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《1》転生先での世界はもうすでに何かおかしいんだか?!

はじめまして!九十九夜幻璃と申します。私の新たな可能性を発掘してみようと思い切って投稿してみます。ぜひ皆様から温かい声援をお受けして邁進してまいります。ぜひ応援してください!

それではよろしくお願いします。


第一大規模改稿 2019 4/29

旧三話をインパクト重視のために1話に持ってきました。読者の皆様ごめんなさい。

 白く光った世界がまるでモヤを晴らすように見通しが良くなり始めた。


「頭が、痛い…!脳が焼き切れそうだ…っ!」


 記憶や必要事項を書き込んでいるようだ。自分の立場や家族構成。日々の成長から主人公としての記憶などがいっぺんに刻み込まれる。

 そして、部屋が完全に見渡せるようになった時にはその頭痛も余韻(よいん)を残すところのみとなっていた。


「ここが俺の部屋なのかな。」


 家を出て一人暮らしをしている。アパートは2階建のものだ。シックでモノトーンな家具が多く、性格によくあう。趣味嗜好(しゅみしこう)は引き継がれているようだ。ようだ、というのはいかんせん記憶が上書き状態なのでどうにも自分と同じようで他人のようなすこし複雑な感覚がしている。


「さて、初日は如何(いかが)して生きよう。今日は…土曜日か。」


 この世界に慣れるために2日程時間をくれたというところだろう。親切設計、さすが売り物。死んだ後のアフターケアはなさそうだけど。

 とりあえず、冷蔵庫を開ける、すっからかんだった。俺が入るまで主人公はなにを食ってたんだろうか。


「不親切なゲームでもポーチには回復薬が入ってるものだがなぁ…」


  変なところがカバーされてない。資金に関しては実家?から仕送りがある上にバイトが入っているようなので事足りるだろう。財布もスマホも記憶からたどって拾い上げ、記憶のままに街に出ることにした。服装は適当にタンスを(あさ)って着あわせ、シャワーを浴びて身なりを整える。


 ドアを出て鍵をかけ、駐輪場の真新しい自転車を慣れぬままに漕ぐ。設定上4月中旬の心地よい春の陽気を切り裂いて風をまとって走る。川の流れに並走し、桜のトンネルを潜り、鳥たちを驚かせながらペダルを踏み込む。転生に違和感を感じさせない刷り込み記憶のおかげで来たことがなくても場所わかるというのは、どうにもデジャヴを連続しているようで気持ちが悪い。


「ミニマップでも視界の右端にあってくれたら気が楽なんだけどなぁ……。」


 そんなことをつぶやきながら、程なくして目的地のカトーヨーカドーに着く。転生前の日本国によく似ている、この南北に弓なりの島国、大和國(やまとこく)の52の都道府県なかの半島型都市の一つ、神扇県(かんぎけん)の中でも最も栄えた四条扇ケ谷(しじょうおうぎがやつ)市の繁華街部で最大規模を誇るショッピングモールの一つだ。なぜか場所は変わっても建物の名称もコンセプトもシステムも死ぬ前と同じようだ。言語に齟齬(そご)は単語レベルの単位で起こらないと思う。ということは靴屋の海老氏(エビシ)マートも書店兼CDレンタルのTATSUYA(タツヤ)もどっか探せば出てきそうだ。


 ひとまず自転車を止め、食品売り場から回る。入ってくる方向が逆だったのか、鮮魚店から始まった売り場は酷く(ひどく)面倒で回り込まねばなるまい。そこまでは考えてなかったぜ。まだこういうところの記憶の定着と利用が甘いなぁ。


 カゴを片手に野菜を適当に選別しながらよりとっていく。ゲーム中は不摂生だが、そうでなければ基本的に共働きの両親に代わって家事をしていたのは俺だ。この程度のことはよくやる。


「カトーヨーカドーの中身も変わらないっと。」


 カトーヨーカドーの食品はどれも鮮度が高く、無農薬にこだわる。お陰で少々値は張るが、時折ナメクジが姿を見せるなどその良品さは、たとえ値段を天秤(てんびん)にかけてもここを取るに足るクオリティをしている。周りの人もそれくらいは覚悟の上だろうよ。


 自転車で来ているので積むものはほどほどにすることを心がけながら選定する。学校帰りの通り道なのでそのついでに買うことが多そう。小分けにして買い物すれば十分。今日明日を凌ぐ程度で結構。


藤堂(とうどう)くん!」


 どこかで女性の声がしてる。さしずめカップルがナメクジでも見つけたんだろう。彼氏の方が「こんなの平気だ」とか格好つけてそうだな。

 鼻で笑いながらワラサのよりぬきをする。死んだ魚とは思えないほどの鮮度管理がなされており、まさに漁師の誇りが見て取れる。


「藤堂くん!!」


 いまだに声がする。藤堂くーん!反応してやってくれー。彼女さんお困りですよー。おっ、こいつは上物だ。買った!刺身と何にしたものか。


「藤堂くんってば!!」


 肩を叩かれた。えっ俺?大急ぎで振り返るとそこには、艶のある漆黒の髪を肩まで下ろし、透き通るような白くてきめ細かい肌で、整っている顔立ちをした人が。すこし厚手のロングスカートに横ストライプのシャツをジーンズジャケットと着合わせ、春らしい恰好をしている。お嬢様然(じょうさまぜん)として高貴ながも清楚系委員長の雰囲気している女性がすこしつり目をしながら立っていた。


 藤堂……藤堂……。なるほど俺はこの世界に転生した時に柳原(やなはら)から藤堂へと名前が変わっている。目の前の女性は…相澤。相澤杏果(あいざわきょうか)だ!便利だな、この転生能力(ちから)


「あー、えっとごめんね?相澤(あいざわ)さん。ぼーとしてた。ワラサが安かったからいいのがないか見繕ってたんだ。」


 当たり障りのない返しをして場をつくろったつもりだが、突然彼女の雰囲気が変わり、漆黒の冷たいオーラを纏い始めた。あるぇ?何かまずいこと言ったか?


「…どうして、どうして下の名前で呼んでくれないの?二人の時はそうよんでってイッタヨネ?」


 見た目や、はっきりとして遠くまで通りそうな澄んだ声からは想像つかない黒洞洞(こくとうとう)とした空気が彼女から発せられ、この場を支配し始めている。


 ヤバい!ヤバい!!なぜか会話が成り立ってない!というより、会話のキャッチボールのボールがすりかわってる?!それに初日から女の子とブッキングする学園もののゲームの中ってまさか、ギャルゲーかよ!

 

驚きを隠せず言葉に詰まった俺に彼女は追撃をかけてきた。


「…ドウシテナニモ言ワナイノ。私ノコト嫌イニナッタノ?違ウヨネ…?」


 真っ直ぐと俺を見つめるその目が死んでる。隣の魚よりも真っ黒。なにこの展開。すでになにかまずいことになってる気がする……。一体どうしてこんなことになっちまってるんだ……。それを語るにはすこし、時間かかるもので。

ここまでお読みいただきありがとうございました!物足りない、こうしたほうがいいなど様々なご意見を頂ければ私めの成長となります。ぜひコメントを残していただければ幸いです!

今後ともよろしくお願いします。

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