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第8話 絶望からの発現

今回も前回と同じキンジsaidと勇者saidです。どうぞお楽しみください。

「さてとレベル上げ、でもどうやるかねぇー」


キンジはいまだ聖堂の中にいた。自分のことを落とした奴らに一泡ふかせようと企んでいて、これからどうやって1人で頑張るか考えているところだった。


「まぁーいつも通り1体になってる時に奇襲で倒すしか方法はないよな」


ずっと1人でやってきたキンジは1人で戦うほうが誰にも気を使わず楽に戦えるという理由でぼっちだったため1人で戦うのは慣れっこだった。


「やりかたは決まったし、行動に移しますか」


大きな聖堂の扉を開き魔物探しに向かうのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~



時同じくして、勇者たち方面もあのケルベロスを倒すためにレベル上げをしていた。


しかしレベル上げをしてもケルベロスには勝てない。みんなで連携をとっていかないと勝てない相手だった。


「中衛は下がって回復!!後衛は中衛の援護をしろ!!」

「「「了解!!」」」


大和をリーダーとして連携をとる。この前の話し合いではギルも中間に入りキンジの分も頑張って、地球に帰ったら埋葬してやろうという結果で丸く?おさまった。


現在勇者たちは48層にいる。ケルベロスよりかは劣るが今の大和たちにはぴったりの相手と戦っている。


ケルベロスよりは大きくないが、スケルトンキングと戦っている。人間のような筋肉や皮膚がない、ただの骨だけだ。心臓部分には魔石があり、強固なあばら骨が守っている。スケルトンは単独で行動することが多いが、集団でいるときには必ずリーダーとなるものがいる。最初の層ぐらいだとリーダー格が周りのスケルトンよりも目立つ武器や防具をしていたりする。が、現在いる48層では、スケルトンキングがでてきてそいつがリーダー格となる。スケルトンキングは、ふつうのスケルトンよりも2倍ぐらい大きい。


模擬戦のように人対人ではなく、少し判断を間違えれば誰かは死ぬ。ケルベロス戦前の団体戦としての練習には申し分なかった。


「まわりのスケルトンを倒しながら前衛の援護をしてくれ後衛!」

「やっているけど量が多くてきついよ」

「しかたない龍也、愛香、天音、ついてきてくれ」

「「「了解」」」

「このままではジリ貧になる。リーダー格を一気に叩く!!」


大和が3人をつれて前に出る。


「前衛は少し下がりながら、邪魔なスケルトンを処理してくれ」


大和の命令により」、スケルトンキングへの道を閉ざすように邪魔をしているスケルトンを倒していく。これにより前に突っ込んでいく4人の道が切り開かれた。


「スケルトンキングをつぶすぞ。うぉぉぉぉぉ」


4人が突っ込んでいく。それを認知したのかスケルトンキングも大きな剣をとりだし振ってきた。それを龍也が『強化』を使用し攻撃を受け流す。


「いまだぜ、大和」

「あぁわかっている。『魔力エンチャント付与ウェポン!』


魔力付与。属性を自分の武器に付ける魔法。武器のまとっている色で属性がわかるようになっている。例えば、火属性を魔力付与すると赤色のオーラを武器にまとい普通の攻撃でも火属性になっているということだ。主に魔物の苦手属性に合わせて魔力付与して攻撃する。普通の攻撃よりもダメージをあたえられるというわけだ。


スケルトンはアンデットの部類に入る魔物。なので光属性に弱い。大和の得意魔法である光属性が一番きく、そのため魔力付与した武器で攻撃する。


「せいやぁぁぁぁ」


スケルトンキングの魔石に向かって一突き。魔物を一撃で倒す方法がいくつかある。魔物の体力を削るのと、魔石を破壊すること。魔石を破壊すると一発で倒せるが魔石自体は残らないのでお金にもならないし、魔石は魔物の心臓部分だ、普通ならさらしたりしない。スケルトンは例外で骨以外何もないのでいつでもさらしている状態である。しかし、魔石は見えていても強固なあばら骨で防がれている。


ガキンッ、と大和の攻撃はあっさり返されてしまう。


「くそっ、まだたりないのか」

「そんじゃ、二人で行けば問題ないだろ」


ふっそうだな。と答えるように口角を上げる。いつも大和は一人でどうにかしようとする癖があった。ケルベロス戦の時でも四人で攻めに行ったが大和が一人で倒そうとあせってしまう。この前の話し合いでそこを指摘されてなにも言い返せなかった。結果コンビネーションアタックなるものを練習するはめになった。


龍也も『強化』で大剣を強化して、大和と一緒に一気にしとめる準備をする。愛香が龍也からバトンタッチで攻撃お受け流す係になり、天音がスケルトンキングの動作を制限するように魔法で攻撃。愛香がいなしながら隙をつき、スケルトンキングをひるませる。


「今がチャンスよ」


愛香がチャンスを知らせる。それを返答するようにうなずき。


「せいやぁぁぁぁぁぁ」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ」


二人同時に魔石に向かい突きをくりだす。あの強固なあばら骨は二人の攻撃には耐えられず貫通し魔石をバリンと割る。光の粒子となって消えていく。


そのあと、周りのスケルトンを排除して戦闘は終わる。


「その、せいやぁぁぁってどうにかならないの?」

「どうにかってなんでだ?」

「はぁ、なんか恥ずかしいんだよねその言い方」

「?」


愛香の質問に疑問しか出てこない大和。大和からしたらその言い方ははずかしくもなんともないようだった。楽しくその場ひゃ盛り上がっているが、天音はそんな気分にはいまだなれずにいた。



~~~~~~~~~~~~~~~



聖堂から出て30分ぐらいたつ。キンジは魔物を探していた。


地下水でたまってできている湖があった。岩の陰からひょっこり頭をだしてみてみるとヌーらしきものが水を飲んでいた。気づかれないように近づき剣の間合いに入ったところで剣を抜ききろうとしたら、ヌーらしきものがなにかを感じとったかのように急に暴れだした。


「うおっ」


キンジの攻撃を察知したらしく反応したらしい。ばれてしまったら一人では勝てないので逃げようとするが、殺気をむき出しにしながらこっちを見ている。


ブフォブフォ、と言いながらこっちに突進しようとしているのでキンジは必死に逃げた。さっきまでいた岩を障壁にしようと岩の後ろの隠れたがヌーらしきものがこなかった。なぜだと思いながらまたひょっこり頭を出してみると、ヌーらしきものは体をふるわせながら動かずにいた。その姿はなにかにおびえているようだった。


数秒後バサッバサッと音が聞こえてきてそれと同時にヌーらしきものが逃げ出した。キンジの上を大きな影が通った。それは聖堂の扉を少し開いてみたときにヌーらしきものを捕食していた火竜だった。


ヌーらしきものに追いつくと急に降下してきた。そしてその鋭い爪をもった足でひっかくとヌーらしきものが倒れてしまった。火竜の攻撃はまだ続く。口でくわえて持ち上げ地面にたたきつけた。ヌーらしきものは絶命する。


この前は距離があったので見ていることはできた。しかしいま目の前で弱肉強食の世界を目の当たりにし、冷や汗をダラダラと流すキンジ。


(逃げなきゃ、ヤバい、殺される)


逃げようと隠れていた岩から離れようとする。しかし、キンジに不運が襲った。小さな石ころがころころ落ちてしまった。その音に反応する火竜。


グワァァァァ


こっちを向きながら火竜の鳴き声が飛んでくる。必死に逃げるキンジ。


「くそっ、ふざけんな」


聖堂まで走る、走る、走る。ばれた以上隠れても無駄だ。ただ安全な場所に走ることしかできなかった。しかし、あのヌーらしきものが逃げられなかったやつに逃げられるだろうか。否、逃げれるわけがない。普通に追いつかれてしまった。キンジの前に姿を現す火竜。大きく翼を開くと、はためかせた。すると突風が発せられた。突風により吹っ飛ばされるキンジ。


「ぐわっ!!」


体が吹っ飛ばされるほどの風。この風は明らかに魔法によるものだった。


「魔法だと...こいつも変種か!」


吹っ飛ばされた体を起こし立ち上がる。そして剣を鞘から抜く。


「やるしかないのか」


覚悟を決め剣を構える。火竜は口を開いて火の玉をとばしてきた。距離があるので着弾までの時間があるため回避する。走って近づいていき剣に全体重をかけるように斬る。が、ガキンとはじかれた。


「っ!?」


はじかれた反動で隙が生まれてしまう。その隙を火竜は逃がさなかった。前足を上げひっかくような動作してきた。それをバックステップで回避する。


「うっ」


完全に回避したと思ったが、体に痛みが走った。見てみると防具に爪でひっかかれたように三本跡が入っていた。その跡から血がにじみ出ている。経験したことのない痛みに剣を杖代わりにして体を支える。けれども火竜は容赦はしなかった。また、大きく翼を開き突風を発生させる。吹っ飛ばせるキンジ。立ち上がろうとするもさっき受けた傷で立ち上がることができなかった。


火竜が近づいてくる。


ズンッズンッ


(なんでだよ...なんでッこんな目にあわなきゃいけないんだよ)


ズンッズンッ


(僕はただ、平和に暮らしたかっただけなのに...)


ズンッズンッ


(あぁ...もういいや...僕が死んでも誰も悲しまないよね...)


死を覚悟しその時をまつように目を閉じた。


≪誰か...誰か...助けて...誰か...≫


誰かの声が聞こえてきた。その声はどこかで聞いたことのある声だった。


「この声は...アリス様?」


次の瞬間、左腕に壮絶な痛みが走った。火竜がキンジの左腕にかぶりついていたのだ。


「うがぁぁぁぁ、あぁ、あ゛ぁぁぁ」


左腕がとけるような熱い痛みが走る。それはもう壮絶な痛みで絶叫していた。


「ふざ...けるな...こんなところで...こんなところで...」


キンジの心に憎しみが充満していく。


「こんな...ところに...落とした奴も、この世界に...僕を...召喚した奴も...そして...お前も!!」


壮絶な痛みに意識を持っていかれそうだったが、それに耐え右手に握っている剣を火竜の胸部に仕込んだ。これが火事場の馬鹿力なのかさっきはじかれたが、今度はずっぷりと突き刺さった。


グワァァァァ


今度は火竜から悲鳴に似た叫び声が発せられる。


「僕は...僕は...僕は...。いや≪俺≫は!生きる!お前を殺して、この世界からおさらばする!すべては自分のために。邪魔するものは消す!俺に危害を加える奴も消す!こんな世界無くなってしまえ!!」


カチャリとなにかが開くような感じがした。火竜に突き刺さっている剣が奥に進んでいく。するとなにか硬いものにあたった。キンジはそれがなんなのか悟りにやりと口を三日月型にし。


ものすごく冷徹な目で火竜を見ながら一言...


「消えろ」


その言葉と同時に火竜は声を上げずに絶命し、光の粒子となって消えていった。そこには何ものこっていなかった。

次話は四日以内に。今度からキンジの話を中心にやって行きます。勇者saidはちょくちょくでてきたり、閑話をはさむかもしれません。

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