第5話 パーティー
明けましておめでとうございます。年末年始は忙しいので投稿が今日になってしまってすみません。
ギィィィ、ガタン
大きな扉が閉まる。
「おそいぞ、ウィル」
「すまんなこっちも忙しいもので」
「そうだな。それで勇者たちはどうだ」
「順調ですぞ。だが...」
「だが?なんだ?」
「勇者の中にも役ただずがいるようでな、神道金次というものだ、能力値が他のものの格下だ」
「そうか、その1人が消えても構わない」
「そろそろ魔界側も動きがあるようだ、勇者たちをはやく戦場に行かせなくては」
「了解だ」
老人ウィルは城のどこかにある部屋で大臣リチャードと会話していた。リチャードの左右には護衛の騎士が座っている。
右にいるのは金髪イケメンのロニー。アルカデア王国の財政面を担当している貴族だ。騎士団の中でもベスト2の実力者だ。
左にいるのはこの世界での一番大きい国。帝国から派遣されたガルドという騎士。帝国でベスト3の実力者だ。『予知』の能力を持っているアリスの国を監視するために送られてきた。
「その金次とやらを今のうちに潰しておけ。足でまといになるなら消えたほうがましだろう」
「こわいこと言うねーガルドは、でもそのほうがいいんじゃない?」
真顔で平然とひどい発言を発するガルドと、それを微笑みながら同意するロニー。
「そうですな。あなた方がそういうならそうしましょう。消すのは簡単にいくことでしょう。神道様はみなさまから嫌われているようですから、そいつらを使い消すことにしましょう」
「そうかでは頼んだぞ」
「御意に」
深く礼をするとウィルは部屋からでていく。
「魔界側に勝つためだやむを得ない犠牲は必要だ」
「こわいこというのはあなたもかな、大臣」
残った3人は目に怪しい光を宿しながら会話を続けていた。
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アリスが勇者たちの宿を訪問してから少し日がたち。今日も訓練の内容をギルが説明をし始める。
「今日は4人グループになり現時点の到達地49層に行き魔石を20個もって帰ってきてくれ。キャンプまでは俺も行く。では、行くぞ!」
「4人...グループ...だと...」
今日はどうやらグループで訓練をするらしい。キンジはいつも単独で戦闘しているため、コンビネーションがとれない。なので他の3人に任せようと思っていた。しかし、そのあさはかな考えはすぐに打ち砕かれることになった。
テヌミ洞窟の49層のキャンプに到着しみんなが集まる。49層は現時点での最高地下層だ。グループをまだ発表されていない。そろそろギルがパーティーメンバーを決めに来るだろう。そう思っているとギルが集合と号令を出し始めた。
「ではパーティーメンバーを発表する...」
じゅんじゅんに発表されていく、天音グループは仲もいいしコンビネーションもばっちりなのでまず間違いなくここは決定だろう。そして自分の名前が呼ばれる。学校の席替えの時みたいに緊張してくるが、そんなものは一瞬で絶望へと変わった。
「よぉ~よろしくな、雑魚」
「最悪だわ~神道とじゃねーか」
「まじ害児じゃん」
そうキンジのパーティーメンバーは清水グループである、清水、篠崎、岡田になってしまった。この3人とはなりたくないと思っていたが運が悪すぎる。でも最悪1人行動していれば問題ないとおもった。
「転移の羽で他の階層に行って魔石を集められたら意味がない。転移の羽は一旦回収する」
転移の羽が回収されていく。49層で今の装備込みでギリギリ勝てるぐらいだ。この世界では能力値が高い勇者たちでも50層ぐらいになると装備もいろいろ考えなくてはいけなくなってくる。今の初期装備ではここらで限界らしい。まあそれでこそパーティーで頑張れってことだろう。しかしこのメンバーで頑張れるとはキンジもおもってない。
「では制限時間は夕方ぐらい、そうだな4時頃にここのきゃに戻ってきてくれ。20個集められた班から自由行動でいいぞ。では、はじめ!!」
ギルの号令とともに駆け出していく。
「さぁーて俺たちもいくか」
「そーだなー」
「とりあえずみんなで固まるか」
「雑魚は前を歩けよー雑魚なんだから壁ぐらいにはなれるよな?期待してるぜ」
「くっ...」
(なんで僕がこんな目にあわなきゃいけないんだよ、くそっ)
この班を決めたギルに恨みを持ちつつ進んでいく。
そこし進むとみんなが協力しながら戦っていた。天音グループはコンビネーションがばっちりだった。龍也と愛香が前衛に出て魔物の攻撃を弾き中衛の大和が倒す。後衛の天音は全員にバックアップをしている。まさにパーティーで戦うならではの理想の形だ。他の班もそれなりにできている。
それに対してこっちの班はというとバラバラだった。全員がひとりずつバラけているわけではなく清水グループとキンジで3対1になっている。3人は勝手にやっているが、強い魔物が出てきたらキンジにおとりをやらせて倒すというまぁーゲスな方法でやっていた。
ちゃくちゃくと魔石が集まっていく20個なら案外早く終わるかもしれない、今のところ10個ぐらい集まり中間地点まできた。現在休憩時間、清水たち3人はあぐらをかいてガヤガヤ騒いでいるなかキンジは周囲をあるっていることにした。
歩いているとさすがに50層ぐらいに近づくと強い魔物がうようよいる。キンジは今まで1人でやってきたがここらへんの層は1人では通用しないように見える。
(1人ではもうそろそろきついかと感じてきていたけど、ほんとにそうだな...。でも清水たちはないわ~無理だわ~コンビネーションのコの字もないわ!!)
1人で不満をぶちまけながらトボトボひたすら歩く。すると奥に巨大な裂け目が見えてきた。
ヒュォォォ
空気が通る音がしてくる。そして裂け目までくると顔から熱が消え冷えていき蒼白になっていることがわかる。下を見るとなにもない、ただの真っ暗な空間しかない。見渡すと1本の橋がかかっていた。裂け目の向こう側にはもう1個の陸がある。多分そこからが50層ということだろう。
ワァォーーーンワァォーーーン
「っ...」
額から冷や汗が流れる。あっちの陸からは異様な気配を感じる。多分中間地点?には中ボスてきなやつがいるんだろう。
これから1人では勝てない戦いになる。だからパーティーでのコンビネーションとかに気を使わなくてはならない、でも練習しようにも清水たちとは絶対無理とわかっているので次の機会を待とうと思いつつ仕方なく清水たちのところに戻っていった。
「よぉキンジお散歩は楽しかったか?よく死ななかったな、ククク」
「そのまま死んでもよかったのにな~」
(人を馬鹿にして最後にバチが当たるタイプだろ、こいつら)
頬を引きつらせながら額に青筋を浮かべるがこらえるキンジ。
「んじゃ、はやく残り10個集めますか」
休憩が終わり、魔石集めが再開された。
そして魔石集めは以外にも順調に進みあっという間に終了した。そして4時になりキャンプ地に集まる。
「よぉし、全班集まったな。よくやってくれた。今日のこの訓練は試験だった」
「試験?なんの?」
「そうだな...この階層は49層だ。前に調査に出たものが50層には中間地点としてのボス、つまり中ボスがいると報告された。明日そこに行き攻略しようと思う。今夜作戦会議をするからさっさと戻るぞ」
(あの鳴き声が中ボスだってのか?嫌な予感がするが気のせいだろうか)
勇者一行は宿に戻って作戦会議をすることになった。
夜の8時頃、食堂に集まって作戦会議を始めていた。いちよう重要な内容なためキンジも参加している。
「君たちが前衛で中衛のきみたちが...」
大和が中心になって中ボス攻略の作戦をたてている。
キンジの近くにギルが来て話しかける。
「キンジくん、君はみんなから変に言われて訓練などに参加してないのだろう。こに中ボス戦は死ぬかもしれない。別に参加しなくてもいいんだが、どうする」
「決まっているじゃないですか。参加しますよ。ギルさんも言ってたじゃないですか。この世界のダンジョンの中は生と死、隣合わせって。いつも訓練に参加していない僕でもちゃんとテヌミ洞窟で戦っていきたんですよ。生きるために」
「ふんっ、そうかそうか。みんなよりもステータスが低くても出来ることはあるからな、頑張れよ」
「あんがいいい人なんだよな」
そして作戦会議は一通り終わった。明日に向けてみんな休み始めた。
宿の後ろの誰も来ないような真っ暗な場所に清水、篠崎、岡田の3人がいた。
「この世界に来てから退屈しねぇーな」
「そうだな~姫川さんもいいけど姫様もいいよな」
「俺は姫様派だわ、めっちゃタイプw」
「いっかいでもいいからヤってみてぇー」
「こっちには警察もいないしバレないようにすればいけんじゃねw」
「やめとけよ大和に殺されるぞ」
「でも大和は姫様に一目惚れしてるよな」
3人は黒い話をしていた。周りを見て誰もいないことを確認してか話しているため誰かにきずかれるということはない。
「その願い、かなえてやらんこともないぞ」
「「「っ...」」」
不意に声をかけられ、冷や汗ダラダラ流している。
「お前は最初のじじいか」
「えぇ、わたくしはウィルです。君たちに協力してほしいことがあってきました。くひひ...」
「協力だと?」
「そうです協力です。もちろん見返りはちゃん用意しますよ、くひひ...」
老人の怪しい声が暗闇に消えていった。
今回のはなしは少し短めになってしまいました。次話はできるだけ早くしたいと思います...