第1話 転移
第1話の投稿です。楽しんでいただけたら幸いです...
ぎゅっとした目をゆっくりと開けてゆく。 しだいにぼやけていた視界が戻ってゆく。
クラスメートたちがざわめきはじめた。気がつけばみんなが立っているところの前に大きな円卓のテーブルがあった。そこには40人ぶんの椅子がありろうそくがたくさん立てられていた。
みんなが戸惑っていると1人の老人の声が聞こえてきた、
「勇者の皆様お待ちしておりました...」
不意に声をかけられたため、びくっとしてしまう。みんなの恐怖心がどんどん増していってる。
まあ無理もないだろう、なんせいきなり魔法陣があらわれ白い光につつまれて目を開けたら今までいた光景とは違う光景が目に入っているからだ。
みんなが恐怖にかられている中、キンジだけは戸惑いつつもちょっと期待していたりする。
「こ...ここは、どこだよ」
「私達はどうなっちゃうの??」
「やだよ、帰りたいよ...こわいよ...」
恐怖し、帰りたい、こわい、など発言している。
「まあ、戸惑っていてもしかたがありませんな。とりあえず椅子に座ってくださいませ」
「ここはどこなんだ?なぜここに僕たちは移動させられた?しかもどうやって?それにさっき勇者と...」
「まあまあ落ち着いてくださいな、皆様が座っていただけば説明します」
大和は額から冷や汗をながしながら、冷静に疑問に思ったことを質問にして老人にむけて発言する。
「みんな落ち着いてくれ、とりあえず椅子に座って話しを聞いてみよう」
さすが学校の王子様だ、冷静にみんなをまとめつつ指示をだす。不安ながらもとりあえず指示にしたがい椅子に座る。
「はじめまして、私はウィル・バーンズと申します。そして、アルカデア王国の使いのものです」
アルカデア王国、地球には存在しない国の名前、それを聞いた瞬間何人かのクラスメートはここは地球ではなく本当に違う世界に来てしまったことを理解する。
「混乱しているのは無理もありません。今から順に説明をさせていただきますゆえ、安心してください」
そして、老人は語り始めた。
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老人いわく、この世界はフォールンと呼ばれている。フォールンにはたくさんの国があり、平和な暮らしを送って来た。だが、数ヶ月前に魔界からのゲートが開き魔界軍が攻めてきたらしい。
この世界の国々は協力しあい魔界軍に立ち向かうことを決意し、総力を上げて必死に抵抗している。ここの世界の技術はというと、地球よりも発達していないらしく移動手段は馬車、戦闘では銃がないため弓や剣で行っている。しかし、才に恵まれたものは魔法が使えるらしい。
魔法の才は生まれつきの性質によって異なり、魔法の威力は魔力が高ければ強い、人によって使える魔法は得意不得意があるらしく得意なものを優先して力を伸ばし戦場に出る。
そして、なぜこのフォールンという世界にキンジたちが勇者として転移されたか、それはアルカデア王国の姫が「予知」の脳力に優れていて未来予知をした結果が勇者を呼ぶことだったのである。
フォールンにはダンジョンと呼ばれるものがあるらしい。ダンジョンの中には魔物がいる。ダンジョンはいろいろあり、洞窟の形のもの、森の一定地位域が魔物で溢れかえりダンジョンになってしまったものもある。フォールンの人々は魔界軍に対抗すべくダンジョンで鍛錬することが多くなった。
あと、ダンジョンとは別に遺跡がある。遺跡にはたくさんの財宝が眠っているというがフォールンの人々は遺跡にいる魔物が強すぎるあまり近づけないらしい。
キンジたちはフォールンという世界では能力値がここの人々と格段に違うということを知ったアルカデア王国の姫は魔界軍に抵抗する大きな希望としてキンジたちを勇者として召喚することに決めた。
この世界の人がどれだけ頑張ってもLv.100で攻撃力、防御力、俊敏性、魔法士ならば魔力が、せいぜい200までしかあがらない。それに対してキンジたちはLv.1でそれぞれの値が約300(個人差はある)と化け物ステータスだ。
「それで僕達がもとの世界に帰る方法はあるのか?」
「それはこの国いえ世界を救っていただければすぐにでもお帰ししますよ」
老人の放った言葉にみな唖然し、同じことを思った。「理不尽だ」と。
「嫌だよっ。なぜ勝手に呼ばれて帰れないなんて...」
「そうよ、ふざけないでよ。この世界のために命をささげろっていうの?」
理不尽な言葉にみんな反発し始める。それでも何も変わらない、この世界を救うしか自分たちが帰る方法がないことは頭の回転が早いエリートたちはわかっていた。
「僕達が帰る方法はこの世界を救うしかないみたいだ、みんなだってわかっているだろだから早く帰るためにこの世界を救う。僕は決めたよ」
「そうだよ、みんなの親だって心配してるはずだから一刻も早く帰るために頑張ろ?」
大和と天音がみんなに声をかける、徐々に頑張ろ、帰るために、この世界を救ってみせる、など声があがってきた。
「決まりですな」
老人が微笑みながらこれからの方針について話しを始めた。
「勇者様方は確かにLv.1の状態でも強い。しかし、それでも魔物には勝てないでしょう。ある程度の訓練で戦い方になれてもらい、Lv.をあげながら実践経験を積んでもらいます。教官としてアルカデア王国の騎士団の一部を連れて参りますので明日から訓練に参加してもらいます。今日はいきなりのことで疲れていることでしょう、こちらで宿も提供させていただきますゆえ体をゆっくりと休ませてください。」
円卓のテーブルの中心から魔方陣が大きく展開された。気づけば大きなアパート並の家の前に移動させられていた。
「ここが宿です。自由に使ってください、明日また来ますので」
と言って老人はまたあの移動魔法で消えていった。それからみんなは1人ずつ部屋に入り身体を休めることにした。
そして翌朝、宿の前の広場にみんなが集まっていた。
「お前眠れたか?」
「いや俺は全く寝れなかった」
など声が上がっている、まあ無理もないだろう。キンジは部屋に入ったら速攻で寝てしまったが...
「勇者様方、おはようございます。皆様の教官となる騎士団を連れてきましたぞ」
「俺がぼうず達の世話役を預かった、ギルだ。よろしくたのむ」
老人の隣に鎧をきた騎士が現れた。体は大きく鎧の上からでもわかるぐらい迫力がある筋肉を持っていて、背中には大きな大剣を背負っていた。
「皆様に渡すものがありますので、とりあえず宿の中に入りましょう」
宿の食堂に移動すると老人から小さな透明の玉が入った指輪と水色の羽を渡された。
指輪は、ステータスが確認できる上に地図や自分のアイテムボックスの中身が見れるという便利グッツだ。アイテムボックスはみんなが所持しておりLv.が上がれば入る量も増える。
水色の羽は、瞬間移動できる便利グッツ。これは魔法が使えない人でも使えるという。各ポイントに、移動魔法を固定させて魔法が使えない人でも簡単に移動ができるようになっている。しかし、行ったことがあるポイントにしか行けないというデミリットもある。
「あと皆様に1人ずつこれに触っていただきます。」
老人は大きな水晶玉を取り出した。
「これは、どんな魔法が自分には得意なのか教えてくれるものでございます、ふれたあとにステータスを確認してみてください」
老人の説明どおりに1人ずつ触っていく。
「うぉ、『火属性』だってよ」
「私は『回復』これは援護系かな?」
など触れた者達から声があがっている。
「俺は何が来るんだろうなぁー」
ちょっと期待をしながら水晶に触ったあと確認してみる。結果は『無』それしか書かれていなかった。キンジは『無』としか書かれていないステータスをみながら呆然と立ち尽くしている。すると運悪く、キンジをいつも罵倒してくる清水グループが来てしまった。
「よう雑魚、お前はなにが得意なんだ?」
後ろから覗き込まれてしまい、
「『無』?なんじゃそりゃようするになにも得意なものがないってことだろ?」
「ははは、うけるわここでも雑魚だな」
「完全なお荷物だな」
最悪だ。清水グループの言葉にみんなが反応し、笑い声や蔑んだ目でこっちを見ているものもいる。まったくもって最悪なスタートだった。
みんなが水晶で確認し終え、次は武器選びになった。こっちは自分が使いたいのを選べるとのことだった。自分の魔法の特性がフルに活用される武器はなんなのか、エリートである生徒達は頭の回転が早いがゆえにあまり時間がかからなかった。きなみにキンジは自分の得意な魔法が無いと思っているので適当によくある片手で持つ剣、片手剣にした。
「これから自分が選んだ武器事に分かれて訓練を始める、ちなみに魔法はみんなが使える最小限の魔法だけはみんなで覚えることにする。得意魔法は、悪いが独学で頼む。まあなんかあれば相談してくれアドバイスがあればくれてやる。それでは、かく武器ごとにわかれてくれ武器ごとに別の騎士が教えてくれる。安心しろみなプロだからな、わっはっは」
まあなんだかんだで優しい騎士だった。
各武器ごとにわかれて訓練が始まった。
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「今日はここまでにする、明日また来るからゆっくり体を休ませておくように」
日が落ちてきて訓練が終わった。みんなつかれた顔をしていた。夕食を食べお風呂に入り部屋に戻ると急に眠気が襲ってきてそのまま寝てしまった。
~各ステータス~
キンジ Lv.1
攻撃力 300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『無』
~天音グループ~
天音 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『回復』
大和 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『光属性』
愛香 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『風属性』
龍也 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『強化』
~清水グループ~
清水 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『火属性』
篠崎 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『木属性』
岡田 Lv.1
攻撃力300
防御力300
魔力300
俊敏性300
得意魔法『拘束』
次話は4日以内に出そうと思います。