」


 笑顔で頷いて「理解がいいね」と生命神が褒めてくれた。


「そうなったら君には自分がこの申し出を断ったことで起きてしまった世界の終末を見届けてもらうことになる。手も足もないまま、君の死を悼んでいた大切な友人や家族が敵に殺される姿や、崩れていく世界を見届けてもらうことになる。」

「それだと僕が真っ先に死んでいることになりませんか?」

「君がいたことで引き起こされている現状だ、君が狙われないことがない。」

「なら、今すぐ俺が殺されればすべてが収まりませんか?」

「虫食いというたとえは最適だ。もうすでに虫がとりついてるんだからね。今君を殺したところで遅くはなるだろうが侵食は続くし、いつ加速するかわからない。」

「なるほど…。」


 今更俺をどうこうして収まることではなくなったということか。さっきの俺を殺す案はあくまで遅延を生むための策ということだ。


「脅しですか?」

「そうだね。こっちは現地で戦ってくれる人間が欲しいしそんな人材はそんなにいない。正直、君をいまあの世に連れて行けば世界の終末は見せずに済むけど…だからこれは脅しだね。」


 そんな物騒なことを宣う生命神の顔は不敵な笑顔と「どうだ、覚悟は決まったか?」と言わんばかり力強い目をしていた。脅しと言いながら、俺のことを激励してくれていたのだ。


 わかったよ、神様。仕方ない!そんな終末を見届けたくはないし、何より誰も悲しませたくはない!!


「やります!やらせてください!!」


 声を大にして宣誓した。それが自分の敗北一つも許されない、「負ければ世界を滅ぼす」というバッドエンドを一つ開拓することになったとしても構わないと思った。


「よく言った!武神のワシがお前に加護をやろう!」

「言いおったわ!やっぱり()の子じゃな!」


 神々は沸き立った。自分の覚悟が誰かを昂らせることがこんなにも気持ちいいことだとは知らなかった。


「そうと決まれば時間がないのは事実だ。早速だが、これをもて。」


 武神はそういって一つの紅白の糸で縛られた木箱を差し出した。礼を言って開いてみると中から掌サイズの透ける濃いワインレッドの禍々しい渦巻き状の何かが出てきた。


「それは神器。武神の武の力、破壊神の破壊の力、運命神の運命操作の力、生命神の死の力を受けて出来ておる。そこに時間神の時間停止、空間神の空間断絶の力を織り込んであり、自動で発動するようになっておる。それを手の甲に置けば魂そのものに神器を取り込み剣製をすることができるようになる。しかし、一度取り込めば二度と外せぬし、体には負荷を掛けることとなる。激痛が走るぞ、覚悟してとりつけよ。」


 覚悟しろとは言われたがもはや迷うことはなかった。右の手の甲に押し付けた。すると皮膚を割いて神器は体にめり込んだ。


「ぐぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっっっ!!!」


 腕から電撃とも熱い鉄を押し付けられるとも似た激痛が走り始める。喉の声帯がはち切れんばかりに獣のようにさけぶ。神器がみるみると体に入り込んで侵食してくる。


 熱い!熱い!熱い!痛い痛い痛い!!!焼ける!骨が!折れる!!骨!!関節が!!ひしやげる!!何かが!体の!!中を!走ってる!!!!全身にぃぃぃ!!ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!痛い!!!!!な、なんだ!?へんな力が!!体の外に?!ぐぁぁ!!腕がぁ!!肩がっ!背骨が!!暴走するなぁ!割れる!体がっ!!肋骨がっ!内臓が!ちぎれるぅぅ!!!やめろぉ!!!!!やめろぉ!!!!!!!!!!!!ひっこめぇぇぇぇぇぇえぇぇえええええええええ!!!


「あああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!言うことをっ!!きけぇぇぇぇぇぇええええ!!!!!」


 無理矢理外に出ようとする力を抑え込んで体の型に押し込む。一際大きな激痛の波がきて意識が飛びそうになったが、それを最後に痛みは治まった。


「あぁ…。あー。抑え込んだぁ…。」


 精神疲れをしてぐったりと仰向けに倒れこんだ。しかしすぐに関節の全可動領域に指示をだし、ギギギッと壊れかけのブリキ人形のようになんとか立ち上がり神々の方を見渡す。少し苦い顔した。


「むう。やはり人間のままではいられなかったか。」

「えっ?」

「仕方あるまい。神器は一神の力でつくられなおかつ選ばれたものしか使えん。まして6つなのだ。どれほど注意しても限度があろう。」

「えっ?」


 無言だった維持神が後ろを持っていた扇子でさした。振り返るとさっきの巫女さんが全身が映る鏡を持ち込んでくれた。


 写った自分自身は輪郭こそは変わらなかったが、右目が白目黒目が逆転し、炎が燃える様を写したような黒い刺青のようなものが右手や左ほほなど全身のところどころに走っていた。


「さしずめ禍神か厄神かのぅ。人間という程度の低い器にいろんな神の力が混ざって統一性がなくなっとるわ。普通だったらすでに浄化案件じゃが、見たところ変な気も起こしてないからよかろう。見てくれだけ悪くなったってことじゃな。」

「いやー、でもこれあれだね。アタシんだわ、その炎の紋様は。アタシのところの下級だね。こっちで預かるわー。」

「そうかい。ならそうして欲しい。」

「あのぅ、僕は一体。」


 周りが俺の知らない領域の話をしている。なんとなくわかったのは俺が破壊神に預けられるということだ。


「照史。お前はいま神器をその身に宿したのだが、本来神器というのは一つの神が一つ作り、持つべき器の者に渡すのだ。しかしお前のは6神の神器だった上に器がなかったのでな、人性が半分欠落して神器性になってしまった。人間にして式神と言ったところだ。特に問題はない、神器を閉じれば人間に戻る。その状態のお前は「その世界ならざるもの」と戦うときに出せば良い。さらにそのときには時間が止まるようになっているから誰にも見られん。」


 なんとなーくわかった。要するにすこし人間じゃなくなったってことだろう。元が死人で魂を移し替えされたような人間だから今更何になったって驚くことはなかった。


「それとちょっとこっちにくるのじゃ。転生した時の記憶を「でりーと」しなくてはならないのじゃ。すまないが「藤堂照史」としての記憶は消させてもらうのじゃ!それでやってようやく間に合うかなのじゃ。」


 えー!便利だったのになぁ…。でもそう言われちゃあ仕方ない。


「それ大丈夫ですかね?」


 主に向こうに戻ってからの記憶が。明日から菜穂が来ても「お前誰?」とか冗談でも笑えない。


「必要な分は基本でーたとして残しておくのじゃ。ただし、過去にどんなことをしていたかは思い出せなくなるのじゃ!忘れたで嘘をつき通せ!」


 適当だなぁ。でもそこまでしてギリギリなら今までよく耐えてたな。一週間で招集されるのも分かる気がする。


「す、すこしかがんでたもれっ…!届かんのじゃっ…!」


 頑張って可愛らしく背伸びしていても耳くらいまでしか手が届いていなかった。空間神の前でひざまづく。


 そういえばなんで空間神なんだ?記憶神とかいそうなものだけど。まぁいいや。


 そのまま空間神は二匹の管狐を使ってなにやら祝詞のような呪文を唱えている。


「印!!」


 その一言でほとんどの記憶が抜け落ちた。たしかにみんなの名前やプロフィールは残っていても、10年前なにをしていたか聞かれたら柳原としては思い出せても藤堂としては思い出せなくなっていた。それでもデータとしてどこどこに行ったという記憶はある。まるで写真を文字で表現された感じだ。しかし、それでもデータとしては残っているのだおそらくここに来て早速見つけた《自我の消失エンド》は健在だろう。


「それでは次はワシだな。ある程度戦闘できる力は持たせなくてはな。今のお前では武器を持っているだけの童にしか過ぎぬ。」


 そう言って今度は武神が懐から短刀を取り出して頭の上で振り出した。そして同じように呪文を唱えた。


「喝っ!!」


 頭に触れられた。それと同時に感覚がすこし鋭くなった気がする。立ち上がるときにいつもよりも軽い力でひょいと体が持ち上がった。


「さて、ひとまずこれで完成だね。照史くん、庭に行って試してくるといい、調整がいるかもしれないからね。つれていくよ。」

ここまでご一読いただきありがとうございます!

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